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最終話 気まぐれな神様にイケメンをプレゼントされました

スマホのアラームが鳴り、俺の眠りは無理矢理に妨げられる。 いつもの朝に寝ぼけながら着替えを済ませて、バイトへと出かける。 「んー……何か夢を見た気がするんだけど……あんまり覚えてない。それに、何か寝たはずなのにダルい……」 額に手を当ててみても熱もない。何か違和感はある気がするが、時間は待ってくれないのでいつも通りに働くしかない。コンビニの早番は昼以外はそこまで忙しくもないので、朝の掃除が面倒なくらいだ。品出しもあるけど、その時間には別の人も来るしここで働いてからそこそこたっているから、ぼんやりしている程度でも問題なく働くことができた。 +++ その日の夜―― 来る予定の子が来れず、どうしても残って欲しいと頼まれた俺は、結局夜まで通しで働くことになってしまった。これもフリーターの性なのかもしれない。さすがに疲れたので、SNSでぼやいてから帰ろうかと近くの公園の自販機でコーヒーを買ってベンチに腰掛ける。 「あぁ……帰ったらまた読もうかな……」 プルタブを引き上げて何となく空を見上げると、今日も星が良く見えた。なんだか既視感を覚える。 「何か昨日も見てなかったっけ……え、また流れ星?」 そして流れる流れ星。俺は驚きながらも全く同じ願い事をしてしまったことに気付く。 せめて違うことを考えれば良かったと後悔していると、電灯の明かりが遮られ自分の前に誰か立っていることに気がついた。 (あれ?さっきまで人なんていなかったはずだけど……) 「サツキってホント素直だよな。そんなに俺に会いたかった?」 いきなり声をかけられて驚いて目の前を見る。すると、そこには男の人が立っていて―― パッと見、焦げ茶の瞳がクリっとしていて童顔っぽいのに堂々としている表情で、とても頼もしい感じに見える。自然な茶の髪の毛もキチンとカットされているし、軽く流してセットしていて大人っぽい。 服装も白のカッターシャツに黒のジーパンというシンプルなものなのに、胸元のボタンが数個外されていて、覗いている胸元が何だか色っぽい。仕草がいちいち決まっているせいか、総合的にカッコイイのだ。これぞ、イケメンなのかもしれない。 「って、待って。この感じ、前にも……」 俺の目の前のお兄さんは、本当に可笑しそうに声をあげて笑う。その仕草は凄く見覚えがあって、何だか他人だとも思えなくて。そう、確か―― 「1日ぶり?この町で暮らすことになりました。リツキです。よろしく」 全てを思い出してしまった俺のポカンとした顔を見たリツキは、愛おしそうに俺を見てからチュっと唇にキスをした。

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