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第1話:出会い

____はい、OK!じゃあ次はこっちの香水持ってもらって.... 僕は落合夏喜。普段はカメラマンとして働いている。男性でΩという、周りからは疎まれる存在でもある僕は、両親からもそこそこに雑に扱われていた。両親は二人ともβで、2つ上にαの兄がいる。兄は凄く優秀で、僕が勝てることなんて何一つない。まぁそういうこともあって両親から雑に扱われているんだけど、自分の性別を嫌ったことは一度もない。このΩという性別のおかげで、立派な目立つ役職は与えられないしね。 ___じゃあ夏喜くん!次の撮影お願いしま~す! 「は、はい!それでは撮影に入ります!」 今、現在進行形で仕事中なのだが、今日は初めてトップモデルの写真撮影をすることになった。僕に立派な仕事は与えられないとかさっき言ったけど、そう言える日ももう長くはないのかもしれない。地道にやり続けていたカメラマンとしても仕事は、気づけば雑誌の出版社やジュエリー、香水、ブランド品を扱う企業から注目を浴びる程極めていたらしく、今では僕に写真を撮ってもらいたいという以来のメールが毎日50件くらい届くようになった。こんなに目立てばお分かりの通り、『あの落合夏喜っていう人、ほんとに優秀なαよね!』という声が広まり、本当の性別であるΩを隠して生きなきゃいけなくなった。そんな中、とても大事な仕事が次々に立て込み始め、今までΩを隠さないとなんて思って生活をしたことがなかった僕は、αになりきることに疲れを感じ始めていた。 「___もう少し、香水に近づいてもらって...あ、そうですね、香水を顔の前に出して...いい感じです。」 こんな感じで今日も僕はαになりきり、トップモデルである灰原カオルの写真撮影に励んでいる。この灰原カオルというトップモデルは、20歳という若さにも関わらず、αという圧倒的な才能と美しさを兼ね備えており、様々なブランド品の広告モデルとして活躍している人だ。本物の優秀すぎるαの人を目の前に、自分はΩであることを隠せているだろうかとか、自分はαに見えているのだろうかとか、色々な思考が撮影のことを考えられなくしてくる。 ____OK!じゃあ一度休憩を挟みます!次の撮影は20分後からになります! 僕の落ち着かない様子を感じたのか、灰原カオルが休憩を申し出たらしい。...やっぱり僕はαから見ると全然αじゃないんだろうな。そんなことを思いながらスマホの画面を付け日付を目にする。 『___あ、もうすぐヒートが来るのか....。』 ヒートというのは、Ω特有の発情期のことである。ヒートが来るとフェロモンが全開になり、周りにいる人___特にαは理性を失い、本能のままにΩを犯そうとする。αと性行為をする際、αが達するのと同時にΩの首筋を噛むとその相手とは番になるとか...なんとか....?実はその辺の話はΩで成人している僕もよく理解していない。理解していないというか、全然興味が無い。だって、昔から偽りだらけの僕を完璧で秀才なαが番にしてくれるなんてあり得ないから。 『ヒートってことはそろそろ抑制剤を飲まなきゃ仕事できないな....。』 そう、先程説明したヒートだが、実は抑える事が出来る。その方法の一つが発情抑制剤という薬を飲むことである。ヒートを起こすと仕事にならないため、仕事を始めてからはこの抑制剤が手放せなくなった。抑制剤に頼りすぎると寿命が短くなるって聞くし、本当はもう一つの方法でヒートをやり過ごせれば良いんだけど、そっちの方法は僕には難しすぎる。なんて、色々考えながらポーチの中の薬を探す。 『....あれ、薬が無い.....?』 どんなに探しても、抑制剤は見当たらない。そこでふと、前回ヒートが来た時はここまで仕事も無く、家にいる時にヒートが来たため、その日は仕事を休んで抑制剤を飲んでやり過ごした事を思い出す。そういえばあれが最後の抑制剤だったか。 『そろそろヒートが来るはずだし、余裕を持って今日の帰りにでも病院に行こうかな...。』 そう思ったらすぐに病院を予約しようと、スマホを開く。表示される今日のスケジュール。そこには、『撮影後、灰原カオルさんの次回撮影の打ち合わせを行う:21時終了予定』の表示。 『...しまった、今日は撮影の後打ち合わせもやるんだっけ...仕方ない、明日仕事の前にささっと行ってこようかな.....。』 予約をしないならとスマホをしまい、次の撮影までにトイレに行こうと撮影室を出て、トイレへと向かう。その途中で、何かいい匂いを感じる。 『...あれ、なんだろこの匂い....。撮影に使ってる香水かな....?』 どこからともなく感じる匂いに惹かれ、トイレを後にする。ふらふらと匂いの元へ歩いていると、ドンッと誰かにぶつかり体勢を崩した。 「っ.....おい、大丈夫か?」 ぶつかった相手に声をかけられ、はっと顔を上げると、そこには超有名スタイリストである笹島魁がいた。 「さ.....っさささ、笹島....さん.....あっ、あの、僕....す、すみません....ぼーっとしちゃってて....。」 笹島魁とは別に知り合いでは無いが、カメラマンという仕事上、雑誌等に載っているのを何度も見たことがあるため知っている。いわゆる、一方的に知っているというやつだ。 「いや、俺の方こそ、よく前を確認していなかった。すまん。立てるか?」 そう僕に告げ、手を差し伸べてくれる。ありがたくその手を握ろうとしたその時、さっきまで感じていた匂いが目の前から感じられることに気づいた。 「...あ、あの、笹島さんもしかして、さっき写真撮影に使われてた香水...つけてますか?」 「えっ....?香水...?いや、俺はつけてないけど....。」 「...え?じゃあ、この匂いは...。」 僕が言葉を詰まらせると、急に身体の奥から何かが押し寄せるような感覚に襲われた。その瞬間、腰の力が抜け、笹島魁の手を握ったままその場に座りこんでしまう。 「...っおい!お前、大丈夫か!...っ!」 笹島魁は、心配して僕の隣にしゃがみ、そして気づいてしまった。この人が、Ωであると。 「っきょ...今日、くすり....その、きれ、てて.......くしゅ、り....なぃ....で、す......」 必死に理性を保ちながら目の前にいる笹島魁に説明しようとするが、口は緩くなり、フェロモンは全開で、αである笹島魁を潤んだ瞳で見つめてしまう。 「...俺、薬持ってっから、行くぞ。」 そう告げれば、笹島魁は僕のことを抱きかかえ、楽屋へと運ぶ。その道中で多くの人に見られ、『え、何あれ...ヒート?』『夏喜さんってΩだったの...?』『やっぱり?Ωだと思ってたんだよね~。』といった言葉が僕に向けられているのが分かった。やっぱりΩらしく、ひっそり生きてればよかったな...とか、色々なことを考えたかったが、ヒートはそうさせてくれない。頭にはずっと『αに犯されたい』という本能が襲い、今すぐに自分を抱きかかえる笹島魁に犯されたい気持ちでいっぱいになる。 「着いた。ここに座れ、水買ってくるから。」 僕にそう言い放ち水を買いに行く笹島魁。ヒートが来ると大人しく待っていることも難しくなり、笹島魁が出て行ったのを確認するとトイレに向かおうとする。 『早く....早く、トイレに行って、抜かなきゃ.....。』 そう思い立ち上がれば、力の入らない脚で歩き、ドアへと向かう。ドアを開けようとドアノブへ手を伸ばした瞬間、先に外側からドアが開けられ、笹島魁に倒れ込む。 「わっ....おい、どこ行こうとしてんだよ。ちゃんと薬、飲ませてやるから....。」 僕にそう告げ部屋の奥へと戻されれば、 「ほら、自分で飲めるか?」 と優しく声をかけてくれる笹島魁。大丈夫、と言おうと顔を上げたその時、自分に優しい声をかけてくれていたせいで気づいていなかったが、本当に、それは本当に余裕の無い顔を笹島魁はしていた。そんな余裕の無い顔を見た僕は、本心から出た言葉か、本能から出た言葉かは分からないが、とんでもないことを口にしていた。 「さ...さじま、さ...ぼ、ぼくの.....さわっ、て....?」 口に出した後にはっとし、慌てて笹島魁から離れようとする。しかし、笹島魁も相当限界まで来ていたのか、甘く誘った僕の手を掴み、抱き寄せ....そして、口付けた。 「ん....っふ、ぁ....しゃ、ささじま....さん....だ、だめ......」 そんな僕の言葉もむなしく、気付けば笹島魁は僕の大きくなって苦しそうなモノを触り、 「...今、楽にしてやっから。」 と耳元で囁けば、笹島魁の脚の間に座らされ、後ろからベルトをカチャカチャと外し、僕のモノを下着の間から出す。慣れた手つきで僕のモノを触る笹島魁。部屋に響き渡るクチュクチュという音。耳元から首元にかけて感じる舌の動き。自分の口から漏れる喘ぎ声。僕は今、一体どうなっているのだろうか。 「あっ...んん、そ...こ....っ...きも、ちぃ.....もっ、と....はげし...く...ぅっ...」 そんなだらしない声を漏らせば、腰辺りに熱くて固い何かを感じる。これは何だ、と不意に手を伸ばす。そこにあったのは、笹島魁の、モノ。 「...おい、抜いてやってんのに、何触ってんだよ...あんま、誘惑すんな...っ...。」 耳元で吐息混じりに聞こえる笹島魁の声。そうか、αは、こんな僕のことでも求めてしまうのか。そう感じてしまった瞬間、僕の『犯されたい』という本能が暴走し始める。僕の手は笹島魁のモノに触るのを止めず、ズボンのチャックを下ろし、下着越しに笹島魁の熱く固くなったモノの先端部分をくすぐるように触る。どんなに理性で抑え付けようとしても、Ωの発情期のフェロモンに発情したαの理性を簡単に抑えることは出来ない。 「な...っで....して、くれ...ないの.....?」 考えてみれば、よくこんなに相手を誘惑する言葉ばかり言えるな、僕。今までヒートを誰かと過ごした事なんて一度も無いって言うのに。これもαが近くにいるΩの本能というやつなのか。 「おま....っ......もう、知らんからな...?」 そんな言葉が耳元で聞こえれば、僕のモノを触る手はどこかへいき、自分の後ろ側にいたはずの笹島魁は目の前に。僕の視界には壁ではなく天井が。あれ、一体どうなって____。 「____お前の、せいだからな?」 そう言われれば、僕のズボンは完全に脱がされ、目の前に露わになる笹島魁の___モノ。 「あっ....ぇ、ぁそん...なの、はい...ら.....。」 「おい、俺にしてくれと言ったのは、お前だからな...?入るとか、んな事気にしなくたって.....ほら、こんな、ぐちゃぐちゃになってっけど.....お前、誰かと経験あんの?」 「ぃ、や.....いつ、もは....ひとり、だから....っぁ....んんっ....。」 「...え、何...俺が初めてなわけ....?っは、最高....。」 気付けば僕のお尻は凄い水音を響かせており、誘うかのように何度も腰を振っている。いや、誘うかのようにじゃなく、誘っている。僕は本能のままに、目の前にいるαを誘っている。 「もう、入るよな?こんな...早く入れろって顔されたら...俺も、もう無理...。」 笹島魁がそう告げれば、僕のナカに入ろうとしてくる、熱くて固い何かを感じる。あれ、これ、ゴム付けてないかも。でも、本能がこのままで良いって言ってくる。やばい、どうしよう、何も考えられ 「おい、何か余計な事考えてねぇだろうな...?今は、コッチだけ考えて、気持ちよくなってろよ...な?」 見透かされたかのように言われる。そんなこと言われたら、僕の理性は、吹き飛ぶ。 「ぁ....っもっと、ぉく....ほし、ぃ....もっ、と...」 「...ぁ?奥、欲しいのか?...っは、もっと可愛くお強請りしろよ...そしたら、入れてやる。」 「ん...っ、わ、かった....ぁ...じゃ、ぁ...ぼく、こっち....」 そう笹島魁に告げれば、身体を起こして笹島魁を押し倒す___つまり、騎乗位だ。笹島魁の上に跨がれば、無意識に顔を近づけてしまう。 「っね、ぇ....き、す.....しても、いい....?」 そう聞くと、うんともだめとも言わずに、僕の唇に柔らかくて温かい感触が____。 「んっ....は、ぁ..っ....き、も.....ち.....ぃっ.....」 何度も、何度も笹島魁の唇に吸い付く。気付けば僕のお尻は、笹島魁のモノをしっかり飲み込み、ナカできつく締め付けている。だめだ、後の事なんてもう何も考えられない。 「...っは、ね、ぇ......ぼ、くの....なか..っひ、ぁ...きも、ちぃ.....?」 「っ...あぁ、きもちいよ、けどさ...お前が、気持ちよくならないと...な?」 そう返されれば、突然僕の奥まで笹島魁のモノが入り込んでくるのを感じ、ビクンと背中を反らしてしまう。目の前には、白濁液で汚れている笹島魁の上半身が見える。あれ、僕....。 「っは、何、奥突かれただけでイッちゃったわけ...?可愛いとこ、あんじゃん....。」 何が何だか分からないままに、下から何度も奥を突かれる。その度に僕の口からは「ぁんっ」「っひぁ」「そこぉ」「きもちぃ」の言葉が何度も溢れ、腰は快楽を求めて揺れ動く。____嗚呼、こんなに乱れた姿が、笹島魁の瞳に映ってる。気付いた瞬間、再び快楽が押し寄せる。 「.....あれ、出てないんだけど。何、まさか、ナカでイッちゃったの...?..っは、えろ....。」 初めての感覚に頭の中も混乱している。僕は今、どうなっているんだろう。分からない。気持ちいい。どうしよう。もう一人じゃイケなくなっちゃう....。 「...俺も、そろそろイキたいから、体勢変えるよ。」 ...あれ、笹島魁の声って、こんなにかっこよかったか。この声だけでもイッてしまいそうになる。気付けば騎乗位から正常位になる体勢。僕の瞳に映る、笹島魁の、余裕の無い、赤く、火照った顔。僕が、この人を、こんな風に....? 「...なぁ、さっきの、可愛かったから....ほら、してやるから。口、開けろ。」 「ん...っぁ、ふ...っ.....ひゃ..ぅ....らぁ....」 僕の口の中に、笹島魁の舌が入ってくる。...僕って舌、性感帯だったっけ?そう思わざるを得ないくらい、舌を舐めとられる度に、吐息を漏らし、喘ぎ声を漏らし 「...っあ、れる...っぁ、でちゃ、ぁ、らめ....」 ____そして、潮を漏らした。笹島魁に吹きかかる潮。僕の腹部に感じる液体感。何よりも、漏らしたという羞恥心。恥ずかしさのあまり、涙をこぼしてしまう。 「....吹いたんだ?キスで?...っふ、どこまでも、変態なのな...。」 潮吹きなど何も気にしないかのような振る舞い。笹島魁という男は、完璧すぎるくらいの、αだ。いや、笹島魁もただの変態なのかもしれない。今はまだ、分からないけれど。 「さて....十分気持ちよくなっただろ?そろそろ....俺も気持ちよくさせてくれよ。」 その言葉と共に、笹島魁の、腰の動きが、激しさを増していく。やばい、また 「ゃ...ぁ、まっ、て....だ、ぁ....め...っい、っちゃ.....ぁ....」 「っ....俺、も....イっ....く...!」 頭が真っ白になる。お腹の上には、熱い何かが飛んでくる。これは、僕の...いや、僕だけじゃ無い、笹島魁のも....。 「....どうだ、少しは落ち着いたか。俺の方から体調不良でこの後は休みにしてもらうように頼むから、まずは薬を飲め。一応な。その後、頑張って出来る限り片付けて待ってろ。いいか、待ってろよ。」 そう告げささっと自分の片付けだけすれば、笹島魁は部屋を後にした。とりあえず、言われた通りに薬飲んで...。ってちょっと待って。さっき、何て言われた? 「...待ってろ、って.....。」 何故僕はこの部屋で待っていなければいけないのだろうか。まだ少し性欲が残っている感じはするけど、薬を飲めばこの後の仕事は出来そうだし、他人の楽屋で待っていなくても...?...まぁ、今は言われたことをやるしかないな。そう思い、僕は口の開いたペットボトルの水で薬を流し込み、お腹にかかっている白濁液を拭き取り、下着を履き、ズボンを履き、片付けを済ませた。 「_____お待たせ。ほら、お前の荷物もらってきた。仕事の人にはΩだって伝えてんのな。話が早くて助かった。今回の仕事の件は別日で大丈夫って言われたから、伝えとくな。...ほら、帰るぞ。」 ....え?何が何だか理解が追いつかない。何?帰るぞ?この人は、何を考えてるんだ...? 「..え、と、その、僕、もう一人でも帰れ...」 「なぁに馬鹿な事言ってんだよ。お前、自分で出してる匂い、気付いてないわけ?んな匂いムンムンで外に出たら、誰に何されっか...。」 「ぼ、僕....そんな凄いこと、なってます....?」 「嗚呼、ひでぇ甘い匂い。...分かったら一緒に帰るぞ。家まで送ってやるから。」 笹島魁は、僕を心配してくれているのか。それなら、こんな状況だし、少しくらい甘えても...いいか。 「...あ、ありがとうございます、その...何から何まで。」 「気にすんじゃねぇよ。とにかく、早くここ出るぞ。」 そう言われ、僕は職場から立ち去った。笹島魁という、完璧なαに手を引かれて_____。

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