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第27話(R18)

二人は肇の部屋に入ると、相変わらずごちゃごちゃした床に腰を下ろす。湊は、前来てからそんなに経ってないのに、散らかり具合が増してるね、と要らない感想を漏らした。 「単純に物が多いだけだから、しまう場所作れば良いのに」 「……分かってるよ」 肇は自分の部屋なのに落ち着かなくなった。自分でも、そうした方が良いのは分かっているけれど、大仕事になるので手が付けられない。 「今度、一緒に収納家具買いに行こう? 俺も片付け手伝うよ」 微笑んだ湊は、何だか楽しそうだ。肇も頷く。 「だな。布切るのにスペース欲しいし」 「……衣装は、どれくらいでできるの?」 湊はピッタリ肩を合わせてきた。その距離感が恥ずかしいと思いつつ、それも嬉しいと感じてしまう。 「今のところ、行きたいイベントに合わせて作ってる感じ。もっとお金と時間があれば作りたいけど」 何せメイクもウィッグもとこだわっていると、お金がかかってしょうがない。だから、夏休みと冬休みでそれぞれ二、三着ずつで、それ以外はバイトでお金を貯めておくという感じだ。 「メイクも上手だよね。初め、写真見ても肇だって気付いてなかったし」 素の肇も可愛いけど、と湊に付け足されて言われ、肇は顔が熱くなる。 すると、その頬にキスをされた。 「……っ、何っ?」 「あ、ごめん……可愛いなって思ったら勝手に身体が動いてた」 頬にキスなんて、少女漫画でしか見たことが無かった肇は慌てる。しかし、その間にも湊の顔は再び近付き、今度は唇に吸い付かれた。 「えっ? ん、ちょ、っと?」 肇が戸惑って逃げようとする間にも、何度か唇にキスをされる。 「……嫌?」 「……っ」 優しい顔が間近にあって、肇はカッと身体が熱くなった。 嫌かと問われれば嫌じゃない。コスプレ写真を撮る時も、それらしい雰囲気の事はしている。けれど、相手が好きな人というだけあって、緊張が半端ない。 「う、…………心臓が口から飛び出そうだ……」 肇が正直に言うと、湊はフッと笑った。 「そっか……俺もだよ……」 湊も同じだと知って、肇の心臓はさらに忙しく動く。 「目、閉じて……」 彼の優しい声に、肇は素直に目を閉じた。そっと覚えのある感触が唇に触れ、軽くついばみ離れては、また触れる。肇も見よう見まねで同じようにすると、隣にいた湊はキスをしながら肇の正面に移動してきた。 (あ……やば……) 肇は自分の下半身が変化していくのを感じる。そういう事をしているので当然なのだが、何だか気恥ずかしくて湊を止めた。 「湊……ちょっと……」 「ん?」 「……これ以上すると、ちょっと……」 後に引けなくなる、という言葉は言えなかった。恥ずかしくて視線が合わせられずにいると、湊は額にキスをする。 「……感じた?」 額を合わせそうな距離で囁かれ、肇は恥ずかしくて顔を逸らした。こうして言葉で言われると、どうしていやらしく聞こえるのか、と肇は悶える。 湊の問に答えられずにいると、彼は首筋にキスをしてくる。思わず肩を竦めると、湊は制服のシャツの上から胸を撫でた。 「ちょっと、マジでヤバいからっ。なっ? 今日はもう帰れよっ」 「……ちょっと無理かな? 俺はもう後戻りできない」 肇は湊の胸を押して離そうとするけれど、彼の身体はビクともしない。それどころか、頬や耳や首筋にキスをされ、身体が震えた弾みで肇の手は床に付いてしまう。膝を立て、床を蹴って後ずさりしようとすると、ベッドの端にぶつかって逃げられなくなった。 逃げられない絶望と、身体が高ぶっていく事への恥ずかしさとで、肇は脳内でどうしようどうしよう、と慌てる。 (しかも自分の知らない所が感じるとか、ホント恥ずかしい!) その間に、湊は肇の足を跨ぐようにして、またキスをしながら胸を撫で回してくる。 すると、湊が肇の胸の突起を探り当てた。ゾクゾクとした快感に思わず身体を震わせると、声を上げてしまいそうだったので、奥歯を噛み締めて耐える。 「肇……可愛い……」 湊の声が掠れていた。肇も後に引けなくなり、抵抗するのは諦める。 (もう……どうにでもなれ……) 肇の身体の力が抜けたのが分かったのだろう、湊はまたしつこいくらいにキスをくれる。器用にネクタイとシャツのボタンを外され、タンクトップの中に湊の手が入ってきて息を詰めた。 「……湊……」 上ずった声で呼んで、肇は湊の肩に両腕を回す。 湊の指が、肇の乳首に触れた。回した腕にギュッと力が入ると、ここ感じる? と聞かれる。 「……っ、聞くなよ……、っそれやめろっ」 指の腹で胸の先端を擦られ、ゾクゾクと何かが這い上がるような感覚に肇は悶える。 声は出すまいと、必死でまた奥歯を噛み締めていると、湊が顔を覗き込んできた。 「何で声、抑えてるの?」 「……っ、女みたいに声上げられるかよ……それに、ここ家だぞ……」 喘ぎ声を聞いても楽しくないだろう、と肇は息を乱しながら言う。何より家族が家にいるのだ、こんな事をしているなんてバレたくない。 「……俺は聞きたいけどなぁ」 耳元で言われてそれにビクッとした。肇はイヤイヤと首を振る。 「じゃ、どうしても声を上げたくなるまで、いじめるしかないかぁ」 湊はそう言って、肇のズボンのベルトに手をかけた。片手で器用にそこを外し、フックとチャックも開けられる。 「ま、待て湊……そこは触らなくていいっ」 まさかと思いつつ、肇は湊の手を掴む。他人の手で触られる事に、まだ心の準備ができていない。 「……どうして?」 「どうしてって……、だから、さわ……っ」 肇は言葉を最後まで言えなかった。下着の上から、湊がそこを撫でてきたからだ。また背中を何かが這い上がる感じがして、思わず背中を逸らして天井を仰いだ。 (やばい、気持ちよすぎる……っ) 「……っ、ふ……っ」 肇は湊の肩を思わず掴む。下着越しなのにこれだけ気持ちいいなら、直接触れられたらどうなるんだろう? と考えて更に身体が熱くなった。 湊は肇の形をなぞるように撫でたり、袋をやわやわと握ってくる。特に先端を擦るように撫でられると、肇の腰は勝手に跳ねるように動いた。 すると湊は自分のベルトに手を掛けた。それから一気にズボンと下着を脱ぎ捨てる。そこにチラリと見えた湊のモノに、肇は気まずくて顔ごと逸らした。 (そ、そりゃあ、奴もこんな事してりゃ、勃つよな……) 制服のシャツですぐに見えなくなったけれど、湊もそれに気付いたらしい。軽く舌打ちしてボタン引きちぎる勢いでシャツを脱いだ。 「ちょ、お前、どこまで脱いでるんだよっ」 「え? だって、邪魔だし……」 湊が舌打ちした事にも驚いたけれど、イライラしたような湊の声にもドキリとした。普段ニコニコしている彼からは、想像もつかない態度だ。 湊は肇のズボンと下着を脱がせ、なんのためらいもなく肇の分身を握る。肇も触って、と手を湊のモノに触らされた。 湊は肇の唇にキスをすると、手を動かす。 「う……」 思わず声を上げかけた肇は、自分の手も動かした。 (み、湊の息が……) 間近で肇を見ている湊の吐息が、肇の唇に当たる。時折思い出したように唇に吸いつかれ、だんだん霞んでいく意識に手が疎かになっていたらしい、湊に注意される。 「手がお留守だよ? そんなに気持ちいいの?」 目を閉じると、ますます神経が研ぎ澄まされて、湊の吐息混じりの声にも反応してしまった。 「湊……もうだめ、イク……っ」 腰の辺りがゾクゾクして、湊を触るどころではなくなってしまう。しかし湊は許さず、自分の手は止め、肇の手をまた分身に持っていき、握らせた。握らせた手を離さないよう、上から湊が自ら握ってきて、そのまま上下に動かされる。 「……俺がイクまで、我慢できる?」 え? と肇は湊を見た。どうやら困った顔をしていたらしい、無理そうだね、と笑われる。 カッと顔が熱くなった。両足が意味も無くヒクヒクと動き、刺激を求めている。もう限界が近いのは明白だった。 「でも、俺ももう少し……一緒にイキたい……」 間近でそう言われ、恥ずかしさで顔を隠したくなる。けれど片手は湊が押さえているし、精一杯顔を逸らすしかない。 湊が肇の手を動かす。 「んん……」 彼の鼻に抜けた声が、肇の耳をくすぐってゾクゾクした。彼は普段から優しい声をしているけれど、こんな甘い声を聞けるのは俺だけか、と思ってハッとする。 (俺だけが特別って……恥ずかしい考えだな) 「……何考えてるの?」 見透かされたように湊に問われ、肇は肩を震わせた。 「い、いや……」 「……そう?」 そういう間にも、肇の手は、湊に掴まれ動いている。時折顔をしかめて、長く息を吐く湊はとても色っぽかった。 すると、湊がくすりと笑う。 「肇、俺見て反応してるの?」 「……っ!」 湊の止まっていた手が、ぬるり、と何かをまとわせて先端を擦った。 「ヒクヒクしてる……全然萎えないね」 「だっ、から、それ止めろって……っ」 湊の手が動き出した。ゆるゆるとした動きだったけれど、肇は敏感に反応し、再び意識が霞んでいく。 「だめ……だめ、イク……っ」 小声で叫ぶと、思わず空いた手で口を塞いで身体を震わせる。脳天を突くような快感に襲われ、肇は射精してしまった。 チカチカする視界が戻ってきたら、肇が一人で先にイッてしまったのだと気付く。 はあはあと荒い呼吸をしながら湊を見ると、彼はじっと肇を見ていた。イカされた恥ずかしさと、イクところをみられた恥ずかしさで、肇はカーッと顔が熱くなる。 「声、我慢しなくていいのに……いつもそうなの?」 湊は、肇が極力声を出さないようにしている事が気になったようだ。 「……知らねぇよ……」 いつもはどうかと聞かれても、答えてやる義理はない。肇はそっぽを向く。 すると、湊は肇の分身をまた擦り始めた。イッた直後で敏感になっているそこは、まだ硬くそそり立ったままだ。肇は思わずまた口を塞ぐ。 「なん、で……もう、イッただろ……っ」 カーッとまた身体が熱くなった。嘘だと思ううちに、また覚えのある感覚が肇を襲う。 「俺はまだだよ? 肇、先に一人でイッちゃうから……」 咎めるような声で言われ、何故かそれにゾクゾクする肇。何でこれに反応するんだ、と顔を隠すと、だーめ、と湊に手を外された。 「ほら、こっちの手は? ちゃんと動かして……」 「……っ」 おかしい、イッたばかりなのにまたイキそう、と肇は戸惑い、勝手に震える足と腰を動かないように力を込める。 湊がフッと笑った。 「またイキそう? すごいヒクヒクしてるよ?」 「……っ、言うなよっ」 肇はそう言いながら、湊の顔が見られなくて目を閉じる。湊はそんな肇の唇にキスをした。 「……っ、あ……」 肇の湊を掴んだ手の動きが早くなる。意識が霞む、ゾクゾクと身体の震えが止まらない。 「肇……イクよ?」 湊がそう言ってまたキスをくれる。 「んっ、……あっ! ……っ!!」 肇は悲鳴に近い声を上げて、射精の快感に身体を震わせた。同時に肇の手に、熱いものが降り掛かって、湊もイッたのだと知る。 「……うわ……」 肇は目を開けると、飛んだ精液の惨状を見て思わず声を上げた。肩で息をし、ベッドの端にぐったりともたれ掛かる。 「肇……」 呼ばれて肇は湊を見ると、彼は微笑んでこちらを見ていた。その眼差しの温かさに、肇の胸も温かくなる。 「ありがとう」 そう言って湊はキスをくれた。 「ん、お前、キス好きだよな」 「ん? うん……ずっとしてても良いくらいだよ」 ニッコリ笑って言う湊はどうやら本気らしい、恥ずかしげもなく言う彼に対して、肇は聞いた事を後悔した。 (コイツなら本当にやりかねん……) また顔が熱くなる。照れ隠しにティッシュの箱を投げつけると、上機嫌な彼はありがとうと笑うだけだ。 その後着替え直した二人は、他愛もない話をして笑い合い、落ち着いたところで湊を送り出す。 「じゃあ、また明日、お昼ご飯の時にね」 「おう」 「肇……明日はバイト?」 「ああ。……何でだ?」 肇が聞くと、湊はううん、と首を振った。そして笑顔で手を振って去って行く。女子が見たら、確実に騒ぐ程のいい笑顔だ。 (いい笑顔してんじゃねーよ……) 肇は照れながら、家に戻った。

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