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発端

藍色の空一面に星々が煌めいていた。 「ねぇ和真さん、まだ宵の明星、見れるかな?」 「さぁ、どうだろう」 ルビー色にちかりと光った星を探した。 「あのね和真さん、怒らないで聞いてくれる?」 「どうしたんだ藪から棒に」 「だってすぐ、たもくんに焼きもちを妬くから」 「岩水は、部下であり、永遠の恋のライバルでもある。それは一生変わらない」 おでこの髪を指先で左右に分けると、彼の顔が近付いてきて、チュッと軽く口付けをされた。 「怒らないって約束するから、話しを聞かせて欲しいな」 「うん、分かった。あのね、和真さん。キヨちゃんが来てからゴミ箱が燃えたり、ゴミ集積所の段ボールが燃えたり、壁が焦げたり、不審火が続いたんだ。キヨちゃんや先輩たちが、園長先生に僕が火を付けるところを見たって騒いで、みんなに疑われて施設を飛び出したことがあるの。ごめんなさい。和真さんに余計な心配を掛けたくなくて、それで言えなかったの」 「そんな前から橋本さんは四季を嫌っていたんだ。四季、嫌われるようなこと何かした?」 「特にこれといって心当たりはないと思うんだけど……」 首を傾げると、 「じゃあ、順を追って説明出来る?」 「朝までかかるかも知れないよ」 「いいよ。時間はいっぱいあるし」 ベットに移乗しごろんと横になると、彼が嬉しそうに隣に潜り込んできて。肩まで布団を掛けてくれた。

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