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結婚式の夜

「心春と円花のことは心配するな。楽しんでこい」 「そうよ。行ってらっしゃい」 お爺ちゃんとお婆ちゃんに笑顔で見送られ彼と二人きりで出掛けることになった。 一日三組限定のスペシャルディナーをコウお兄ちゃんと昴さんからプレゼントされた。 新婚旅行をプレゼントしてもらったらそのお返しだよ。これで貸し借りなしだからね 昴さんは相変わらずツンツンしてる。素直じゃないところがまた可愛い。 結お姉さんに黒髪を綺麗に巻き上げてもらい、彼が選んでくれたアクセサリーを身に付け、お腹まわりがゆったりとした薄いピンクのワンピースを着た。 住宅街に看板もない隠れ家的なレストランが建っていた。 「いらっしゃいませ。お待ちしていました」 女性オーナーさんが笑顔で出迎えてくれた。 なだらかなスロープを彼にゆっくりと押してもらい店内に入った。 窓側の特等席についた僕たちの前にシェフ自慢の料理が運ばれてきた。 「具合が悪いなら無理に食べなくてもいいよ」 フォークを握ったまま前菜を眺めていたら、彼が心配そうに声を掛けてくれた。 「ううん違うの」 慌てて首を横に振った。 「こんな贅沢をしていいのかな?バチが当たらないかなって。不安になったんだ」 「きみって子は……」 驚いたように目を丸くすると、 「今日は俺たちの結婚式。特別な日だよ」 不安な気持ちを一掃するかのようににこっと優しく微笑んでくれた。

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