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第20話

 それからもう、何時間経ったのかわからないが、ようやく終わりが来た。俺は呻き声ばかり上げていて、喉がからからになっていた。俺は肢体をベッドに投げてシーツを掴んでいた。玲子に合わせる顔がない。こんなーー忌まわしい行為に腹が立ってくる。伏黒佐波人は、シャワーを浴びに行ってしまった。俺は汗だか精液だかがぐちゃぐちゃになった体液に塗れて横たわっている。そんな自分が惨めで、哀れで。これは夢だと思い込みたかった。今日、飲みの誘いを断ればこんなことにはならなかったのだろうか。大学生の飲みサーの近くに行かなければ、こんなことにはならなかったのではないか。様々な考えが頭を過ぎり、空中で消えていく。起きたことは変えられないから。それはよくわかっているから。俺はこのまま目を閉じて眠ってしまいたいと思った。悪い夢を見ているんだ。ああ、きっとそうさ。 「次、ドーゾ」  でも、伏黒佐波人はそれを許してくれない。バスタオルを腰に巻き付けた彼の身体は今更ながらによく見ると体つきがいい。筋肉のバランスが良いと言えるのかもしれない。  俺は家に帰るためにもまずは身体を清めなくてはならないと思った。壁に手を付きながら、亀のような遅さでバスルームに向かう。シャワーを頭から被って、全身を擦る。この身体をあの大きくて無骨な手が這っていたのだと思うと、腹の奥から苦いものが込み上げてきて。トイレとバスルームが共有で助かった。 「お、え……」  俺は口から胃液を吐き出してトイレに流した。そして、1番清めなければならない場所。後孔に指を入れる。そこは抵抗なく指を2本飲み込んでいった。どろ、と指先に伝わる感触に顔が歪む。鏡で見る自分の姿は滑稽で。こんな姿、玲子には死んでも見せられない。中を掻き出して伏黒佐波人の残液を捨て去る。ああ、やっぱり切れてる。ピンク色に染まった秘部の一部分を労わるように撫でた。行為の後半の方はほとんど記憶が無い。痛みも、快感もすべて消えてしまった。

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