軽く吸い、下唇に軽く歯を立てて舌でくすぐった。 　俺にしがみついたままの彼は、ぴくりとも動かず咥内への蹂躙をただただ従順に受け入れている。 　 　ぴちゃりと水音が耳に響く。 　繰り返し彼の唇を舌で舐め、伺いを立てるように隙間に先端を抉じ入れ、女の陰を解すように丁寧に舌を動かす。 「ぁ……ぅ、　　」 　息苦しさに耐え切れなくなった翠也が小さく呻いた。 　空気を求めて背けられる顔を追いかけ、口を開いた瞬間に舌を差し込む。 　跳ねる体に逃げることを許さず、 　ただ、 　ただ、 　彼の咥内を犯す。 　両手を掴んで床に押し倒すと、彼はまた固まってしまった。 　これ幸いと顎を押さえ、上を向かせてその歯列をなぞる。 「あ、ぅ、　っぅ……」 　翠也から零れる呻き声が心地よく耳を打つ。 　唾液を含ませて掻き乱し、舌の裏をくすぐってやると、びくんと魚のように体が跳ねる。 「翠也、もっと口を開いて」 「　　っ」 　上顎も舐めて刺激すると、握り締めていた拳から力がすぅっと抜けていく。 　ぐったりとしたところを更にたっぷりと蹂躙してから、俺はやっと唇を離した。 「……は、っは、ぁ　　」 　吊り上げられた魚のように空気を求めて口を開く。 　その紅く腫れた唇の端から、卑猥にてらりと光る唾液が垂れる。 　 　真珠色の歯の奥に潜み、ひくりと蠢く軟体動物のような舌に指を置く。 「ん、んっ」 　押し出そうとしているのか、舐め取ろうとしているのか、ぎこちなく動いて指の先を濡らした。 　舌を指に替えて再び頬の裏や舌を愛撫すると、涙の滲んだ虚ろな瞳のまま舌が絡む。 「────　　これから、君を犯すよ」 　最後の通告を声に出すと、返事なのか仰け反らせた白い喉をこくりと動かした。 　俺でも持ち上げることのできる体は軽く、両腕に抱くと羽が生えて飛んで行きそうだ。 　横抱きに抱きかかえられ、驚いた顔をするも目はとろりとした情欲を映したままだった。 　自室に敷いていた布団に翠也を下ろしながら、頭の片隅で玄上の武勇伝を思い出さなくてはと息を詰める。 　今まで、女一本できた。 　男を組み敷く日が来るとは思いもしなかった。 　知識は、ない。 　かつて酒の席で興味本位に聞いた玄上の言葉だけが頼りだった。 　はだけた裾から手を差し入れ、太腿をなぞってやるとぶるりと翠也の震えが大きくなる。 「ぁ、……そこは、　　」 　不安そうに伸ばされた手を掴み、いつものように舌を這わせた。 　塩気と……甘味。 　じゅるりと指を吸い上げながら、着物を乱して胸の蕾を探す。 「あっ！」 　期待につんと尖ったものが指の腹に触れた。