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第32話

「ありがとうございました」  ニコニコした笑顔の夫婦に見送られパン屋シュプールから出て行く古田と寧人(よしと)。なぜか奥さんの方は寧人の方を見てもっと微笑む。  営業車に乗り込んだ二人はお土産として渡された大量のパンの中からそれぞれ好きなパンを選んで、同じく一緒に渡された紙コップに入ったコーヒーを飲む。 「あの奥さん、絶対、寧人に惚れてる」 「そんなことないよ……でもなんか視線感じました」  寧人は人からモテる経験はなかった。だからその視線をうけることが照れ臭かった。  部下の女子社員からもそのような視線を送られることもあり、モテキ到来かと少し浮かれている寧人である。彼はクリームパンをかじる。古田はアンパンを食べながら資料にメモをする。彼は少しうーむとした顔だ。 「あのパン屋、狭いし出入口が一つだから一般のお客さんと配達員が同時に入られるとタイムロスどころかもしなんかあったらフードジャンゴ側の印象も悪くなる。  確かに今はお前みたいにリモートワーカーも増えて自宅でもああいう手作りパンも食べたいけど行くのが面倒っていうやつが増えてきたからなぁ」 「確かに面倒だけど……店によっては焼き上がる時間違うから焼き立て食べたいよね……このクリームパンだってさっきできたばかりのだよね、久しぶりに出来立て食べたけど甘くて美味しい」 「ん? どれどれ」  と古田は寧人の口の端についたクリームを指で拭い舐める。 「んー、甘い……まだこっちにもついてる」  と、ついてないのに寧人の反対の口の端に指をやる。古田はジトッと寧人を見る。 「……」 「……」  寧人は古田の手を持ち中指を舐めた。アレを舐めるかのように。朝は一護(いちご)のアレを舐めたのだが。 「あほぅ、まだ次があるぞ。次は蕎麦屋。運転中に資料読み上げろ」 「はい……」  自分で指を出したくせに、と寧人は思うのだが……古田はエンジンをかけた。 ◆◆◆  昼過ぎのラブホテル。 「あっん……あんっ……」 「んっ……んっあっ」  午前中に全ての営業先に行ったのちに、最後に行ったラーメン屋にてスタミナラーメンを食べた後に二人は耐えきれずに交わった。二人はもうこうなることは予想できていた。  ニンニク多めのラーメンのせいか独特の匂いがするが二人同じ匂いだから気にしないのか、それよりも性欲が増すのか、もうお構いなしでシックスナインをしている。  だがなんか古田は満足してなさそうである。そしてフェラを途中でやめ、自分のアレを寧人の口から外した。 「古田さん……?」 「ごめん、なんか全く調子が出ない」  と、ベッドから降りてバスローブを纏う古田。 「二時間制だからあとの時間は今日の営業先のまとめをしろ」 「は、はい……でも」  寧人のアレは勃ったままである。古田はギロッと睨んで 「自分でなんとかしてこい」  と言い放つ。寧人はうなだれて風呂場に行く。  寧人はラブホテルは初めてで自分の部屋の風呂も引っ越ししてからは十分広いがここの風呂もかなり広い。 「これぐらい広いと一護ともっとイチャイチャしやすいのになぁ……」  よく風呂場で一護といちゃついているのを思い出すが、一護は背が高いためいくら広い風呂でもイチャつくのが少し難しい。  でもその狭さが故に体が密着して興奮が増すのだが……。 「古田さんはなんであんなにスイッチオンオフ激しいんだろう。自分から誘っといて止めるだなんて全然抜けないじゃん。前は車内であんなに甘い感じだったのに」  と自分で自分のアレをしごくが、その時寧人は閃き、濡れた体のまま古田のところに行った。  古田はパソコンを開いてしかめっつらで営業先のまとめをしていた。 「おい、体拭いてでてこいよ!」 「古田さん、風呂場に来てっ」 「はぁっ?」

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