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初めての外出デート④
カフェはカウンター席と丸い小さめの机が何個か点在しているこじんまりとした感じで、今はカウンター席に数人座っているくらいだった。
その1番奥の席に蓮先輩に連れていかれて向かい合って座った。蓮先輩が奥で、僕がカウンターから背を向ける方。
注文決まったら教えてねぇ〜って言って優斗先輩はカウンターの方に帰っていったので、蓮先輩と机の真ん中に置いたメニューを覗き込む。
「結翔、飲み物は何にする?」
「うーん・・・、僕は冷たいミルクティーにします。蓮先輩は?」
「俺はアイスコーヒーかな。ケーキは?気になるのある?」
蓮先輩がトントン、とケーキの名前が書いてある所を指で教えてくれたんだけど・・・。なんかオシャレな名前がたくさんで何がどんな味なのか僕にはサッパリ分かんない。白桃フェアって括ってある所だけでも5個くらい何のケーキなのか分からない名前が羅列してる。困った。
つい眉を下げて助けを求めるように蓮先輩を見上げてしまう。
「蓮先輩、僕にはどれが何のケーキなのかが分からないです・・・。白桃フェアのやつが食べてみたいって思うんですけど・・・」
「あー・・・、そうか。この店謎に名前弄るからなぁ。やべぇ、俺も毒されてんな」
小さくそう呟いた蓮先輩は白桃フェアの1番上に書いてある名前をトン、と指した。
「この『白桃と白雲の Mariage 』ってのがショートケーキだな。んで次の『 Gateau au fromage 〜白桃を添えて〜』はチーズケーキ。んでコレが『白桃に恋した木の葉たち』がミルフィーユだな。それで───」
ひとつひとつ丁寧に教えてくれる蓮先輩。優しい。
「大丈夫そ?決めれる?」
全部教えてくれた蓮先輩がコテリと首を傾げて、説明してくれていた蓮先輩をジッと見つめていた僕を伺うように視線を向けてくれる。
「んー・・・、とっても迷います。でもこの間ひと口食べたチーズケーキがとっても美味しかったから、白桃のも食べてみたいかなぁ」
「おっけ、チーズケーキね。じゃあ俺はショートケーキにするかな」
サラッと注文を決めた蓮先輩が優斗先輩を呼んで注文を済ませてくれたので、ありがとうございますって言ったらどーいたしましてって笑ってくれた。
今日も蓮先輩の笑顔がたくさん見れて僕は嬉しいです!
「それにしてもすっごく素敵なカフェですね!」
「気に入った?」
「はいっ!」
それはもう!もちろん!とコクコクと頷くと、良かったって笑った蓮先輩が頭を撫でてくれる。
「ココ、夜はBARになるんだよ。だから雰囲気もいい感じだろ?」
「ほわぁ・・・!BARってなんだか響きすらも格好良いですねぇ!」
「あははっ!俺は未成年だから昼のカフェしかバイト入ってないけどな。結翔が成人したらBARの方にも一緒に行こう。結翔の初めての酒は俺と一緒な?」
僕が成人したらって・・・、それまで一緒に居てくれるつもりなんだ。蓮先輩の口から当たり前のように僕が居る未来の話が出てくるのが嬉しくて思わずふにゃりと笑った。
「約束ですよ?」
「あぁ、約束だ」
小指をピンと立ててそう言った僕に蓮先輩は一瞬目をまん丸にしたけど、優しく笑って指切りしてくれた。
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