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「達樹さんって三男? 一番年が近いお兄さん?」 「そう。おれの四つ上の兄で、今は結婚して都内に住んでる」 「へー、面白そうな人だな。俺も会ってみたい」 「じゃあ、連絡しとく。達樹とは都内で会うことになるかも」 「わかった。祐樹のにーちゃんか……」  何を考えたのか、孝弘はにまにまと笑っている。 「やっぱここは、よくも弟に手を出したなとか殴られるパターン?」 「んな訳ないでしょ」  一体どんな兄を想像しているんだか。殴り合いのケンカも日常だったと話したせいか? 「あ、実家は親がいるんだろ? 会っても大丈夫?」 「平気だよ。でもカミングアウトしてるのは達樹にだけだから、そのつもりで来てくれる?」 「もちろん。同僚ってことでいいんだよな?」 「うん。ごめんね、本当のこと言ったら、両親はびっくりするだろうから」 「当たり前だろ。謝らなくていいし、うかつに言えることじゃないし、そんなの急がなくていいよ」  急がなくていいよってことは、いつかカミングアウトする気があるってこと? 予告というか仮というか、もうプロポーズの言葉はもらっているし、そういうことだよな。 「うわー、祐樹の両親か。すげー楽しみ」  孝弘は特に気負ったふうもなく、無邪気に喜んでいる。  もしためらうそぶりを見せたら、いつも通り孝弘には都内のウィークリーマンションか彼の実家で過ごしてもらって、東京近郊デートをしようと思っていたのだが、孝弘は本当に楽しげに屈託なく笑った。 「あ、やべ。もう出なきゃ」  いつの間にか家を出る時間になっていた。 「これ、ありがと。ホントに嬉しかった」  慌ただしく触れるだけのキスをして、孝弘が先に立ち上がる。  一緒には出勤しない。孝弘が出てから洗い物をして、だいたい十分くらいあとに家を出る。  そこまで心配する必要はないのかもしれないが、二人で話し合ってそうしていた。    どこか弾むような背中を見送って、祐樹はほっと肩から力を抜いた。達樹に会うことも両親に会うことも、孝弘はまったく躊躇しなかった。  すげー楽しみ。そう言ってくれた。  それがとても嬉しい。  コーヒーを飲み終えて、祐樹は洗い物をしようと立ち上がる。  完    最後までお読みいただき、ありがとうございました。  ご感想などお待ちしておりますm(__)m ちょっと宣伝させて下さい。 新刊、配信開始しました! 『誘わせ上司は目が離せない』 https//www.amazon.co.jp/dp/B0BNXMQ5SY こちらは10月までSweetMIX様から販売されていた『上司に萌えるアンソロジー』に載せた短編の改稿版です。 誘い受けビッチの水野と転職してきた部下、髙城の駆け引きを楽しんでください(^^)! アンリミ会員は無料で読めます。 会員じゃない方は、12月中は感謝価格100円なので、この機会にぜひご覧下さい! 誘い受けビッチ好きに届け~w

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