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第11話 薬と王子
ああ、やはり来てしまった。
私は見渡す限りの草原を遠い目で眺める。
「はあ……どうしてまた、このタイミングで夢に誘うのですかねぇ」
「それは僕も知りたいよ」
「うわぁ! ショウ様!」
私はいつの間にか隣にいたショウ様に驚き、今の聞いていたんですか、と尋ねる。ショウ様は少し拗ねたように口を尖らせて、リュートは迷惑かもしれないけど、と仰った。ああ、可愛い……って、また私、ショウ様の魔力にあてられている!?
「では、毎回私を夢に誘うのも無意識なんですか?」
「……」
気を取り直してショウ様に尋ねるけれど、なぜかショウ様は答えて下さらない。こころなしかショウ様の頬に赤みが差したような気がするけれど、気のせいだろうか?
いや、でもそんなショウ様の頬も、思わず舐めまわした……いやいやいや、どうしても思考がショウ様の魔力によって、そちらに流される。しっかりしろ私。
ショウ様は、相変わらず夢の中では一糸まとわぬ姿で、私はその桜色に色付いた胸を思わず見てしまう。
ぷっくりとわずかに膨らんで、先がつん、と立っているそこは、そんな所も肌つやがいいなと思わせるほどで、摘んでみたい衝動に駆られた。
いかんいかん、夢の中とはいえ、ショウ様に手を出したと知られたら、私の首が物理的に飛ぶ。
「リュート」
「は、はいっ」
「……薬、待ってきた?」
持ってきた、とは? と首を傾げそうになって、私は手の中にコロンとしたものがあることに気付いた。
……どうして現実でもらった薬が、夢の中にも持ち込まれているのでしょう?
「ふ、不思議ですねぇ! なぜ、こちらでも薬を持っているのでしょう!?」
「挿れて」
──やはりそうなりますよねええええええ!?
夢の中特有の、都合のいい展開に私は慌てるけれど、ショウ様は私にお尻を向け、その柔らかな肉を広げて自らの蕾を見せてくる。
艶のいい肌がたわみ、綺麗な菊の花を見せられ、私は思わずその腰を掴んで、強引に地面に下ろし、ショウ様を四つん這いにさせてしまった。
「す、すみませんっ! つい……っ」
いつの間にか私の息は上がっていた。下半身にも熱が集まりつつある。これはダメだ、早くショウ様から離れないと。
「いいから。早く挿れてっ」
「ショウ様!? 当たり前のことをお聞きしますが、薬をってことですよねっ!?」
ショウ様の言葉が、なぜか違うものを指しているように聞こえて、私は目眩がした。だから、どうして座薬にしたんだ、と私はあの二人を呪う。
「欲しいのリュート、僕の準備はできてる!」
「ああああ! だから、いちいち変な言い回ししないでくださいっ!」
私の心臓が忙しく動き始めた。耐えろ私! ここが正念場だ!
「いいですか!? 薬を挿れるだけですからねっ!?」
私はショウ様の柔らかなお尻を掴み、座薬をあてがった。期待したようにひくつくそこを見て、ますます息が上がる。
ダメだ、ショウ様からいつか嗅いだ、いい香りがしてきた。クラクラする……っ。
私はこの危険な状況を早く終わらせようと、薬を一気に押し込んだ。小さく悲鳴を上げたショウ様の声に、私は座薬が出てこないよう、そこを押さえながら、ショウ様の上体を引き起こし、後ろから力の限りギュッと抱きしめる。
上がった息が収まらない。身体が限界まで熱くなっている。
「リュー……ト……」
「ショウ様……すみません……。あなたの魔力に完全にあてられてしまいました……」
早く離れなければ、と思うけれど、ショウ様のスベスベした肌を意識してしまい、撫で回したい衝動を抑えるのに必死だ。
触りたい。そのなめらかさと柔らかさを、手でも口でも堪能したい。ショウ様を愛したい。
「苦しい、の……?」
ショウ様の、こちらを心配するような声を聞いて、私は限界を超えてしまう。私はショウ様の細い首筋に、舌を這わせた。
張りのある肌は舐めても心地よく、その首筋を吸い上げると、ショウ様はひくりと肩を震わせる。
そして私は、ショウ様の身体のあちらこちらに口付けをする。座薬を押さえていた指は、私の理性の声を聞かず少しずつ奥へと入っていき、ショウ様は高く掠れて泣きそうな声を上げた。
「ショウ様……すみません……ああもう、可愛いです」
興奮で赤く染まっていく小さな肩や、触ってと言わんばかりに硬くなった胸の突起。そこに触れて指で弾くと、ショウ様の腰がカクカクと揺れる。同時に後ろもうねって指を締めつけ、私は指を抜いた。
「ひあ……っ!? リ、リュート……?」
片腕でショウ様を抱きしめながら、私は限界まで張り詰めた怒張を、ショウ様の後ろにあてがう。え、と戸惑ったようなショウ様の声を無視して、その肉棒を奥へと押し込んだ。
「──ア……ッ!」
途端にショウ様が私の腕を掴み、足腰を小刻みに震わせる。私は両腕でしっかりとショウ様の身体を抱きしめると、真っ赤になったショウ様の耳たぶを甘噛みした。
「……ッ!!」
ショウ様は全身を震わせる。ギュッと息を詰め、身体を硬直させたのでイッてしまったのだろう。ああ可愛い。もっと……もっとショウ様の乱れた姿が見たい。
「あ……、あ……っ、リュート……っ!!」
「ショウ様……、ショウ様。可愛い、いい匂いがする……」
私は意識が朦朧としたまま腰を動かし、ショウ様を穿つ。熱い粘膜が私を包み、締め付け、吸い上げる感触に夢中になった。掠れた嬌声を上げるショウ様の顎を掴んでこちらに向かせ、興奮で赤く色付いた小さく柔らかな唇を吸い上げる。
するとショウ様は顔を歪め、声も上げられないほど喘ぎ、ショウ様の綺麗な男の象徴から絶頂の証が吐き出された。
そこからは、何が何だか分からなかった。ショウ様はずっと軽くイッていたらしく、後ろも痙攣し続けていて、私はその刺激に、精液が無くなるかと思う程に搾り取られる。
「……っ、ショウ様……、すみません……」
長く続いた射精にようやく身体が落ち着いてきた頃、私はやってしまったことへの後悔に、息を切らしながら何度目かの謝罪をする。するとショウ様は、私の後頭部を引き寄せて、軽くキスをして下さった。
ああ、夢の中とはいえ、ついにショウ様に手を出してしまった。オコト様と魔王様にどう説明したらいいか……。
後悔先に立たず、である。
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