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出会いと過去 シグ1

 私の名前は夏秋 紫暮(なつあき しぐれ)。高校三年生で、キョウ様親衛隊の三代目隊長を務めさせて頂いております。 私、今まで自分の苗字にキョウ様と同じ「秋」が入っていることをとても誇りに思っておりましたが、今日からはユイの苗字と同じ「夏」が入っているという嬉しい事実が加わりました。 これはもう運命としか考えられませんよね?    キョウ様に妹様と、半分血が繋がっている弟様がいらっしゃることは存じ上げておりました。 しかし、まさかその弟様がこの学校に進学して来るなんて!! 親衛隊としても、その弟様をどう扱うかは最初から意見が分かれておりました。 守っていくのか、放置しておくのか・・ そもそも弟様の価値は? まず、肝心のキョウ様のお心は「アスに絡まない限り放っておけ。危害を加えそうなら好きにしていい。」でした。 相変わらずの徹底したアスラ様至上主義なお言葉に、私は感動いたしました。 ですが、そのお言葉を弟様をどうしようとかまわないと捉え、半分キョウ様と同じ血を持つ弟様を手に入れようと考えている輩がいるのも事実です。 私は、いくらキョウ様の弟様といってもキョウ様本人ではないのだから意味はない、と思っておりました。 つい先程までは。  入学前に手に入れていた情報と、実際に見た「夏海 唯仁」は別人のようでした。 中学時代のユイは、活発で成績も優秀な普通の優等生でしたが、入学式に現れたのは、金髪の短い髪の毛をツンツンに立たせ、耳にはたくさんのピアスをつけた小柄な美少年。 いくら校則が緩いといっても、ここまでの外見の生徒はあまりいません。しかし、ユイには妙に似合っており、アイドルがドラマで演じるヤンチャなキャラのようでした。 本人はまだ知らないようですが、じわじわと浸透して来ているあだ名が「腕白王子ちゃん」。 完璧王子、腹黒王子ちゃんの流れを汲む、この学校ならではの恥ずかしいネーミングですね。いったい誰が付けているのでしょうか?  とにかく、ユイはキョウ様の弟様という以前に目立ちまくっておりました。 そして、ユイと同じクラスの隊員に探らせたところ、何とユイはキョウ様ではなく、お父様のジュン様推しであると!! 何という事でしょう。もちろんジュン様も素晴らしいお方なのは間違いありませんが、せっかく血が繋がったお兄様がキョウ様なのですから、もっとキョウ様の良さを知るべきです。 私は、いつかユイにキョウ様の素晴らしさを説く事を心に決めました。 そんなユイのヤンチャな外見を見て、キョウ様の弟様なのに裏切られた!と勝手に憤る者も、逆に興味津々で近づこうとする者も多くいたようです。 私は親衛隊の中でも信用出来る数人を使い、ユイに悪意や行き過ぎた好意を持つ者を排除いたしました。 実際に話をしてユイの人となりを見極めるまでは壊してしまわないように。キョウ様の良さを知ってもらわねばなりませんしね。 なので私は極力、ユイを監視しておりました。  そして今日、ユイがアスラ様に接触しようとしたのです。 アスラ様に話しかける前に捕まえたのは良かったのですが、ついついキョウ様について語ってしまい、アスラ様に見つかり止められるという失態を犯してしまいました。 が、そこでアスラ様と話すユイの純真さを目の当たりにして、私は・・完全にやられてしまいました。 必死でジュン様推しだとアスラ様に話す時のあのキラキラした目! あの外見も、昔のジュン様の真似だと言うんです!なんて健気なんでしょう! 私は純真で健気な可愛い子が好きです。 しかし表面上は強がっていてキャンキャン吠えたり威嚇してくるぐらいがいい。 そういう子を快楽堕ちさせる事に何より幸せを感じます。 けれど、最初から私の見た目などですり寄ってくる子には食指が動かない。 つまり、ジュン様に傾倒しているユイは大変に私の好みだったわけです。 しかも、見た目もどストライクでゲイに偏見はないと。これはもう口説くしかないでしょう? なので部室に誘ったのも下心からでした。 最初は抵抗したものの、キス一つで腰が抜けるユイ。快楽に弱いのも、言葉責めで反応するのも最高に私好みです。 ビッチという言葉に良い反応をするので何度もビッチ扱いしてしまいましたが、あれはビッチだとしても私専用のビッチです。絶対に他のヤツには触れさせない。 より一層ユイに近づく輩を徹底的に排除しなければ・・・  あぁ、キョウ様!! キョウ様が私に、私にとっての唯一を授けてくださいました。 キョウ様の弟様のユイは私の唯一です。 ありがとうございます。 本当にありがとうございます!!

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