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第五章・3
巴は、蓮にていねいな前戯を施した。
触れるか触れないか、といったギリギリのところで唇や舌を這わせたり。
時折、強く吸ってみたり。
そのたびに、蓮は声を上げて悦んだ。
「あぁ。はぁ、はぁ、巴さん……!」
「蓮、好きだよ」
「嬉しい。僕、嬉しい……」
今まで蓮は、暴力的に性交を強いられてきた。
前戯なしに、後ろに突っ込まれるばかりだったのだ。
それが今は、愛する巴が体中を可愛がってくれている。
蓮は、ただ嬉しかった。
挿れる前も、丹念に後ろをほぐした。
巴の指は、自在に動いて蓮の射精を促した。
「あ、だめ! で、出ちゃう! また、出……ッ!」
「若いと元気だな」
はぁはぁと荒い息の蓮を少し休ませ、巴は彼の肌を優しく撫でた。
「大丈夫か? 辛いなら、今夜はこれで」
「いいえ、最後まで。僕、巴さんに抱かれたい」
二人は、またキスをした。
心も通い合う、キスだった。
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