30 / 192

闇夜の皓 6

 着物を剥いだ翠也の背中は闇に浮かび上がる白さを見せる。 「  絵を……描きたくなる」  その真白さに目を細め、ゆっくり確認するように撫でてから舌を這わせた。  ひくり と彼の肩が揺れて…… 「絵を?」 「うん、朱色が映えそうだ」  息を擦りつけるようにして背に喋りかけると、彼は堪えるようにぎゅっと身を縮めた。 「ぁ  っ」  項を舐め、膝の上に彼を抱く。  膝にすっぽりと収まる翠也の首筋を舐めながら、前に回した指で赤い蕾を探した。 「んっ! それ、はっ……やめてください  っ」  きゅっと摘まみ上げると、面白いように膝の上の体が跳ねる。 「どうして?」 「変……変に、っなります……」  俺がその粒を指で捏ねるに従い、彼は膝を擦り合わせるようにもぞもぞと動いた。 「どこが変に?」 「っ⁉」  辛うじて帯で体に絡んでいる着物の隙間から、わずかなふくらみが見て取れる。  耳朶を食み、舌で転がして感触を楽しみながら足に掌を這わす。  はっはっと犬のように短い息の合間に、乾いた喉を潤すためかごくりと唾液を飲み下す音がする。  指に触れるしっとりとした内太腿の感触と、時々手の甲で擦るふくらみ。 「ふぅ……んっ」  肩を舐めながら、胸の蕾と脇腹、それから腰の薄い皮膚を柔らかく愛撫すると、翠也の背中が逃げるように反る。  逃げるようにも見えるその体を掴まえ、床に倒すとさながら手折られた花のようにも、蜘蛛に掴まった蝶のようにも見えた。  足を掴み、ちろ と舐めてから開かせようとしたが、今までの従順な様子とは裏腹にその脚は頑なだ。 「ん、足を開いてごらん」  だだをこねる子供のように、翠也は首を振って着物を掴む。 「いやっ」 「どうして? 舐めさせてくれるんだろ?」 「こ、ここは、駄目ですっ」  上げられた固い声同様、態度は和らぐことはない。 「翠也くん?」 「こ、こわ  い、から」 「あぁ、この間みたいに無理はしないよ」  な? と問いかけながら、やはり開かない足をなぞって指先を着物の中へとこじ入れる。 「ほら、堪能させておくれ」 「──っ」  褌に沿うように指をやれば、なんとか先端が中へと潜り込む。 「君が傍に居ない間、苦しくて仕方がなかったんだから」 「でも……」 「うん?」  彼は恥じらい、口元に手をやって一瞬迷いを見せた。 「な、舐めるわけではないのなら、そっと……しておいてください」 「それじゃあ苦しいだろ?」 「く……苦しいですがっ置いておけば治まります!」  以前の行為を思い出したのか、翠也はぎゅっと服にしがみついてくる。

ともだちにシェアしよう!