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第143話

人の口にとは立てられないと言うし、仕方がないのかもしれないけれど、噂になったら会社に居ずらいなと考えてしまう。 ぽろっとそんなことを呟くと、北田さんが眉を八の字にした。 「でもさ、噂なんて一時的なものだし、そのうち忘れるよ。」 「それならいいんですけど……」 「そもそもそんな噂流れた時点で人事部は相当怒られるんじゃないかな。情報管理がなってない人事部なんて怖いし」 「たしかに」 「それに皆そこまで批判的じゃないかもよ。俺も別になんとも思わないし。時代遅れな考えじゃやってけないよ」 励ましてくれる彼にお礼を言って、顔を上げた。 僕達は悪いことをしているわけじゃない。 だから怖がる必要は無い。 自分にそう言い聞かせて「よし」と気合を入れ、仕事に戻る。 暫くしてヒロ君からスマホにメッセージが入った。 『今行ってきた。とりあえずはこれでやる事終わりだね』と。 「……何もありませんように」 ヒロ君に『ありがとう、お疲れ様。』と返信をしながら、一人そう呟いた。

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