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え、嫌ですけども⑳

 どうしよう。  蓮先輩が上を向いたまま微動だにしなくなってしまった。  「・・・蓮先輩?」  しばらくジッと様子を伺ってたんだけど、蓮先輩があまりにも動かないから心配になって来て声をかけてみた。  さっきいつでもどこでもちゅーして良いって言ってもらえたけど、もしかして社交辞令的なあれだったのかなってちょっぴり不安にもなって自然と眉がへチャリとしてしまう。  「あー・・・、すまん、結翔の可愛さを噛み締めてたわ。結翔からのキス、すげぇ嬉しかった。もっかいして?」  結翔のあまりの可愛さと「僕に何しても良いんですからね?」に理性がブチ切れてそのまま襲ってしまいそうになった蓮が、結翔を視界から外して必死に萎える事・・・萎える事・・・と蜜樹のだる絡みを思い返していた、なんて事を微塵も感じさせない幸せそうな甘い笑顔を結翔に向けたので、結翔の不安は一瞬で吹っ飛んだ。  甘えるみたいに「もっかいして?」って目を瞑った蓮先輩がなんだか可愛く見えて、格好いいのに可愛いなんてやっぱり蓮先輩は反則だぁ・・・!なんて思いつつ。  勢いじゃなくするキスはやっぱり緊張しちゃうな、なんてドキドキしながらそっと唇を合わせた。  唇を押し当てるだけのキスをしてそっと唇を離すと、いつの間にか目を開けて僕をジッと見つめていた蓮先輩がよくできましたって言うみたいに頭を優しく撫でてくれて。  「・・・ありがとう、結翔。嬉しいよ」  そのまま僕はぎゅって腕の中に閉じ込められた。  胸いっぱいに広がる蓮先輩の香りと共に耳に伝わる鼓動がいつもより早い気がして、僕は何だか嬉しくなってしまったんだ。  蓮先輩も僕にこんなふうにドキドキしてくれるんだ、って。  その心地よくも擽ったい心音と大好きな香りに包まれた僕は、そのまま愛しい人の胸元に擦り寄ってしばらく幸せに浸っていた。  ───耳に伝わってくる蓮先輩の鼓動が普通に戻った頃、ぎゅうって僕を抱きしめていた腕の力が弱まったのでそっと蓮先輩を見上げる。  「もういい時間になっちまったな。俺的には結翔と離れたくねぇしこのままサボって攫っちまいてぇ所だけど、結翔、今日までたくさん頑張ってたからなぁ。俺も結翔の勇姿が見てぇし応援もしてぇから我慢する。そろそろ行くか。まじですげぇ嫌だけど」  いつも大人に見える蓮先輩が眉間に皺を寄せて本当に嫌そうにそんな事を言うから僕はなんだかおもしろくなっちゃって、クスクス笑ってしまった。  「僕も蓮先輩と離れたく無いので、競技の時以外は一緒に居ても良いですか?それに僕だって蓮先輩の格好良いところみたいですっ!すっごく楽しみにしてたんですよっ!」  クスクス笑いながらそう言った僕を、驚いたようにパチパチと目を瞬かせながら見ていた蓮先輩はすぐに嬉しそうに破顔して。  「まじ?俺と一緒に居てくれんの?結翔は午後から匠達と一緒に居るつもりだと思ってたからすげぇ嬉しい!やったねっ!」  子供みたいに喜びながらまた強くぎゅうって抱きしめてくれたんだ。  ・・・・・・なんだか今日、蓮先輩がすーっごく可愛いんだけど!!!どうしよう僕の心臓持つかな!??  

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