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ほろ酔いサイダー32
それほど待たされることなくトレーが出てきた。それを受け取ると、俺はテーブルへと戻っていく。
何度かやっていくうちに慣れていく。今回は恐らく最速で戻ったであろう。宏介がすぐに振り向いてきた。
「あれ、自分は飲むなって言ったのにそんなに飲むの?」
「いや、お前のだ。やるよ」
「やったー」
宏介は片方のジョッキを喜んで手にし、ゴクゴクと飲んでいく。しかし、ノンアルコールだとすぐに気付いて離した。
「ちょっ、騙したな」
「俺はビールだって一言も言ってねーぞ。勝手にビールだって思い込んだだけだろ」
「少し酔いは覚めたんだけどなー」
そう言いつつも、宏介は大人しくアルコールの入っていない飲み物を飲んでいた。
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