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第21話

「....最近さ、樹とよく一緒にいる、あの金髪」 「うん....」 膝を抱え、豊を見ずに答えた。 「樹、あいつといるといつも笑ってて、安心した」 豊を見ると、豊の優しい微笑みがあった。 「....涼太から聞いた。涼太の嘘でないなら...樹も俺が好きだったって」 「....うん、あの日まで....」 「俺もさ、樹が好きだったのに、馬鹿だよな。樹に嫌な思いさせちゃったよな....ごめん。ずっと謝りたかった」 「....謝っても、もう戻れないよ、俺たち....」 「だな、なんでこうなるかな...まださ、恋心とか知る前の頃は単純に楽しかったのに。3人でよく遊んだよな、秘密基地、作ったり、ケイドロしたり」 「俺もそう思う...楽しかった、でも、もう戻れない」 「うん...俺、涼太を殴ったよ、こないだ」 思わず顔を上げ、豊を見上げた。 遠い目をした豊がいた。 「俺ももちろん悪いんだけどさ....あいつ、あんな感じだったっけ」 「....あんな、て?」 「なんだろ....なに考えてるかわからない。平気で嘘つくし、前はああじゃなかった気がしてさ」 俺は膝に顎を置き、考えた。 昔の涼太...いつもよく笑ってた。 俺の手を引いて。 いつも、樹、て声をかけてきて...。 「俺もだいぶ残念な奴だけど、あいつもなんか変わった気したり。悪く言うつもりはないけどさ....」 「....俺のせい、なのかな」 「樹の?なんで」 と、突然、勢いよく、部屋のドアが開いた。 「樹!」 思わず、立ち上がった。 「俊也、どうして...実家は?」 「LINEしても既読つかないわ、人来たから、ていきなりLINE止まったままだわ、心配するわ、アホ!」 チビ、の次はアホか、と俊也らしいな、と口元が綻んだ。 「じゃ、俺、おじゃま虫かな?じゃ、ありがと、樹。そして、ごめんな」 切ない表情から背中を向け、部屋を出る後ろ姿を無言で見守った。

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