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みたいな嘘
あたらしい朝が来た。
希望の朝だ。
目を擦って、伸びをする。
ベッドの中でひとり。
朝の光が差して、思わず目を細める。
立ち上がって、顔を洗いに行く。
いつもの顔。
鏡でまじまじと見つめる。
「おはよう」
「あ、おはよう。早かったね、起きるの」
「まあね。今日出かけようよ。どこ行く?」
「そうだなあ、天気いいね」
「うん、天気いいよ。洗濯、すぐ乾きそう」
「ありがとう、洗濯してくれたんだ」
「うん。さ、どうしようか」
俺は大好きな姿を見つめる。
大切な幼なじみの、その姿を。
何十年越しにまた出会った、その姿を。
○おわり○
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