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have a good aftertaste2

「うぅ……気分が……」 「吐くなよガマンしろ」 「目が回る……いや世界が回る……胃袋と三半規管が仲良くローリングしてうっぷす」 周囲を雑居ビルに囲まれたバーの裏手。ネオンのお零れが照らすそこは四角い空き地になっていた。 隣のビルの屋上には看板がでかでかと光り、銀の鱗粉を散らして蛾がたかる。 最初の一杯が間違いだった。 あれから調子にのったピジョンは、目に付いたカクテルを手あたり次第に注文し、ハイペースにグラスをあけていった。 コイツ案外イケる口だなと感心したのも束の間、三十分後にはすっかり酔い潰れてこのザマだ。気付いた時には一人じゃ立てないほど泥酔していた。 気持ち悪いとしきりに訴えるので、肩を抱いてトイレへ行ったら生憎塞がっていた。 事は一刻を争うとあせった劉は、階段を上って裏に回った。 「……ださいね、俺」 世話かけてごめん、と弱々しく詫びる横顔を見れば、怒る気力も萎えていく。 「一杯目が美味しくて……止まんなくって。ヤバいって頭じゃわかってたんだけど、カラダふわふわしちゃって、なんか全部どーでもよくなって……」 ピンクゴールドの前髪に隠れた眸がとろんと濁る。 「……せっかくの夜、ぶち壊した。ホントごめん」 「あー……それはもういいよ、気にしちゃねえし。日を変えて飲み直そうぜ、な」 階段から二人分の靴音が上がってくる。 釣られてそっちを向けば、ウサギ耳の女と鱗肌の男のカップルがすっかり出来上がった状態で歩いてきて乳繰り合いだす。 おいまさか嘘だろ? 「酔っちゃった……暑~い」 「OKOK脱がしてやる」 「爬虫類の肌ってひんやりしてて気持ちいい~もっとぺとぺとして」 「ウサギは年中発情期だってホントだな」 「そーそー性欲絶倫なのアタシ、一緒にピョンピョンしちゃお~」 ウサギ娘が大胆に上着をはだけ、トカゲ男がそのスカートをたくしあげる。 正視に憚る光景に亜音速でそっぽをむけば、二組目のカップルがやってくる。しかも男同士。 「本当にやんの?」 「部屋着くまでもたねーだろ。気にすんな、まわりもみんなお仲間だ。有名なヤリ場なんだよここ、そろそろ賑わいだす頃だ」 「人に見られながらだと興奮するね」 「思う存分見せ付けてやろうぜ」 いやいやいやいや待てよ待てって? 劉のツッコミ虚しく、盛りが付いたゲイカップルは早速おっぱじめる。 「あァんやっいいっそこぉっ、あふッやァっあァああんァっあーらめぇもうイくイッちゃうのぉ――――!」 「ふあっ、ァあっんあっ、奥当たってすご、もっと擦って」 立ちバックで挿入されたウサギ娘が甘ったるく喘ぎ、ガタイのいい男が室外機に腰かけた青年を抱え上げる。 「………………」 落ち着け俺。 素数を数えろ。 「そうだよ……そうだったんだよ……なんで忘れてんだよ」 劉も若い頃はウリをしていた。 オーラルセックスのみの条件付きでだが、ウリはウリだ。トイレの個室やバーの裏路地はその手の商売に実に好都合だし、性欲にかまけてホテル代をケチるカップルに大人気。 かれこれ十年近く前の話だし、忘れていても無理はない。というか、彼にとっては忘れたい過去だ。 「ピジョン歩けるか、とっとと移動するぞ。貞操守りてえなら長居は無用だ」 迂闊だった。大失態だ。 脂汗にまみれて他のカップルを観察すれば、尻を剥かれて喘ぐウサギ娘とばっちり目が合い、そらす暇もなくニッコリ微笑まれる。 「なあにじっと見て……4Pするー?」 「は?え?はァ!?」 「アタシはいいよ、おにーさんよく見るとカワイイし」 「ヤッてる最中に浮気すんなよ」 「え~いいじゃんケチ、やァんっ!?」 「どうするアンタ、お望み通りコイツを挟んで嬲ってやるか?食いしん坊なうさちゃんはニンジン一本じゃたりねーとさ」 「勘弁してくれ、そっちの趣味はねえよ」 「視姦に興奮するとか業が深ェな。個人の性癖はどうでもいいが、ツレは限界みてえだぜ?放置プレイもほどほどにしとけ、さすがに可哀想だ」 ウサギ娘を追い上げながらの彼氏の指摘にハッとする。 「おいピジョン……」 様子がおかしい。 ふいにピジョンが劉に抱き付き、その手をとって口に運ぶ。 「ふ…………」 劉の小指を甘噛みし、ゆっくりと含み、チュウと吸い立てる。 「待てよ何して……」 「べとべとしてる……さっき零したろ、酒」 ピジョンが微笑み、劉の指一本一本をおいしそうにしゃぶりだす。 「もったいないよ、あんなおいしいの」 「ありゃてめえがしなだれかかってきたから」 「ちょうだい」 熱い舌が指の股を丁寧にねぶり、巻き付き、ぺちゃぺちゃ下品な音をたてる。 脳髄に響く甘い音と感触に、下半身がジンと痺れる。 「正気じゃねー……気色ワリィことすんな、離せ」 肩を掴んで軽く揺するが、本人は寝ぼけた半眼のまま、劉のてのひらを舐めまわす。 口の中でこねまわされた指が熱く溶ける。 舌と唇を使った愛撫に、悪寒と紙一重の快感がぞくぞく駆け抜ける。 「ッ…………やめろ」 舌打ちし、ピジョンの肩を掴んで憤然とひっぺがす。 「いい加減にしろ!」 ピジョンがびくりと硬直する。 その顔がみるみる泣きべそに変わる。 「……あ」 「劉は俺のこと嫌い?」 「いや別に」 「いいよ……ホントはわかってたんだ。俺がバカで腰抜けだから、どうしようもなくニブくてダメなヤツだから、言われたことちっともマトモにできないから」 「ンなことひとっ言も言ってねーだろ馬鹿」 「ほら馬鹿って言った……やっぱりそうなんだ……俺がやらしーから、欲しがりだから、嫌気さしたんだろ」 絡み酒かよ鬱陶しい。 ピジョンは鼻をすんすん言わせてぐずる。 「俺だってがんばってるのに……」 「ハイハイわかってるよ」 「みんな俺のこと嫌いなんだ……」 「みんなって誰」 「劉も……スワローも……先生も……」 ピジョンがべそをかく。 「……俺は抜いとけよ」 「なんで」 「嫌いじゃねェし」 「好きなの」 「あー……まあ、な。ダチとしてな?」 「疑問形にするなよ、傷付く……」 「~~~面倒くせェ奴だな」 ピジョンが涙に湿った睫毛を伏せ、シャツの内側の鎖を手繰り、十字架とタグをもそもそ引っ張り出す。 「……『これ』がバレたら、嫌いになる」 「これってどれ」 ピジョンがためらいがちに劉を見、気恥ずかしげに唇を噛み、潤んだ目をまた背けて自らの首の一点を暴く。 華奢な鎖が取り除かれた下からあらわれたのは、薄赤いキスマーク。 それはおよそ童貞が服を着て歩いてるようなピジョンに似付かわしくないもので 「やるじゃん。オンナいたんだ」 棒読みで褒めれば何故か俯いて、頼りなく揺れる視線を地面に逃がす。 「ばれたら母さんに嫌われる」 「お前のお袋って娼婦だろ?息子がキスマークこさえて帰ってきたら喜ぶんじゃねーの、知らねーけど」 「そうかな」 「男の勲章だろ。ロザリオで隠すのは罰当たりだけど……んなせこいマネせず堂々としろよ、悪さしたんじゃねえだろ」 「……そうだといいな」 力なく前傾、劉の胸にことんと額を預ける。 身長はたいして違わないが、酒が回って弱気になったピジョンは痛々しいほど幼く見え庇護欲をそそる。 繊細すぎて生きにくいローティーンの家出少年を保護した気分だ。 「しゃんとしろよ、背骨がキャンディーバーみてえにぐにゃんぐにゃんになっちまってる」 「俺がダメなヤツだからみんな離れてく」 「まだ言ってんのか」 「スワローと比べたら何やらせても劣る」 「わざわざ比べて自傷して楽しい?」 「楽しくない……」 「んじゃ打ち切り」 「俺がこんなでも嫌いにならない?」 コイツは重症だ。 「捨てられるのは、いやだ」 痛切な懇願。 「おいてかれるのはやなんだ」 呂律が回らない独白を挟んで顔を上げ、ひとりぽっちの迷子のように、真正面から劉を見詰める。 「なんでもするから……嫌いにならないでくれ……」 捨て犬のような顔。情けない表情。 コイツ、どんだけ不憫な幼少時代を過ごしたんだ? 「捨てねえよ」 「本当?」 「数少ねェダチと縁切ってどうするよ、借金頼めねーじゃん」 ふやけきった泣き笑いに続き、ピジョンが心配そうに尋ねる。 「劉は大丈夫?辛くない?」 「突然なんだよ」 「毎日キズだらけじゃん……おっかない上司にいじめられてるんだろ」 「あー……」 「マフィアから足洗えばいいのに。言っちゃなんだけど向いてない、他の仕事さがせよ」 「簡単にいうなよ、スーパーのレジ打ちでもやれってか」 「劉のレジに並ぶよ、お得意様になるからまけてくれよ」 「レジの行列は人気取りじゃねえ」 「チョコバー一本でいい」 「まからねえよ」 「ケチだな」 「いまさらカタギに戻れっか。てかさ、お前こそどうなの」 「俺?」 「暴れん坊居着いて大変だろ、毎日好き放題振り回されて……よく我慢が続くって正直感心。辛くねェ?」 「子供の頃からだからなれっこさ」 「それが偉いよな、俺ならとっとと追ん出てる。スワローは他人と暮らすの向いてねェよ」 「ドアは蹴って開けるもんだって思い込んでるんだよアイツ、信じられるか?皿洗いも掃除も洗濯も俺にばっかやらせるんだ、自分はサボって口ばっか。アイツのが絶対要領いいし、美味い飯作るのに……」 不満げにむくれるピジョンの頭になにげなく手をおく。 コイツとは結構トシ離れてたっけ。 遊びたい盛りで都会に出たろうに、いい兄さんであろうと常日頃から気を張る青年がけなげで、ピンクゴールドの髪をくしゃりとかきまぜる。 「酒の力借りてストレス発散もいいけどためこみすぎんなよ、兄貴がわりに愚痴くれえ聞いてやっから」 こん位の年頃のとき、俺には頼れる人間がいなかった。 なら自分がそうなればいい。 「さすがにお袋代わりにゃなれねーけど、背格好も似てっし兄貴ならなんとか……て肌の色違うか」 最後は冗談にして笑えば、正面にたたずむピジョンがほわっと笑み崩れ、甘えるように一言。 「兄さん」 劉を、そう呼ぶ。 悪酔いしそうなラスティ・ネイルの眼差しで。 「劉が俺の兄さん」 「ああ、こんな兄貴でよけりゃどうぞ」 「……っくふふ。あははっおかし」 「じゃあクーリングオフしろ」 「じゃなくって……小さい頃からずうっと欲しかったんだ、俺のことうんと可愛がってくれて……ぶったり蹴ったりしないで……スワローが俺のこといじめてたら、ちゃんと叱ってくれる……むずかしい本も読んでくれて、わからない字は教えてくれて。空き缶の工作見せたら、すごいなピジョンお前は天才だ、特許とって大儲けだって髪の毛くしゃくしゃにして褒めてくれる。間違ってもひとが心をこめて作ったモノを踏んだり蹴ったり投げたりしない、そんな兄さんがいたら毎日最高だなあってずっと考えてた」 くすくすと含み笑い、悪戯っぽい流し目を投げてよこす。 「夢が叶った」 幼い日々の空想を熱に浮かされて話しながら、シャツのいちばん上に手をやり、プチプチとボタンを外していく。 劉は動揺する。 「言ってることとやってることが食い違ってんぞ?」 「違わない……」 緩やかに首を振り、鎖骨から薄い胸板、形良いへそが覗くまでボタンを外していく。 「やさしくしてよ、兄さん」 酒のせいだ。 ピジョンはすっかりおかしくなってる。 なんだってコイツ、兄貴とヤりたがるんだ? 綺麗なピンクゴールドの髪を退廃の灯に染め、|赤錆の瞳《ラスティネイル》を淫蕩に濁らせ、色っぽく囁く。 イタズラを仕掛けるスワローとおなじ顔で。 行為への期待に赤らむ極上のほほえみで。 「我慢できないんだ……体中疼いて仕方ない」 「ちょっ待、シャレになんね」 俺もコイツもどうかしてる、さっさと逃げろと脳内警報が鳴り響くが足が根付いて動かない。 友達だと思ってたピジョンに迫られ劉はたじたじだ。 ピジョンが不思議そうに小首を傾げてあたりを見回す。 「みんなやってるじゃないか」 「素面に戻れよピジョン、俺たちゃそーゆー関係じゃねーだろ!!悪ふざけも大概にしろよバレたらスワローが」 名前が出た途端、ピジョンの顔が歪む。 幻滅、嫉妬、罪悪感……裏切られた哀しみ、侮辱された怒り。 それら全部がごたまぜになり、やるせない愛憎滾らせた表情。 「浮気野郎なんか知るか、勝手にしろ」 「ガキの喧嘩か」 「スワローが怖い?」 くすくすおかしげに笑い、首元にそっと指を這わせ、情熱的なキスマークをなぞる。 よくよく目を凝らせばピジョンの首元、ちょうど鎖で隠れる位置に生々しい噛みあとがある。 愕然とする劉の視線を十分引き付けてから、不実を許す合図に代えてタグを弾く。 「俺だってたまには兄さんを休みたい」 「~~兄貴とヤッたなんてバレたらあのブラコンが黙ってねーだろ」 「どうかな……賭けるか?」 とびきり度数の高いラスティ・ネイルの眼差しが微笑む。 深酒に溺れてみたくなる色。 「遊んでくれないの」 ピジョンがピジョンじゃない。ここまで酒癖が悪いとは思わなかった。普段自制してる反動で、尚更タチが悪い方向にこじれてしまったのか。 ぎょっとする劉の手を握り、シャツの割れ目から脇腹へ導く。 「頼むよ。辛いんだ」 体温が上がっている。 「……酒がまわって……カラダ、火照って、生殺しで。自分じゃだめだ、なんとかしてほしい」 切羽詰まった声色。 思い詰めた表情。 劉に凭れ、わざと股間を押し付けるように密着し、じれったげに腰を揺する。嘗てスワローは苦りきった顔でなんと言ったか…… 『兄貴は酔うとビッチになる』 「どーりで飲ませたがらねェわけだぜ」 ピジョンが再び劉の手をちゅぱちゅぱやりだす。 「……ッく、も……むり……はぁ」 恍惚の表情で一本一本おいしそうに含み転がし、唾液の糸引くそれを自らのズボンの内側にもぐらせる。 「手だけでいい……貸りるよ……」 「俺の手ぇ使ってオナニーすんの」 「だ、って仕方ない、だろッは……自分でやるんじゃダメ、なんだ、上手くイケな……くて、あァッ!」 ピジョンは劉の手を借りてオナニーする。 劉は動けない、動かない。 即座に手を引っこ抜いて逃げ帰ろうとも考えたが、この状態のピジョンを一人でほっとけない。食いものにされるのがオチだ。 現に今、ゲイカップルのタチ役が捕食者の顔でピジョンの痴態を盗み見ている。 「う……劉も、動けよ……俺ひとり、させるな、恥ずかしい……」 「てめえは兄さんにマスかきさせんのかよ」 「兄さんなら、うぁっ、ちゃんと気持ちよくさせてくれよ……はァ」 なんでこんなことになったんだ。 やっぱりバーに連れてきたのは間違いだった。 ピジョンは一人勝手に気持ちよくなって乱れている。 劉の手ごとペニスを捏ね回し、その快感にひくひくよがり、口の端から一筋涎をたらす。 「あふ……ふぁっ、ァっあ、そこいっ、イきそ……」 くちゃくちゃと音が鳴る。 ピジョンがねだるように腰を回し、劉は嫌悪に顔を顰め、股間に突っこまれた手をやけっぱちに蠢かす。 「あァあっああぁ、ぅあっ、あ――――――っ」 「コレで満足?」 震えながら辛うじて頷き、劉に片手をのばしてくる。 「ラウそこっ、イっイきそ……もっと強く擦って、上、あァすご、いい……気持ちいい……」 「スワローに見せらんねェよその姿」 「アイツの名前……いちいちだすなよ頼むから……」 「興奮してんじゃん」 身体は狂おしく火照り、大量の汗でびしょ濡れだ。 カリに指をひっかけて雫が膨らむ鈴口をこねくりまわせば、ピジョンがひくひくと痙攣し、劉の首にぶらさがる。 「兄さんにペニスしごかれて勃ってんのかよ変態」 「そうじゃな、違っ、に、さ、や、ァっだめ、そこ、ァふ」 兄さんと、致死量の毒を孕んだ|飴玉《ロリポップ》を転がすように舌足らずに囁くたび、粘っこい雫が滴り落ちる。 「あッあぁあっ、そこいいっ、すご、ぞくぞくする……」 日頃真面目であるほど、日頃潔癖であるほど、一度転がりだしたら歯止めがきかずどこまでも堕ちていく。 股間をくちゃくちゃと捏ね、熱い吐息を劉のシャツに逃がし、朦朧とした頭で詫びる。 「ごめ……スワロ……」 ピジョンは酔うとビッチになる。実際とんでもなく淫らだ。 「ごめんラウっ、もっ出る、イく!」 劉の貧相な胸板に夢中で口付けし、許しを乞うように細切れに叫ぶ。 「こんな淫乱な弟いらねーよ……!」 腰を浮かすのに応じ苛立ち任せに陰茎を強く擦れば、シャツを赤裸々にはだけたピジョンが大きく仰け反って絶頂へ昇り詰める。 「んぅ゛っ、んん゛―――――――――――――ッ!!」 咄嗟に劉のシャツを噛み、声を殺す。 事が終わったあと、劉は世にも情けない顔で濡れた手を振り、ピジョンのシャツで残滓を拭い取る。 「ちったァ冷めたかよ」 「…………うん」 出すもの出して理性を取り戻したか、萎えたペニスを大人しく下着にしまい、ズボンを引き上げる。 「……今日のこと、スワローには」 「言わねえよ。てか言えねえよ」 「……感謝するよ」 「兄さんはもーこりごりだけどな」 釘をさして煙草を咥える劉をよそに、ピジョンは膝を抱えてどんより落ち込み、「手ならセーフ手だけならセーフ」と気休めの呪文を唱える。 一夜の過ちは酒のせいにして飲み直そうと劉は思った。 もちろんピジョンはおあずけだ。

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