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油断大敵な二人の関係

「阿川君って笑顔がいいよね、私ホントそう思う。爽やかな感じが漂っているって言うかさ?」 「そうですかぁ?」 「それに見た目がシュークリーム系男子って言うかフワフワした感じがするのよね。阿川君、正直モテるでしょ?」  アラフォー女子にそう言われるとあいつは再びヘラヘラしながら笑って答えた。 「シュークリーム系男子って何ですか? 俺ってそんな風に見えますかね? それに余り褒めないで下さいよ、照れるじゃないですか?」 「阿川君照れてるの? やだぁ、可愛い~!」  その瞬間、あいつの会話を黙って聞いていたが我慢出来なくなった。イライラして、握った紙をグシャッっと強く握り潰した。そしてあいつらの方をキッと睨んだ。 「ねーねー、今の見た? 葛城さん凄い怖い顔で私達のこと睨んできたぁ。やっぱりあの人、怖いわよね。いつも眉間にシワ寄せて難しい顔してさ~、あの人ってホントに笑顔ないよね?」  長い髪の女性社員が俺の方を見て来るとそう言ってきた。すると阿川が俺の方に目を向けてきた。その瞬間、しまったと視線を外した。そしてそのまま何事もない素振りで背中を向けて仕事の続きをした。 「そうですかぁ〜? 俺はそうは思いませんよ。葛城さんはあんな感じの人だけど、俺は彼の素敵な部分も知っていますし尊敬しています。多分、貴女よりも俺は知ってるつもりです」  阿川はそう言って彼女にそう言い返すと、然り気無く葛城の方に目を向けた。その言葉に心臓が一瞬ドキッとなると、無言で座っていた椅子から立ちあがり、書類を持って自分の席から離れた。そして、そのままコピー室へと向かった――。

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