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兜合わせ
時は戦国。武士達のいがみ合い。
立派な鎧の奥にはきっと、狂気溢れる肉体美。
立派な兜の奥には既に、潜む鋭い眼光。
どうしよう、凄く堪らない。
どうしよう、どうにかなりそうだ。
誰か、誰か某を見てくれ。
一層の事、一思いに斬ってくれ。
有無を言わさず、誰か、誰か。
「おい。」
突然、目の前に現る男。
今にも首を掻っ切ってきそうな、血眼。
「何、何奴…!」
そのまま、此方へ詰め寄って、
グリグリ、グリグリと兜合わせ。
近い、近い、近すぎる。
このままでは、ほぼ接吻だ。
ここは戦場。
血の気の多い、人の心を忘れた戦場だ。
あってはならぬ、こんな事。
あってはならぬ、こんな事。
あってはならぬ、こんな事。
「ッは…!!」
そう。
何もなかった、あんな事。
「あぁ、起きちゃった…?」
「んぇ…?ぁー……へ?!」
けれど、一つだけ、ある意味正夢。
「だってさぁ…?シてる途中に寝ちゃうんだもん…っぁ…んっ…。」
「ちょ、ちょちょっと…おぃ…!」
上に被さる、恋人の生々しい体温。
耳元を擽る、荒い息。
「僕だってっ…大人しく寝ようとしたよ…?でもっ…ごめん…無理だった…っ…。」
埋め込む勢いで、擦り捻る身体。
「ねぇ……続き、シよ?」
暗闇に潜む恋人の、貪欲な眼光。
どうしよう、凄く堪らない。
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