64 / 214
プライステイスト21
「ははははは!! お前が、俺の前でかっこつけるだって!? はははははは、十年早えよ!!」
「んなっ!? 確かに、俺とコウはちょっと年離れてるけどさ……。そこまで笑うことないじゃん」
「ワインの味も知らねーで、よくもまぁ言えたこった」
「っ……」
「でもな!」
今にも泣きそうになっていたタクトの言葉を遮り、タンドリーフィッシュを一口食べてから言葉を続けるコウ。
「でもな、こんなに酒に合う料理を作れるお前は相当なもんだぞ。俺は味わうことしかできねーけど、お前は違う」
「コウ……」
「たまに俺の舌には合わねーけどな」
「もう! なんでそんな……むぐっ」
口を開いたところで、タクトの口に食べようとしていたタンドリーフィッシュをぐいと入れる。与えられたものに反射的に口を閉じ、無言で噛み砕いていく。
驚いた表情のまま飲み込むと、自らの料理の味に感動していた。
ともだちにシェアしよう!