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第1話弟との関係★(近親相姦あり)
成長した今でも夢に見る。
お母さんの怒鳴り声。
『ひいろ、だから触らないでって言ってるでしょう!』
俺は、触った機械を壊してしまうことがあり、その度に母に叱られ、時に手をあげられた。
俺だって壊したいわけじゃないのに。
でも俺は、この力をコントロールできなくて、暴走してしまうこともあった。
雷を操る力。
それが俺のもつ能力だ。
だから俺は、リモコンなどを壊すことがよくあり、研究者の指導の下、俺は革の手袋をして過ごすようになっていた。
力が目覚めたのは小学一年生の頃だ。
それでだいぶましにはなったが、ふとした瞬間に子供の頃のトラウマを思い出し、俺は暴走することがあった。
そのたびに母に怒られ、父にもひどく扱われた。
だから、高校に入るのと同時に俺は、家を出て祖父母が住んでいた空き家に住むことにした。
二度と家には帰らないつもりで。
家を出てから三年以上が経った。
俺は春から大学生になったが、変わらずひとり暮らしを続けている。
双子の弟が一緒に暮らすことを望んだが、親に反対されたらしい。
「俺は緋彩 と一緒に暮らしたいのにな」
大学の入学式のあと家に来た弟の蒼也 は、言いながら後ろから抱き着いてきた。
焦げ茶色の長めの髪。二重の瞳の弟は俺より背が高く、俺とは似ても似つかない。
二卵性双生児でそして、弟はアルファだった。
俺は黒髪で、二重の瞳だけは一緒だが、纏う雰囲気はまったく似ていない。
蒼也は俺と違い両親に可愛がられた。
疎まれて育った俺とは大違いだ。
なのにこの弟は、俺に執着している。
俺には近づくなと言われているはずなのに、毎月ここに来てこいつは……俺を抱くのだから。
「もうやめろよ、蒼也。俺は、お前とあんなことをいつまでも続けるつもりはないんだから」
言いながら俺は身をよじる。
俺は、人に触られるのが大嫌いだ。
この力は触れただけで相手を痺れさせ、時には失神させてしまう。
今でこそコントロールできるようになり、力の暴走も滅多になくなったが……触られるのは心底嫌いだった。
「なんで、俺は緋彩が大好きなのに」
言いながら蒼也は俺の耳に口を近づけ、そこをペロリ、と舐めた。
「あ……」
「俺は緋彩を守りたんだよ。あの醜悪な人たちから」
憎悪を込めた声で言い、蒼也は俺が着ている服を脱がせ始めた。
それと同時に、俺の心は蒼也を求め始めてしまう。
またこいつ……
「蒼、也……力を、使うのはやめろよ……」
「使わないと、緋彩、嫌がるじゃないか」
嫌に決まっているだろう。
弟に抱かれるなんて、耐えられるわけがない。
蒼也は、触れた相手の心を少しだけ支配する力を持っている。
だから、蒼也は俺を抱くと決めたときは、俺の心を支配し俺を欲情させる。
蒼也は服を脱がせながら俺にその力を使ったんだ。
抵抗できない様に。
ワイシャツのボタンを外し、肌着の上から胸を撫でる。
「う、あ……」
嫌なのに。
心は蒼也を求め始めてしまう。
「俺が抱くようになって、緋彩のここ、すごく大きくなったよね。これ、人に見せられるの? 兄さんは、俺だけの物だよ。俺だけが、兄さんの痛みを受け入れられるんだから」
違う、そうじゃないだろう。
お前がやっているのは、精神支配だ。
そう思うのに、蒼也の力によって欲情し始めた俺は、何も言えずただ与えられる快楽に反応するしかなかった。
蒼也の力が消えるころには、俺はすっかり快楽に溺れ、自分から求めだす。
その繰り返しだった。
どんなに拒んでも、蒼也は俺を抱くのをやめない。
いつかきっと、オメガが現れたら俺を容易に捨てるくせに。
偽りの愛情など、俺は求めていないのに。
蒼也の手は止まらない。
「蒼……シャワー、浴びないと……中、綺麗にしてないんだぞ」
息を切らせて言うと蒼也は手を止め、首筋に口づけて言った。
「そうだね。まだ時間はたくさんあるから、一緒に入ろうか」
その申し出に俺は拒否などできなかった。
俺の部屋のベッドの上。
ひとり暮らしにしてはでかいダブルのベッドなのは、蒼也が俺を抱くからだ。
「緋彩が手袋してるの、俺、嫌いだ」
寝転がる俺に跨った蒼也は、手袋をした俺の手を取りそして、手の甲に口づけた。
俺が風呂に入る以外はしている黒い革の手袋。
この特別な革手袋は、俺の力を遮断する。
だからむやみに電化製品を壊すこともない。
俺にとって、お守りのようなものだった。
「触るなよ、いくらお前でも、その手袋を外したら絶交だからな」
すると蒼也は、あからさまに嫌そうな顔をする。
「緋彩に嫌われるのは絶対に嫌だ」
なら、こんなことするんじゃねえよ。
わずかな時間とはいえ、俺の心を支配し、その気にさせて俺を抱くのは、最低な行為だろうに。
蒼也は俺に覆いかぶさると、顔を近づけ唇を重ねた。
俺の薄い唇を舌が割り、口の中を舐めていく。
俺はベータなのに。
なんでアルファの、しかも弟の性奴隷なんかをやってるんだ、俺。
疑問を抱くが、それは蒼也の力により、快楽を求める気持ちにかき消されてしまう。
「蒼……」
口づけの合間に名前を呼ぶと、弟は嬉しそうに微笑んだ。
「緋彩、俺だけの緋彩」
蒼也は俺の身体を撫で、乳首を弾く。
弟との関係が始まったのは中学二年の頃だっただろうか。
蒼也がアルファだとはっきりし、俺がベータだとはっきりした時。
その時から蒼也は俺に執着し、俺を支配している。
こんなのやめようと、何度も訴えた。けれどそのたびに蒼也は俺に触れ、心を支配しそして、抱く。
そんなことを繰り返して五年近くたった。
いつまでこんな関係を続けるんだ、こいつは。
知っているんだ。
蒼也に縁談がある事くらい。
俺は必ず捨てられる。
なのに蒼也は俺を手放そうとしない。都合のいい玩具か俺は。
蒼也の指が、ローションと共に俺の後孔に差し込まれる。
毎月抱かれているおかげで、そこはすんなりと蒼也の指を二本、飲み込んでいく。
「やっぱり柔らかいな、兄さんの中」
うっとりと呟き、蒼也は指を激しく動かしていく。
「う、あ……あぁ……」
弟に抱かれると言う嫌悪感よりも快楽の方が大きく、俺は喘ぎ腰を揺らした。
「もう、先走りがだらだらじゃん? 早く中にぶち込んで、啼かせたい」
余裕のない声で言った後、蒼也は俺の中から指を抜き、そして、俺の足を抱え上げる。
あぁ、中に挿れられる。
一か月ぶりの行為に俺は心を躍らせた。
蒼也の整った顔は、欲情し妖しい色を帯びている。
欲望にまみれたこいつの顔を見られるのは俺だけだ、という事実が、俺の心に奇妙な優越感を抱かせる。
「挿れるよ、緋彩。大好きな緋彩」
「あ……」
蒼也の亀頭が後孔に入り、そして狭い穴をこじ開けていく。
「う、あ……」
「やっぱ、緋彩の中がいい……」
うっとりと呟き、蒼也は奥まで腰を進めた。
「ねえ、緋彩。俺、この間、オメガを抱いたんだ」
「あぁ!」
なんでそんな話をこんなことをしながらするんだこいつは。
思いもよらない告白に、俺の心はざわつき始める。
最奥をこじ開けるように腰を回し、蒼也は動きを止めて俺の顔を見下ろす。
その顔に、笑みをたたえて。
「たしかにオメガは魅力的だけど。心までやりたくはないんだよね。俺には緋彩がいるんだもん。緋色の中は気持ちいいし、緋彩の心はいつだって俺のそばにいてくれる」
「ひ、あっ……!」
違うだろう。そばにいるわけじゃない、支配しているの間違いだろうに。
俺は何も言えず、快楽に溺れて腰を揺らす。
「そ、う……」
「一回味見して断ったけど。あれ、あと何回も続けるのかなあ」
言いながら蒼也は腰をひきそして、一気に腰を埋める。
「あぁ!」
俺の視界は白く染まりそして、びくん、と背を反らし達してしまう。
「ははは。イッたね、緋彩。中、すっげー締め付けてくる。気持ち良すぎて俺ももう出そうだよ」
蒼也は腰を激しく打ち付け、俺の身体を容赦なく揺さぶる。
こいつが一度達するまでに俺は何度イかされただろうか?
そんなの数える余裕もなく、終わるころに、俺は動けなくなってしまっていた。
タオルで身体を拭われた後、蒼也は俺の顔を撫でて囁く。
「緋彩、大好きだよ、緋彩」
その仄暗い囁きは、俺の心を支配する。
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