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41.少しずつでいいから
「弱っている人の側にいてくれるっていうのは、安心するものなんだ。だからそれにどんな意味があったとしても単純に嬉しい。観察のためだろうが、どうしてか分からなくても。僕は嬉しい。リューは僕のこと気にしてこの場にいてくれるのだから」
笑いかけるとリューは少しだけ驚いたような顔をしたあとに、そうか、と一言だけ呟く。
「ギルド長がしてくれたかどうかは知らないけれど、具合が悪かったリューを永遠に放置するとかそんなことはしないと思う。一緒にいてあげたり、薬を飲ませてあげたり。そういうのってされたら嬉しいものだ。俺の言っている意味は何となく分かるか?」
「……あぁ」
「だから、それがバディのワガママだからと言われても僕は嬉しい」
「……それは……」
リューは僕の瞳から内部を探るように真剣に見つめてくる。僕が笑いかけても、リューは納得した表情にはならない。
「それは、本心ではないのだろう?」
「え?そんなことは……」
「違うと、言っていた。だが、俺は……」
リューはどこか苦しそうだ。僕よりリューの方が心配になってくる。
「やっぱり何か言ったのか、僕が。いいよ今は気にしないで。そう思っていたとしても大丈夫だ。すぐに理解する必要はない。少しずつでいいから……」
そんなに苦しめるつもりはないのだけれど、考え込むリューを引き寄せて抱きしめる。
リューは身じろぎするが、大人しくなされるがままだ。
あやすように背中を撫でてやると、リューが深く息を吐き出したのが分かった。
「僕のことを気にしてくれるのは嬉しいが、リューを苦しめたい訳じゃないから。何か言ったのだとしてもそれは僕の一方的な願望だ。リューが合わせる必要はない。リューはリューで好きにしてくれていいから。そのうち自然に分かるようになるだろうし」
「……」
少し落ち着いたみたいだ。リューの腕が所在なさげにしているので、自分を抱きしめるように誘導させると、大人しく腕を背中に回してきた。
(なんか恋人同士っぽくていいな)
一人でクスと笑うと、憮然な表情でリューが見てくる。どうやらいつもの調子に戻ったようだ。
「抱き合っていたら癒されるって言うだろう?」
「聞いたことないが……」
「今日はそういうことにしておけばいい」
「……適当だな」
フ、と吐息で笑った感触があったので、リューも力が抜けてきたみたいだ。
「そんなに真剣に考えてくれるとは思わなかった。ありがとう」
「何がだ?」
「リューが僕のことを、ね。でも今はこうして側にいてくれるだけで嬉しいよ」
「……そうか」
リューの髪が擽ったいが、いつもとは違う感じがして新鮮だ。
何となく抱きしめあったまま、結局2人ともそのうちに寝てしまった。
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