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第33話(R18)

その後、警察署で事情聴取をし、寮に帰れたのは夜も更けた頃だった。有沢は現行犯で逮捕され、顧問は病院に運ばれたが重症だと言う。とりあえず春輝たちがやることは終わったので、しんとなった寮に戻ってきた。 貴之と寮の部屋に入り、ホッと一息つくのと同時に互いに抱きしめあう。そしてどちらからともなくキスをする。 貴之の手が春輝の両頬を包んだ。この仕草、良くするけど好きなのかな、とぼんやり思いながらキスを続けていると、彼の手が下へ移動しジャケットのボタンを外された。そのまま脱がされ床に落とされると、貴之はキスをしながら自分のジャケットも脱ぐ。 (こ、この展開ってもしかして……) 「ん、た、貴之?」 春輝が貴之の唇を避けて呼ぶと、彼の動きは止まった。しかし顔は唇が付きそうなほど近く、春輝はドキドキしてしまう。 「……するの?」 「嫌か?」 「嫌っていうか……話したい事いっぱいあるんだけど……」 それは後だ、と貴之の唇が触れる。後って、と言いかけた春輝の言葉はせき止められ、貴之の唇に吸い込まれていった。 貴之の唇が春輝の唇を吸い、舐め、甘噛みしてくる。春輝は時折腰の辺りがゾクッとする感覚に身体を震わせると、可愛いな、と貴之に笑われた。 「笑うなよ……恥ずかしい……」 「……悪い、つい」 移動しよう、と背中を押され、貴之のベッドに寝かされる。その瞬間春輝はやばい、と感じた。 (このベッド、貴之の匂いがする……) 「……どうした?」 「い、いや……貴之のベッドが慣れなくて……」 春輝は慌てて誤魔化すと、そういえばこっちに寝るのは初めてだな、と上にいた貴之が春輝の耳にキスを落とす。 「……っ、んっ」 肩を震わせた春輝のネクタイを、貴之は丁寧に外し、再びキスをしてきた。今度は舌を絡めてくる。そしてその間に、貴之は春輝のシャツのボタンを外していくのだ。 全てのボタンを外すと、貴之は一度顔を上げてキスを止める。そしてそっとシャツの前を開けると、はぁ、とため息をついた。 「な、なに?」 「……いや。色白だから予想はしていたが、男の身体でも、こんなに綺麗だと思うものなんだなって」 おまけに触り心地も良い、とお腹を撫でられ、恥ずかしさで顔が熱くなる。しかもその反応は、色白だからこそ分かりやすく、貴之を喜ばせることになるのだ。 「……ここも綺麗な色だし。可愛い……」 「んん……っ」 春輝は乳首に触れられて、思わず背中を震わせた。それをきっかけに貴之は再び愛撫を始め、春輝の首筋に唇を這わせる。 「あっ、……っ」 ゾクゾクとした春輝は、手の甲で自分の口を塞いだ。しかし貴之にそっとその手をどかされ、春輝はフルフルと首を振る。 「嫌だ、恥ずかしい……」 「……その恥ずかしい声が聞きたい」 そう言って、退かした手に指を絡められ、ベッドに押さえつけられた。温かい唇と舌が首筋から下におりていき、春輝のピンク色の乳首を好きにされる。思わず息を詰めた春輝は、空いたもう片方の手で枕を握り、力を込めてしまった。 (あ、貴之の匂いがする……) そう思ったらゾクゾクして止まらなくなり、春輝の腰は勝手にうねった。 「あ、た、貴之……っ」 「ああ、春輝可愛い……」 吐息混じりに言った貴之の声が掠れている。再びキスに戻ってきた唇を受け入れると、貴之の手がベルトにかけられて、思わず春輝はその手を掴んで止めた。 「どうした、春輝?」 「どうしたじゃないっ。そこは……っ」 そう言った途中で、貴之は春輝の股間を撫でる。 「あ……っ」 ゾクゾクして身体を震わせると、勝手に腰が動いた。それが、触ってくださいと言わんばかりで、春輝は必死にダメだと訴える。しかし彼は止める気配が無い。 じわじわと先端から何かが出ている感触がする。下着が汚れるのが嫌で、お願いだからと貴之に懇願すると、彼は聞いた。 「どうしても、ダメか?」 「……っ」 正直ここまでされたらイキたい。けれどそれを素直に言えるほど、春輝は慣れていなかった。 貴之は身体を起こすと、自分の制服を脱ぎだす。果てには全ての服を取り去り、また春輝の上に来た。 「……っ」 これでお前も一緒になれるだろ、と言った貴之の分身は、大きくそそり立っている。また春輝のベルトに手をかけた貴之に、慌ててそういう問題じゃない、と言うけれど、そのまま全部脱がされてしまった。 「ああ……やっぱり綺麗だな、ここも」 「……っ、そういうの、いいからっ」 間宮にも言われた事を思い出して、春輝は嫌な気分になった。何かを察した貴之が、どうした、とそこをやんわり握ってくる。 「……っ、ん……っ、嫌な事を思い出しただけだよっ」 「……悪い」 「あ……っ、……っ」 握った春輝の分身を、ゆるゆると擦りあげられ春輝の腰が跳ねた。春輝はまた枕を握りしめ快感に耐えると、貴之は気持ちいいのか、と聞いてくる。 「う、ん……、っあ……っ、それやだっ」 敏感な先端を親指で撫でられ、春輝はビクビクと身体を震わせた。すると貴之はそこへの刺激を弱くし、痛かったか? と聞いてくる。春輝はふわーっと意識が遠のき、甘い吐息と一緒に腰をうねらすと、貴之は唇の端を上げる。 「……気持ちいいのか」 「んん、だめ、……もうイキそう……っ」 春輝はそう訴えると、貴之は分身を持った手を握り直し、先端辺りで小刻みに扱いた。 「んんんっ、やだっ、それやばい……っ」 思わず貴之を見ると、貴之は笑って春輝の涙を拭った。そこで初めて、春輝は自分が泣いていた事に気付く。 「……一度イクか」 貴之も、春輝の様子に興奮しているのが息遣いで分かった。かぶりつくようにキスをされ、春輝はあっという間に絶頂に達し、お腹や胸に熱い精液が落ちてくる。 「んんん……っ」 ガクガクと身体が震え、顔を顰めて快感に耐えていると、気付いたら貴之がその顔をじっと見ていた事に気付く。見てるなよ、と力無く春輝は言うと、貴之はすごく可愛い、と額にキスをくれた。 すると貴之は自分の手を見せてくる。春輝のお腹だけでなく、彼の手にも大量の精液が付いていて、恥ずかしさで「そんなもん見せるな」とそっぽを向いた。 貴之がベッドを降りて手をティッシュで拭いている。そのままティッシュを箱ごと持ってきて、春輝の精液を丁寧に拭うと、気持ちよかったか? と聞いてきた。 「うん……」 再び上に乗ってきた貴之の肩に腕を回すと、春輝は小さく頷く。彼は春輝に軽くキスをしながら、ゴソゴソと何かをしていた。 「な、に、してるんだ?」 今度は貴之の番と起き上がろうとすると、そっと肩を押されて起き上がれない。そのまま、と太ももの裏を撫でられ、彼の手が後ろに来た時、春輝はヒュッと息を飲んだ。 「え、やだ……嫌だっ」 「春輝、……悪いようにはしないから」 そのまま足を開かされる。いくら相手が貴之でも、間宮と同じように後ろを使うとなれば、どうしても身構えてしまう。 貴之の指が後ろの、本来はその用途で使わない所を指で撫でた。指には何かが付いていたらしい、ヌルヌルとそれを塗り広げるように周辺を優しく撫でている。 春輝はそのむず痒いくすぐったさで身をよじると、痛かったらすぐに言え、とその指の先を入れた。 「あ……っ」 すると春輝の身体は勝手に、その指を奥へ奥へと飲み込んでいくのだ。 「……すごいな……吸い込まれていく」 「……っ」 春輝はやだやだと首を振った。 「貴之っ、お願いだから……っ」 抜いて、怖いと訴えると、貴之は大丈夫だ、と言って聞いてくれない。 「俺に掴まって……そう、力抜いて……」 貴之の言う通り彼を抱きしめて、彼の匂いに安心して息を吐くと、優しい声で耳元で囁いてくれる。 「春輝……好きだ。可愛い……」 春輝は可愛いと言われるのは嫌だと言いながらも、ゾクゾクして背中を反らす。 「……ん……、んん? ちょ、ちょっと待って」 「どうした?」 春輝はある感覚に戸惑い、自分の下半身を見る。しかしそこはなんの変化もなく、貴之の腕が春輝の足の間にあるだけだ。 しかしまた、今度はハッキリとした感覚がする。ぴくっと肩を震わせると、じわりとそれが春輝の分身に快感として伝わるのだ。 信じられない、こんなところで感じるなんてと、春輝はじわりと涙が浮かんだ。間宮にされた時とは全然違う感覚に戸惑い、貴之を抱きしめる腕に力を込める。 「た、貴之……なんかオレ……っ」 貴之が中に入った指で何かをしているのは分かる。でもそれを快感として素直に認めるのは嫌で、どうしたらいいか分からず涙が浮かんだ。 「良いのか?」 「わ、分かんな……っ、ああ……っ」 あと少しでイクというところで、貴之は刺激を止め、そっと指を抜く。そして春輝の両足を抱えると、大きく広げた。 「悪い春輝……もう限界だ」 その言葉と同時に、後ろに貴之の熱く滾った分身をあてがわれ、今度こそ春輝は本気で首を振る。 「嫌、無理……っ、そんなの入らないよっ」 いつもなら春輝が嫌と言えば止めてくれるのに、と泣きながら訴えると、貴之は苦しそうな顔でごめん、と春輝の涙を拭ってキスをした。 「う、……あっ!」 その直後に、春輝の後ろに貴之が入ってくる。指とは違う圧倒的な存在感に、春輝は息を詰め全身に力を入れた。 「……っ、春輝……春輝、力を抜け」 「無理っ、も、こんな……っ」 苦しくて顔を振るけれど、それでも貴之は止めない。ごめん、苦しいよな、と言いながらも腰を押し進めてきて、無理って言っているのに、と春輝は涙が止まらなくなる。 「春輝……っ」 「んん……っ」 貴之の息が熱い。彼が限界なのはその声、身体の熱で分かる。春輝も受け入れたいと思うものの、なかなか上手くいかなくて、オレこそごめん、と言うと抱きしめられた。すると力が抜けたのか、ゆっくりとまた貴之が入ってくる。 「……ああ、全部入った……」 「ん……っ」 二人とも、乱れた息を整えるためにしばらくそのままでいると、春輝は貴之を見上げる。彼も春輝を見ていて、辛くないか? と聞かれ頷いた。 「もう少し付き合ってくれ……動いてもいいか?」 「ん……」 吐息混じりの返事とともに頷くと、貴之はゆっくり動き出す。圧迫感に呻くけれど、先程指でされた時のような快感が出てきて、春輝は顔を顰めた。 「……痛いのか?」 貴之が動きを止める。春輝ははぁはぁと大きく呼吸しながら、貴之に抱きついた。 「大丈夫、だから……」 春輝が顔を引き寄せながら言ったので、無理していると勘違いしたのだろう。貴之はごめんな、辛いなと言って再び動き出した。 確かに圧迫感はすごい。けれど貴之と繋がっているという精神的興奮と、奥のある箇所に当たった時の快感とで、春輝も次第に何が何だか分からなくなっていく。 「ん、あ……っ、貴之……っ」 春輝はうわ言のように貴之を呼んだ。貴之も上ずった声で春輝を呼ぶ。揺さぶられながら貪るようにキスをし、貴之が声を上げる。 「春輝……っ、もう……っ」 「うん……っ、オレもまたイッちゃう……!」 春輝はビクビクと身体を震わせた。その瞬間ふわりと貴之の匂いがして、それにもまた反応する。意識が遠のくような快感が通り過ぎると、部屋の明かりが妙に明るく見えた。 貴之の動きが止まっている。顔を春輝の肩口に埋めているけれど、彼も全力疾走した後のように息を乱しているので、イッたのだと分かった。 「……貴之、ごめん……足が痛い」 ずっと足を広げて上げていたので、関節が痛くなってきたのを今更ながら意識する。 貴之が春輝の中から出ていった。いつの間にゴムをしていたのだろうか? 全然気付かなかったと思って、はたと気付く。 「貴之……何でそんなもの持ってるんだよ?」 というか、準備が良すぎる、と春輝は貴之を見ると、彼は珍しく視線を逸らした。 「その……アレだ。春輝に負担をかけられないと思って色々と調べていたらな……」 春輝は赤面する。一体何を調べているんだ、と突っ込むと、貴之は真面目な顔をして言った。 有沢を追いやることができてから、しようと思っていたんだ、と。 それなら貴之は、前々から準備していたことになる。春輝は口をパクパクさせると、やっとここまで来れた、と貴之に抱きしめられた。

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