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いつかのさけ1

 夜の飲み屋街は客を引き寄せるために明るい輝きがあちこちにあった。  その中に吸い込まれていくように四人組が小さな店へと入っていく。看板は入り口に一応あったようだが、奥まったところに位置するようで目立たないようだ。  木製の枠で囲われている店の前には手書きの筆文字のようなメニューが大量にぶら下げられており、どれを頼もうかと目移りしてしまう。  だが、彼らはそれを一切見ることはなかった。 「いらっしゃいませー」  活気のある声で店員がそう叫ぶ。しばらくするとそこへ別の店員がやって来た。そこへ眼鏡の男が一歩前へ出る。 「予約していた岡崎です」 「岡崎様ですね。……こちらへどうぞ」  紙に書かれた予約表を確認し、店員が席へと案内する。  入り口の雰囲気をそのまま店内にも取り入れたようで、木のテーブルと椅子があちこちに並んでいる。その奥に個室空間になっている場所があり、彼らはそこへと案内された。  岡崎は席に座るなり、メニューの一番上の酒を頼んだ。そこには『本日のおすすめ』と書かれていた。

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