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第1話

クーラーの付いてないこの部屋は、このまま死んでしまうのではないかという程に蒸し暑くて、俺は盛大に舌打ちをした。 一粒の汗が頬を流れ落ちる。 夏は嫌いだ。 この時期になると どうしようもなく死にたくなる。 「イラついてるね」 足元で青アザと血で汚れた幼馴染みが倒れたまま小さく笑った。 「…うるせぇよ」 ガンッッ、と顔を顰めて幼馴染みを蹴りつける。 小さく呻いて蹲ったそいつを見ると少しだけ気分が晴れたような気がした。 夏は嫌いだ。 この時期になると どうしようもなく死にたくなる。 六年前の夏の日、 俺は実の母を殺し、そして埋めた。 忌まわしい記憶が消える事は無い。 あの日の俺はもうどうしようもなくて、 何故だか大嫌いな幼馴染みに縋りつくことしか出来なかった。 あの頃を思い出し、もう一度顔を顰める。 足元では小さな呻き声が再び聞こえた。

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