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男の娘わからせマッサージ

 ようやくチャイムが鳴る。  担任の説教かご高説か、どちらのつもりか分からない長話は打ち切りになって、クラスメイトは思い思いに席を立つ。その教室の片隅で、僕はそそくさと荷物をまとめてとっとと廊下に出た。  少し汚れた上履きだけを見つめながら、誰にも声をかけられないように、足早に階段を降りていく。下駄箱に辿り着くのは、たぶん全校生徒のなかでも一番乗りで、窓から陽キャたちに見つからないようになるべく校舎に沿って校門の外へ向かう。  敷地から出て、ようやく呼吸が出来た気がした――と思ったのに。 「相坂じゃん」 「へェッ!? えっ、へ、エッ」  慌てて振り向けば、陽キャのクラスメイトが立っていた。いつも誰かと群れている奴だけだけど、幸い今は一人らしい。 「そんなにビビんなって! お前いつもこんなに早く校舎出てんの?」 「ぅえ……、へ、へへ、ごめん」 「なんか用事でもあんの?」 「無い……です……」  僕に話しかけるな近寄るな! なんて言えるはずがない。なるべくコイツと距離を稼ぎたいのに、運動神経の良い帰宅部のコイツを、ゴミみたいな運動神経の僕が撒けるはずもなく。  なにが楽しいのか、変な相槌しか打てない僕と一緒に駅まで着いてきやがった。こんなはずじゃなかったのに、と歯軋りしても陽キャの耳には届かない。 「お前、何線で帰んの?」  思い出せ、そして嘘を吐け相坂桃也。一年のうちに話すことなど無いだろうに、必死に顔を覚えたのはこのときのためだ。僕はコイツをこの駅で見たことがあるはず。なぜなら鉢合わないように必死に逃げた記憶があるから。そのときコイツはどのホームにいた? 思い出せ、そして被っているなら、 「あっあっ、僕、ちょっと買い物行かないといけなくてっ、えっ、と、じゃ、だからっごめんなさい!!」  こういうとき、下手に嘘をつくとあとから面倒なのだ。帰る電車はだだ被り。なら、こうしてトイレに逃げ込んだほうが早い。陽キャの返事を聞くよりはやく、僕は最寄りのトイレに駆け出した。 (危ないところだった……)  本当は家に近い駅でけど、あいにく僕や陽キャが使う路線は本数が少ない。学校の近くじゃあまりしたくなかったけど、あまり時間を無駄にもしたくないし。 (たしか、一階のファミモは結構トイレ広かったよな)  そうと決まれば、さっそくファミモに向かうことにした。  駅のコンビニいえど、利用者の少ない西口側にあるファミモはちょうどよく人もまばらだった。これなら、問題なさそうだ。なるべく人目に付かないように全力で気配を消す。悲しいけど、僕の一番の特技と言っても過言ではない。  す、と音も立てずにトイレに入る。わざわざコンビニのトイレを使うのはここが男女共用だからだ。  なるべく占有しないように、迅速に。  リュックの奥深くに沈めていた、濃紺のスカートと甘栗のセーター、それからリボンを取り出した。黒くてダサい隠キャ代表みたいなおかっぱのウィッグも外せば、桃色に染めた長髪が流れ落ちる。  シャツはそのまま、甘栗色のセーターを着て濃紺のスカートに履き替える。脱いだ学ランをまたリュックに突っ込んだところで、トイレのドアをノックされる。まだ二分も経っていないけど、あとの準備は外ですればいい。リボンだけは付けて、トイレの水を流す。  外に飛び出せば、わりと厚い胸板に顔面から衝突した。 「ぅわっぷ!」 「ああ、すみません」  よろけたところを抱き留められる。 「大丈夫ですか」 「あ、あ、だ、だだ大丈夫ですっ!」  申し訳ないとは思いつつ、肩を抱いてくる腕から素早く抜け出す。あまり至近距離で、しかも肩まで抱かれたら男とバレてもおかしくない。  コンビニの外に出て、適当に長髪をツインテールにまとめる。スマホの暗い液晶を鏡がわりにしてみたら、うん、今日も僕はかわいい。  放課後、ゴミカス隠キャの僕は、かわいい女の子に変身するのが日課になっていた。小柄なことも、やけに声が高いことも、女の子になってしまえばそれはかわいいの一部として評価されるのだ。  隠キャ野郎には怪訝な顔をするコンビニの店員も、かわいい僕には優しい。まるで僕なんて存在しないように平然とぶつかってくる街のDQNたちだって、かわいい僕を目で追っては声をかける。  女の子になった僕はかわいい。  面倒なことも多いけど、最悪男の見た目に戻ってしまえば逃げ切れる算段もある。スクールカーストクソ雑魚最低ライン三軍補欠みたいな僕は、放課後に輝くのだ。  かわいい女の子になる利点は、やけに街からちやほやされる以外にもいくつかある。ひとつは、甘ったるいスイーツを一人で食べに行けること。それから、メイクやアクセサリーだって気軽にショッピングできる。  どれも、本当の僕(根暗陰キャ)がやろうものなら通報待ったなしのイベントだ。  新しいネイルが欲しかったから、ドソキでたっぷり吟味する。  それから、タピオカで喉を潤す。  なんとなく寄った本屋でファッション誌を選んでいたら、通りがかった女子中学生が僕をみて「かわいい〜」なんて言うからあっという間に鼻も伸びていく。  至福の時間はあっという間にすぎていくのだ。  もともと体力のない僕は、三時間も徘徊していればすぐゲッソリ出来る。帰るのが面倒になってネカフェに転がり込む前に、帰路につくことにした。  今日も楽しかった。スキップしそうな心地を必死に抑えながら歩いていたら、ふと、綺麗めなお姉さんから声をかけられる。 「全身マッサージ、学割キャンペーン中です〜。いかがですか〜?」  差し出されたのは≪学割/30分500円≫と書かれたクーポン。お姉さんのうしろには、小さなビルがあって三階には「リラクゼーションtahara」と書かれた看板が設置されていた。  マッサージ。500円。30分。  悪くない。  お姉さんに導かれるまま、僕はビルに入っていった。  チェーン店ではないのか、いかにも個人経営という感じの受付は、スタッフが手書きで書いたのであろうポップやチラシがいくつか張られていた。やれ血流をよくする方法だとか、家でもできる簡単体操とか。  手描きのコース説明書が出てきて、学割で受けられるメニューを教えてもらう。背中から足をまんべんなく、軽くほぐしていくらしい。気持ちよければ良いから、話半分に聞いて、同意書みたいなものにサインしていく。  そこで少しだけ、悪知恵が働いてしまった。  性別のところを女にしておけば、ワンチャン、綺麗なお姉さんにマッサージしてもらえるんじゃないだろうか。幸い僕はかわいいし、ぱっと見じゃばれないはずだ。施術は専用のガウンの上かららしいし、バレても「間違えちゃった♡」とシラを切れば良い。  しれっと、女の項目に丸を付ける。受付のお姉さんは、それを不思議に思うわけでもなく受け取って、僕を施術室へ案内した。  ガウンに着替えたらベルを鳴らして合図する。念には念を、体育服を下に履いているけどこのくらい別にいいだろう。  どんな美人のお姉さんが……とちょっとだけ期待しながら担当者がくるのを待つ。別に、男でもブスでも気持ちよければいいんだけど、やっぱり美人にしてもらうのが一番気持ちいいと思う。  だけど僕の前に現れたのはイケメン野郎だった。 「本日はお越しいただきありがとうございます、相坂様。施術を担当いたします田原と申します」 「あ……、ははっ、……いえ、別に……」  キラキラしてる。絶対陽キャだ。陽キャに接客業させるの、法律で取り締まるべきだと思う。強すぎる光は陰を消してしまう。 「あれ、お客様……」  陽キャの視線がじっとりと僕の頭から足を辿った。  なんだよその視線、気持ち悪いな。という僕の思いが伝わったのか、田原は「失礼しました」と短く言って、施術台に乗るよう促してきた。  若干の気持ち悪さを感じながら、素直に施術台に乗ってやる。かわいい女の子になって、何度か痴漢や付き纏いをされたけど、そういうことするのはだいたいデブかハゲか臭いか顔からバカが滲み出ているやつだ。田原みたいな男らしい顔の男なら、女にも困らないだろうし、さっきの視線はちょっとキモかったけどたぶん杞憂だろう。  綺麗なお姉さんの施術じゃないのは結構残念だけど、500円分のマッサージを堪能してやろうじゃないか。  大きくて、温かい手がガウンの上から添えられる。ぐ、と押し込まれるとそれだけで上ずった声が漏れそうになった。 (プ、プロすげえぇ〜! きもちいい〜!)  いわゆるツボを押されているのだろうか。数回強く押し込まれただけなのにもう体が軽くなった気がする。 「痛くないですか?」 「だいじょうぶでーす……」  ガウンの上からタオルもかけられているみたいだし、これなら男だともバレなさそうだ。なんか良い香りもするし、ほどよく温かい。痛みを感じない圧迫感が目蓋を重くさせていく。  田原がぺちゃくちゃお喋りするタイプじゃないのも手伝って、本当に寝てしまいそうだ。 「脚、さわりますね」 「はぁい」  太腿の裏を親指が押し込む。なんとなくくすぐったくて、膝から下を跳ねさせてしまった。うっかり田原を蹴ってしまう。 「わ、あっ、すみませんっ」 「いえいえ、くすぐったかったですか?」 「えへ、ちょっと」 「なかなか触られる場所じゃないですからね、脚って。背中だけにしておきます?」 「んー……、でも、きもちいからお願いします」 「かしこまりました。蹴っちゃっても大丈夫ですからね」  見た目にあわせて、口調も若干かわいこぶってしまうのは、正直自分でもちょっと気持ち悪いとは思っているのだけどなかなかやめられない。この見た目で隠キャもちょっとどうかな、と余計なことを考えてしまう。  くすぐったさと気持ちよさが同時にやってくる不思議な感覚。またうっかり田原を蹴らないように脚に力を入れていたら、少しずつ目も覚めてきた。  突然、脚に触れていた熱が無くなる。少しだけ振り向けば、マッサージの手を止めた田原と目があった。微笑みかけられて慌てて視線を逸らす。 「相坂様。恐れ入ります、少し席を外します。少々お待ちくださいませ」  田原は施術室から顔だけ出して、外にいるらしいスタッフと二、三言だけなにやら話す。そして、すぐに僕のマッサージに戻った。  30分のコースだけど、あとどれくらい残っているのだろう。 「あと15分です。リクエストがあればそちらをお揉みしますが、どうされます?」  僕の気持ちを読んだのか、ぴったりのタイミングで田原が言った。 「うーん、全部気持ちよかったからおまかせでいいです。あと15分かぁ」 「気に入っていただけて嬉しいです」 「すっごく気持ちいいからずっとしてて欲しいくらいですっ」  これは、ちょっとかわいこぶりすぎたかもしれないけど。こういうのも込みで僕はこの時間を楽しんでるから、と自分に言い訳する。  「それじゃあ、私のイチ推しの施術をいたしますね」 「やった、楽しみぃ」  田原の手が脚に添えられる。  そして、ガウンの中に滑り込んできた。 「んぇっ?」  男バレ防止のために履いてきた体操服をパンツごとずり下げられる。  突然晒されたお尻がすぅすぅしはじめた。 「大人を騙しちゃダメですよ、桃也」 「えっ、あっ、えっ!?」 「本当は男の子なのに、受付で嘘ついたでしょう?」  パニックになって起き上がろうとした僕の首は押さえつけられて、尻をぺちぺちと叩かれる。 「桃也くんみたいな悪い子にイチ推しのお仕置き(マッサージ)があるんです」 「は、はあ? なに、お前っ、こんなことっ」 「こんなこと、ってなんですか? 北高二年の相坂桃也くん」  目の前に置かれたのは、僕の学生証だった。 「勝手にカバン漁ったな!」 「人聞き悪いな、お前が落としたんだよ。コンビニのトイレに」  フラッシュバックするのは、ついさっき、学ランから着替えるのに使ったファミモのトイレでのこと。急かすようなノックをされた僕は、確かに落とし物がないかなんて確かめずにトイレを飛び出した。  そして――田原にぶつかった。 「女の子になりたかったの?」  敬語もどこかにやった田原が不躾に聞いてくる。  別にそういうわけじゃないけど、答えてやる義理もない。  口を噤んでいたら、濡れた冷たい手がお尻を撫でた。 「ひんっ」  振り返れないけど、濡れた手が尻を撫で回すたびにぬるぬるしたものが広がっていく感覚がする。たぶん、ローションだ。血の気がひいていくのを自覚した。隠キャだけど、そういうことを知らないわけじゃない。  察せないほど、バカじゃない。 「俺が女の子にしてあげるね」  ずぶ、と双丘の谷間の萎みに指が埋め込まれた。 「ひぐっ……、ぅ、ぁッ!?」  本来、なにかを受け入れるために作られていない場所は、たかが指一本を入れられただけで圧迫感に襲われる。逃げたくても逃げられない。身をよじっても、田原の指は僕の尻を追いかけながらピストンを開始させた。 「ふっ、ぅあッ、あっ……、くそっ、ぬ、抜けよっ」 「お仕置き中だよ? 抜くわけないじゃん」  じゅぶっ、じゅぼっ、とローションを絡ませながら指はどんどん早くなっていく。気持ち悪さに慣れてしまって、体が嫌がれなくなっていく。そのうち、ナカを犯す指が増えたのがわかった。 「まあまあ、ちゃんとマッサージだから。気楽に受けてよ。気持ちいいよ?」  ぐい、と指を曲げられる。腹側の浅いところを指の腹が抉った、瞬間。ぶわりと熱が全身に広がって、目の前がチカチカと点滅しはじめた。 「〜〜ぅあッ!?」  なにこれ。全身の力が抜け落ちて、代わりに腹のナカの一箇所だけがきゅうっと締まる。 「あっひィッ! やだっ、なにっ!? あっ、ぁあ゛ッ!?」  とん、とん、とリズムを刻むみたいに一点だけを執拗に責め立てられる。  情けない声を止められない。気付けば、僕自身は完全に勃ち上がってしまっていた。 「ぁンッ」  施術台に先端が擦れて、ぴりりと甘い刺激が迸る。慌てて腰を持ち上げたら、お尻を田原に見せつけるような体制になった。 「このままイかせてあげるから」  抜けていった指が三本になって帰ってくる。そして、ぐぽっと孔を押し広げられた。 「ヒッ、やだっ! やめっ……!」  気持ちいい場所を指の腹が優しく撫でてくる。これから、ここをいじめるぞ、と宣告されているのだとわかった。これ以上は絶対まずい。止めないと。焦る気持ちはあるのに、首を押さえつけられたままで体を起こせない。田原に向けて伸ばした手は空を切った。 「やめるわけないでしょ、お仕置きなんだから」  瞬間、勢いよく指が気持ちいいところをド突きまわし始めた。 「ぁああああッ!? あっ! ああっ! やだッ! やっ、あっあっあッ! おしりだめッ! あっあアっ!」  ローションをかき混ぜる音に脳を犯される。足の裏までジンと熱くなって、指から逃げたくて自然と腰が揺れる。間抜けな腰振りダンスを披露していると気付いているのに止まらなかった。 「やっあっああっあっはっああン! んっあっ! だめっそこっ! やだ! やめろッくそっ! やめろってえ!」  やばい、気持ちいい。声が上擦っていく。  女性器みたいに扱われるお尻のなかがキツく締まって、田原の指の形を感じた。僕とは違って太くて大きい。そんな指が、気持ちいい場所を何度も抉る。イキたくないのに、触れられてもいない僕自身が痛いほど膨れていた。亀頭を施術台にこすり付けないように必死になって腰をあげるけど、そうしたら今度は田原の指を強く感じてしまう。田原の指から腰を逃がせば、今度は腹と施術台が僕自身を圧迫するのだ。 「あっあっあっうそっ、やだっやめろっ、あっあっあっああっ!」  ぱんぱんに膨れた僕自身が、欲を吐き出したいと訴えている。  そして田原は、僕の気持ちいいところを強く抉った。 「~~っぁ、~~……ッ!!」  あ、と気付いた頃には頭が真っ白で、ぱたぱたと液体が飛び散る音がする。お尻の穴がじんじん痺れて、脳内にはぼうっと靄がかかっていた。  もしかして、今、僕はお尻でイかされた?  信じたくないけどこの倦怠感には覚えがある。力が抜けてへたり込んだ体にぬちゃ、と粘着性のある液体が着いたのがなによりの証拠だ。 「~~っ、ぁ、うそ、ぇえ……?」 「あれ、なんで射精してるの?」  指を抜いた田原は、今度はその手で萎えた僕自身を摘まむ。イッたばかりのソコを、優しくもにもにと手遊び始めた。逃げたいのに、腰が重くて動かない。それに、まだお尻のナカがずくずくと疼いていて、少しでも動けばどうにかなってしまいそうだった。 (学割マッサージって、詐欺じゃないか、これ!)  毒づきたいのに息を整えるのに必死でなにも言葉が出てこない。  逃げなきゃ、と思うのにどうにもならない。 「女の子は射精しないって、知らない?」  僕自身の根元に、わずかな圧迫感。いつの間にか首を抑える手は外れていて、体を起こして自身を見れば、根元にリボンが括り付けられていた。 「なんだよこれ……っ」 「桃也くん、女の子だもんね」  施術台の高さをあげられたと思ったら、何食わぬ顔で肩を抱かれた。 「さわるなっ」 「施術中なんだから暴れないで」  突き放したいのに田原はびくともしない。  どこから取り出したのか、田原の手にはフックみたいな形をした何かがあった。どんなものかは知らないけど、僕にとって良くないものであることは確かだ。 「これ、エネマグラって言うんだけど、知ってる?」 「知らない、もういいだろ。帰せよ変態!」  絶対弱みを見せたらいけないと思って、噛みつく勢いで言い返す。だけど田原は笑顔を張り付けたまま言葉を続けた。 「桃也くんの、メススイッチをずっといじめてくれるよ」 「ふんっ、意味が分からないな」 「さっき触られて気持ちいい場所あったでしょ」  その言葉で、一瞬だけ腹の奥が疼いた気がした。いや、絶対気のせいだ。気持ちいい場所なんて僕にはない。僕は男なのだ。なにかを挿入されて気持ちいいなんて、そんなものはない。  だけど、田原がエネマグラとやらで腹を撫でるから、頭の中でさっきの強い快感がぶり返してくる。  あんなの夢だ、現実じゃないと思いたいのに、散った精液とずくずく疼く腹はどうしても本物だった。 「桃也くんは女の子だから、きっと気持ちいいよ」  ぐ、とエネマグラがお尻に入ってくる。田原の腕を掴んでも意味が無かった。 「あ、やだ、やだっ、いれるなっ」  せめて、僕自身に巻き付けられたリボンだけは取らないと。でも伸ばした手は掴まれて、簡単にひとまとめにされる。 「やだ、やめろよっ、なんで、あっ……」  頭の上に持ち上げられたと思ったら、カチャン、と金属音がした。  見上げれば、両手には手錠がついていた。丁寧に仰向けに転がされる。両手をつなぐ鎖には、さらに錘が繋がった。試しに腕を動かしてもほんのわずかにしか上がらない。少し動いただけでもエネマグラが気持ちいところを抉った。 「ひぃんっ」 「なんでって、わからないかな。桃也くんは女の子になりたいんだよね? だからメススイッチいっぱい押してメスにしてあげる。ついでにいっぱい汗かいて嘘吐きな悪いところもデトックスしちゃお。終わる頃にはになれるから」  なんだよコイツ、マジでやばいやつじゃん。  脳内で警鐘が鳴り響いているのに僕の体はもうどうにもできない。田原の大きな手が腹の上を這いずって気持ち悪い。  初めて見た時はちょっとしたイケメンに見えていたのに、今の田原の笑みからは薄暗い気持ち悪さしか感じられなかった。  怖い。逃げたい。  でも、自分一人じゃ絶対に出来ないと気付いて、ようやく体が震えていく。  ちょっとした悪戯のつもりだったのに。なんで、どうして? ちょっと嘘ついただけじゃん。僕が悪いの、これ。 「あ……、だ……れか……」  か細い声しか吐き出せない。カチカチと歯の奥が鳴っていた。 「大丈夫、他のスタッフは先に帰らせたから誰にも聞かれないよ。恥ずかしがらずに啼いてね」  そうだ。さっき、田原は施術室から顔だけ出して、外のスタッフとなにやら話をしていた。  安心して、と耳元で囁かれる。  もしかして、いま、僕、もう、これ、――終わってる?  エネマグラがお尻のナカで暴れ回る。  気持ちいいところをただひたすらに、執拗に揉みこまれていく。イッた衝撃で腸壁がエネマグラを締め付けて、絶頂のさなかにまた強い快感が襲ってきた。目の前はとっくにチカチカして、視界は滲んでいる。馬鹿みたいな嬌声しか上げられない僕を、田原はニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべながら見ろしていた。 「ぁあ゛ッ、あ゛ッ! ぐぅ……ッ、ぅう! ぁあンッ! あっあっアッ! アッ! イぐっ! イぐぅううッ!」  快感に飲まれて体が大きく跳ねる。腰を浮かせて振ってみたり、脚をばたつかせたり。どうにかならないかともがく僕の姿は、たぶん滑稽だ。 「イくとき足がピンッて伸びるの、かわいいね」  施術台で溺れる僕の頭上に立った田原の手が、僕のお腹や腰を撫でる。何度もイかされた体は敏感になっていて、指が這うだけで身をよじってしまう。 「~~ッさわ、んな! へんたいっ!」  容赦なく胸の突起をつままれて、ジンと熱が拡がった。 「あンッ!」  ひっぱりあげられて、こりこりと捏ねくり回される。最初は気持ちよくなんてなかったのに、何度も触ってくるから気持ちいい気がしてしまう。それに、ここを触られるとどうにもナカが敏感になるのだ。  ひと際強く、弱い場所にエネマグラがめり込む。 「ぃいいんッ! あっやだっ! こりこりしないでっ、あっあっだめっ! あっイくっやだっ、やだぁああ゛! ~~ッ!」  またお尻でイッた。  一度も射精を許されていない僕自身はぱんぱんに膨らんで、僕の真ん中で間抜けに揺れている。もうイキたくないのに、僕自身は早くイかせてくれと訴える。せき止められた精液たちが玉袋のなかで暴れ回っている。 「嘘吐いたの、反省した?」 「したぁ! したからっ! はずせよぉおッ! もうっイくのッや……ッ! あっ、またっ、クるっ! あッああ゛、あ、あ、あ、  イぐっ! おしりイッちゃううぅうッ!」 「反省してる子の口ぶりには思えないなぁ」  今度は僕の足元に移動した田原は、施術台の横に置いてある棚からなにかを取り出した。 「もお仕置きマッサージしてみようか?」  聞こえてくる機械音に、慌てて頭をあげる。田原の右手には、AVで見たことがある電動マッサージ機が握られていた。  凶悪な振動音が鼓膜を揺らす。こんなに絶頂から逃げられないのに、そんなものを体に当てられたら。僕の体は本当に壊れてしまう。  だけど嫌がる素振りも許してもらえなかった。激しい振動を続ける機会は、僕自身の根元に押さえつけられる。 「ッんぉおお゛ッ!」  熱く痺れる。ぶるぶる震わされて、気持ちいいのに果てられない。絶頂を認識できないくらい、強すぎる快感が僕を飲み込んだ。 「お゛ッお゛ッおぉ゛ッ! イぐのどめでッ! ごわれりゅッちんちんこわれりゅからああ゛っ!」  射精したい。でもイキたくない。めちゃくちゃな刺激が頭をおかしくしていく。  電動マッサージ機は、根元からゆっくり先端に向かっていった。暴れる僕の脚を、田原が簡単に抑え込む。裏筋を執拗に往復されて、お尻が閉まってイッて、今度は鈴口をぐっと押し込まれて、振動でカウパーを撒き散らしながらまたお尻が果てる。ずっとイッてる。壊れる。泣いてもやめてもらえない。気持ち良くて馬鹿になる。怖いのに、イキたくないのに、僕の体は絶頂から逃げられない。 「やだぁあああ゛ッ! イぐのつらいよぉッ! イギだくない゛ッ! ぉ゛~~ッ! ……ッ! あっまだイッた! イッてるのぉ! とめてよぉッ! しんじゃうっやだよぉおおッ!」  泣きじゃくる僕を、田原は鼻で笑った。 「物分かりの悪い子だなぁ。悪いことしたらなんて言うの? ごめんなさい、でしょ」 「ごめんなしゃいッ、ごめんなっしゃいっ! はんせえしてるからあっ! ちんちんばかになっちゃう゛ッ! はあ、あ゛ッあ゛ッお゛ッぉお゛っ! イぐっイぐっ! やだッイキたぐないぃッ、あ゛、ごめんにゃさいッごめんなさいっイきたくないです! はんせいしてましゅッ! イくのやだやだやだやだイくっ! イッてるのにイッちゃうからぁああ゛ッ!」  目の前が一瞬真っ暗になった。  いま、たぶん意識が飛んだんだ。ほんとに死んじゃうんだ。  そのくらい、快楽が怖い。強すぎて、どうしようもない。  暴力的な快楽を与えられすぎた体は、痙攣しながら、しばらく玩具たちが離れていったのに気付かなかった。  全身がぴくぴく震えている。 「ぉ゛……ッ! ……ッ! っ、ぁ゛、ぅ゛……!」 「ちゃんと反省出来た?」  必死にうなずく僕の涙を、田原の親指が拭う。それから、ようやく、しゅるりとリボンを解いてもらえた。  ずっと締め付けられていたせいか、根元からじんわり熱くなっていく。でも、やっとイケる。 「あぁ……っ」 「うん。それじゃあ、反省できたいい子には、ご褒美をあげようね」  カチと、短い音がして、また見えない場所で鈍い機械音が鳴り始めた。  僕の顔をのぞき込む田原の瞳は暗くて、赤く染まった頬が気持ち悪い。ごくり、と喉が鳴ったのが見えた。クリスマスの前の子供みたいな無邪気な表情にも見える。 「女の子にしてあげるね」  自然と、首を横に振っていた。  やだ。女の子になんかなりたくない。  振動を再開した電動マッサージ器は、また僕自身にあてられた。 「ひぎゅぉおぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛ッ!」  せき止められ続けた精液が一気にあふれ出す。びゅるびゅると、おしっこみたいに飛び出て止まらなかった。 「まずはココを完璧なクリトリスにしようか。クリトリスは射精なんかしないからね、全部出しちゃおう」  果てても果てても、また射精を強制される。田原は僕自身を優しくつかんで、竿全体を丁寧に電動マッサージ器で辿り始めた。 「イぐぅうう゛う゛う゛ッ! イぐっ! でてる! でてるからあッ! まっへ、ッぉ゛、ぉおッ! ぉ゛ッ ぉお゛!」  射精が止まらない。終わらない。  倦怠感を覚える暇すら与えてもらえない。  イかされたそばから強制的に勃起させられて、また射精させられる。  ずっとびゅくびゅく精液が飛び出していた。 「ぁお゛っ、ほぉ゛ッ、あ゛、ああ゛ッやら、ちんちんおがしいっ、なんでえ゛っ! ごめんなさいしたっだろおッ!」  脚がガクガクしてする。僕自身だけじゃなくて、全身が壊れていく気がした。  恐ろしいほどどうしようもないのに、気持ちよくて馬鹿になっていく。 「ちんちん、ってどこかな。女の子にちんちんはないよ?」  半笑いの田原が、電動マッサージ器を玉袋に押し上げてくる。激しい振動に合わせて玉袋がびちびちと跳ねた。 「あっあ゛、あ゛、イキだぐないッ! やだ! やだやだやだっぁ゛、お゛、ぅぅう゛ん゛ッ! イぐっ! イぐぅう゛ッ!」  連続射精を強制された僕自身からは、もうちょろ、と液体がこぼれるだけだ。勃たされてはすぐ果てさせられるから、どんどん勃起もできなくなっている。ふにふにで柔らかいままの僕自身は、それでも振動の刺激に踊らされた。 「やだぁあっ、もうイけないっていってるじゃんっ! なんでっ、ぼくがっ、あ゛、イぐイぐイぐっ、~~ッ!」 「ははっ、泣き顔ぶっさいく。かわいげあるじゃん」 「うぅぅうう゛っ、ひっぐ、ッ、ぁ゛、やめろよぉっ、しんじゃうっ、~~っぁ゛、はっ、んん゛、んん゛ぅ゛ッ!」 「仕方ないな、どこがやめてほしいのかちゃんと言えたらやめてあげるよ。ほら、どこがしんどいの?」 「はっはっ、んぐっ、ぅ、ちん、ちんっ、もうやだっ、やめて、ゆるしてっ……!」 「だから、ちんちんなんて無いでしょ? わからない? 女の子の気持ちいいところ、クリトリスって言うんだよ」  知ってる、女の体くらい。  でも僕は女の子じゃない。僕の、途方もないくらい気持ちよくて苦しい場所は、クリトリスなんかじゃない。  これは、僕が、男だっていう証明なのに。小さくて体力も無くて、いつも隅っこでじっとしている僕の唯一の『男』の部分なのに。 「ぅう~~っ!」  言いたくなくてぼろぼろ涙がこぼれていく。可愛い格好は僕なりの諦めだったけど、捨てたわけじゃなかったのに。  でも、これ以上気持ちいいと、本当に女の子にされるような気がした。 「ッ、く、りとりしゅっ、いじめんの、やめてください……っ」 「よく言えました」  ようやく振動が止まる。  田原が僕の手錠を外した。でも、体を動かせない。みっともなく開いたままの足も、閉じられない。 「~~っ、ぁ、……んっ、ぅ」  余韻が抜けていかなくて、少し動いただけでもまたイキそうだった。  はやくここから駆けてでも逃げないといけないのに、そんな余裕がどこにもない。  そのうち、施術台がゆっくりと下がっていった。そして、田原の膝が施術台に乗る。 「えっ……?」  動けない僕に覆いかぶさってくる。ふと下を見れば、田原の中心が大きく盛り上がっていた。 「あ、えっ? い、いやだよ、うそ、やだっ、だめ……!」  思えば、当たり前だ。見知らぬ男子高生を襲ってくる変態が、自分も気持ちよくなりたいと思わないわけがない。むしろ、最初から挿入を伴っていなかったほうが不思議なくらいだ。  火照っていた体が一気に冷えていく。  自分のか細くて必死な呼吸が落ち着いたせいで、獣みたいな唸り声が聞こえてしまった。 「処女も卒業しようね……」  にたぁ、と気持ちの悪い笑みに凍り付いているうちに唇を奪われる。僕の両足は田原の肩に駆けられた。  田原のスラックスがずりおろされて、僕のとは比べ物にならないくらい、凶悪な大きさのイチモツがまろびでる。 「やだっ、やだっ、ぁ! ひゃあっ!」  ローションをお尻に直接かけられる。そのまま、熱い肉棒がお尻の穴を塞いだ。  怖くて声も出なくて、力なく首を振る僕を、田原は楽しそうに見下ろす。ぐ、腰を押し込まれて、めりめりと萎みが拡がり始めた。 「い゛……ッ、ぐぅうッ、ぅ、ア゛、あ゛、あア゛ッ」  ナカに異物が埋まっていく。圧迫感で息が詰まった。ずぶ、ずぶ、と小刻みに腰を振られながら、しっかりと深い場所まで入ってくる。限界まで広げられて、どうにか元の形に戻ろうとする腸壁が田原自身を思い切り締め付ける。田原の形をお腹ではっきりと感じた。 「はッ……、処女まんこキッツ……」 「ぅう゛ぅう゛う゛ッ」  行き止まりを押し上げられる。苦しい、辛い、もう嫌だ。  一度は止まったはずの涙がまたこみ上げてくる。 「泣いても終わんないよ、ばーか」  瞬間、腰を思い切り掴まれた。ずるりと勢いよく肉棒が引き抜かれる。 「んぉお゛ッ!?」  ぱち、と甘い電流が走る。田原自身に絡みついた腸壁をそのまま持っていかれるかと思った。それは強制的に排泄させられるような、強烈な、快感だった。  質量のあるそれが、またズンッと奥まで入ってくる。そして今度はゆっくり、ローションを優しくかき混ぜながら引き抜かれていく。 「ぉお゛ッ、お゛ッ? お、ぅ、お゛、ぉお゛ッ」  体が痙攣し始めた。さっきまでの強い快楽にうちのめされているからじゃない。  今度はじわじわと追い詰められている。ゆっくり、確実に、田原が腰のストロークを繰り返せば繰り返すほど、僕は絶頂に近づいていくのだ。嫌なのに、男のちんこで感じている。お尻が、熱くて太い男性器を扱いて喜んでいる。 「ぁ……っ、やだ、せっくす、だめだよ、ぼく、やだ、あ、あ……っ!」 「桃也くんも気持ちいい? えっちな声出てる。こんなにヤラシイまんこしてさ、ちゃんと女の子に近づいてるね」 「ちがっ、ぼく、おんなのこじゃ……っ」 「女の子だよ」  田原の腕が僕の体を抱いた。背中に腕が回って、肩をくすぐられる。ビクつくたびにお尻が締まった。 「ぁ、やだ、離せよ、ごめんなさいって、言ったじゃんっ」 「ふふ、本物の女の子になるまでいっぱい犯してあげるからね」  ぎりぎりまで引き抜かれて、亀頭がナカの気持ちいいところを抉りながら最奥までを貫いた。 「やっ、~~~~ぁあ゛あ゛あ゛ッ!」  太い田原のちんこがお尻のナカを蹂躙してくる。熱くて気持ちいい。奥をごりゅごりゅいじめられて、たまに亀頭がメスになっちゃうところにキスしてくる。引き抜かれるたびに、お尻の縁が引っ張られてぐぽっと音を立てた。田原の荒い息が、耳から脳へ送り込まれていく。うわごとみたいに僕の名前を呼んで、かわいいね、女の子だね、言ってくる。 「ぁあ゛っ、お゛、ぉ゛、ンッ、ふぅうッ、ぅッ、ぁ゛、あ゛、あ゛あ゛っ、アア゛!」  摩擦で体の芯から熱くさせられる。お尻がただの排泄器官じゃなくなってしまう。  気持ちいい。じゅぼじゅぼと激しいピストンがもっともっとほしくなっていく。嫌なはずなのに体が嫌がってくれないから、おねだりするみたいに田原自身に絡みついていった。頭がのぼせていく。田原の腕の中で、みっともなく犯されていることがどうしようもなく気持ちよくなっていく。 「ぁあ゛ッ、ひっ、イぐっ、イぐっ、あっあっ、ああっ!」  目の前がくらりと回る。痛いくらいナカを締め付けて、一生懸命に田原を感じようとする。  両足がピンッと伸びて天井を向いた。  どうしよう、イっちゃう。僕、男なのに。お尻でどんどん気持ちよくなって、いじめられて嬉しくなっていっちゃそう。 「やだっやだっ、あ、イッちゃう、おしりでイッちゃう……っ、ぁ、ああ゛ッ、あッ、あ゛、あア゛!」  どちゅッ、と僕のメスになる場所を扱かれて、そのまま最奥を突きあげられる。 「い、……ッ! イぐぅッ~~~~ッ!!」  深いところで何かが弾けた。びくびく全身が痙攣して、お尻が、僕のおまんこが、田原のちんこを揉みしだいた。 「はあッ、……んっ、ぁ、……ぁあ゛」 「上手にメスイキできたじゃん」  絶頂が重たくて深い。全然引いていってくれなくて、僕の体はずっと快楽の海に溺れている。  田原自身が一瞬大きく膨れた。深い場所に直接精子をかけられる。敏感になった僕の雄子宮は、びゅくびゅくと溢れ出てくる精液をぶっかけられて喜んでいた。行き止まりで亀頭にちゅ、とキスをしてお礼をしている。お腹に埋まる田原自身を、僕の体は歓迎していた。 「あぁ゛、……っなかだし、だめなのに……っ」 「孕んじゃったらどうする?」 「やだ……、あかちゃん、いらないっ……、ぼく、男なのに……」  うわごとみたいに呟く僕の唇を田原が塞ぐ。不快感を覚える余裕もなかった。 「立派な女の子に近づいたね、桃也ちゃん」  きゅむ、と胸の突起を摘まみ上げて、それからしゃぶりつかれる。  それから、また田原がナカで形を持ち始めたのが分かった。  情けなくて、早く逃げ出したい。止まらない涙を田原は笑った。 「すぐ泣いちゃうの、女の子だもんね」  違うって言うのが怖くて、つい僕は、頷いていた。  咥えさせられたディルドがまんこのナカで暴れ回る。  真っ暗な受付の待合室で、僕は田原を待っていた。入り口にはシャッターが下りている。  座っていられなくて、ソファに転がってお尻を突き上げる。絶頂とまではいかないけれど、絶え間なく甘い痺れみたいな快感が体に居座っていた。 「ごめんごめん、おまたせ! 結構時間かかっちゃった」 「~~ッ、ぁ、ぅッ、んっ……んんっ」 「桃也ちゃんの潮が結構飛び散っててさぁ、明日も早めに入ってもう一回掃除しなおさないといけないかも」 「ぁ、ぁ、ぁ、……っ、んっ、ンッ、ぁッ」 「聞いてる? あっ、ちゃんと挿れっぱなしにしてたね、偉い偉い」  ここに来るとき着ていた制服に着替えさせられているせいで、お尻をあげているとスカートがめくれて丸見えになってしまう。それを気に入ったのか、田原はぺちんっと尻たぶを叩いた。 「ぁンッ!」  ほんの少しの刺激なのに、ナカが変にうねって敏感になる。きゅうっとディルドを締め付けると、イボが雄膣内に食い込んだ。 「はい、ご褒美」  突き出るディルドを掴まれる。そんなことを認識するより先に、激しく抽挿を始められた。すっかりゆるゆるのまんこは、簡単に出入りを許す。それどころか、もっと刺激が欲しくて自分からディルドを抱きしめていた。 「ぁあ゛、あ゛ああ゛ッ! イぐっ、イぐっ! おんなのこイキするッ!」  精液とローションが混ざり合う汚い音はどんどん大きくなっていった。  また体が熱い。何度も何度もイかされて、ほんの少しいじめられただけですぐに強い快楽に突き落とされる。 「イぐぅっ、おまんこイッちゃうぅう゛ッ!」 「ちゃんと言えるようになってきたね」  くしゃくしゃに乱れたツインテールを撫でながら田原が言う。  気が済んだのか、ようやくナカのディルドの振動が止まった。 「はい、じゃあパンツ履いて」  絶頂の余韻で力の入らない僕に、むりやりパンツを履かせてくる。わざとらしく持ち上げられて、ディルドの先端が雄子宮を押し込んだ。 「ひぅッ」  それから、勝手にスマホを取り出される。僕はそれを見ていることしかできない。  田原は、僕の指を掴んでロックを解除した。 「はい、おうちの人に電話して」 「え……」 「いいから、はやく。お友達のおうちに泊まるって言って」 「で、でも、もう帰るって、」 「うん。俺んちに、ね?」  血の気が引いていく。やっと終わると思っていたのに。  連絡帳を開かれる。友達なんていないから、家族の名前が四人分並んでいた。  親にかけられてしまわないうちに、咄嗟に兄の名前を押す。田原はニヤつきながら僕にスマホを渡して、それから胸に手を伸ばしてきた。 『もしもし桃也? 珍しいな、こんな遅い時間までどこにいるんだ』 「あ、えと……たっ、たす……っ、ひぁあッ」  ぎゅむ、と強く突起をつねられる。じん、と熱が拡がった。それから何度も指でこねくり回された。  助けてって言わなきゃいけないのに、上手に喋れない。下手なことしたらなにをされるのか分からないから怖くてしょうがない。それに、こんなことをされて善がったなんて絶対に言えなかった。 『桃也?』 「なんっでも、ないっ……! ぼく、きょう、ともだちのいえにとまるっ、か、ら……ッ」 『友達って、お前、友達とかいな、』  ボロが出る前に通話を切る。すぐ喘ぎそうになったけど、ごまかしきれただろうか。 「よし、帰ろうか、桃也ちゃん」  腕を引かれて立ち上がるけど、すぐによろけてしまう。田原は器用に僕を支えて、お姫様みたいに抱いた。  怖いのに、情けないのに、僕の体は期待に疼いていた。胸の突起にまた触ってほしい。絶頂から抜け出せない苦しみを忘れない。なにより、田原の雄を思い出しては無いはずの子宮がきゅんきゅんと寂しがっているのだ。  僕は、本当に女の子になったのかもしれない。うわついた頭でそんなことを思った。

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