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撮影会二次会(1)
みんなが買い物に出てってしまった。
僕は…疲れていた事もあり、
そこら辺に、横になっているうちに、
ウトウトと、眠り込んでしまった。
カシャッ…
またその音…で、僕は目が覚めた。
「…ん…」
「ああー起きちゃった…」
「大丈夫、ちゃんと撮っときました」
「じゃー送って」
そんな…シャッター音に続いての、
よからぬ話し声を聞きながら、僕は起き上がった。
そして、改めて…
第2陣の買い出された物を囲んでの…
撮影打上げ的な、酒盛りが始まった。
「カオルってさ、前はどんなバンドやってたの?」
「オリジナルです〜」
「へえーどんなの?」
「まーザックリ言うなら、ハードロックですけど」
「カオルの曲とか、あるの?」
「ありますよー」
「え、それ今度聴かせて!」
「いいですよ…どうせもう解散しちゃってやらないから…よかったらこちらで採用して頂きたいです!」
「あーそれ、是非とも、要検討!」
…そんな、ちゃんと真面目なバンドの話もした。
そのうちに…
僕は思い切って…
ずっと気になっていた事を…切り出した。
「前のボーカルの人って、どうして辞めちゃったんですか?」
「…」
「…」
やっぱりなんか微妙な空気になっちゃった…
「…あいつはねーちょっと難しいやつだった…」
カイが、やっと語り出した。
「何て言うかな…本物じゃなかったんだ…」
「?」
「いつでも自分を上手く売ることを最優先に考えていた。何ていうか、計算高いというか…」
サエゾウも言い出した。
「だからあいつさー俺らとも一応はやるくせに、ファンの女の子とかにも、めっちゃ手出すんだよね…」
シルクも続いた。
「それでも見た目よかったし、そのおかげでファン増えた部分もあるからね、無下にはできないっていうか…」
「むしろ俺たちの方が、玩具だったな…」
「しかも、使い捨てのねー」
「あいつは、俺たちを捨てて行った」
すっかり酔っ払い3人の愚痴大会みたいになって…
結局のところ、何がダメだったのか…
ハッキリ詳しいところは、同じく酔っ払いの僕にも
あまり分からなかった。
それでも、
「そーなんですねー」
と、言っておいた。
「カオルのバンドは?何で解散しちゃったの?」
「つまんない理由なんですけどねー」
みんな興味津々で身を乗り出してきた。
「ギターの人の彼女が、ベースの人と浮気してたんですって。それで、ギターの人が激怒してしまって…」
「何それー」
「それ、バンドに持ち込む話なの?」
「メンヘラやん」
3人様は、ボロクソに言ってのけた。
そりゃーまあ…
あなた方の物差しだったら、そうなんでしょうね…
でも…普通の…所謂ノーマルな人にとっては、
とても重要な案件らしいです。
「でも、むしろよかったです。だって、そのおかげで、TALKING DOLLさんに入れたんですもん…」
「…」
「…」
「…」
あっ、しまった…
例えホントにそう思ってても、
今それを口に出しちゃいけなかった…
ガバッ!
…っと、サエゾウが僕に抱きついてきた。
「カオル〜そんな風に思ってくれてるなんて」
あー…
そしてその勢いで、
サエゾウは、何度も僕にキスしてきた。
「んん〜俺、めっちゃ嬉しい…」
幸いにも…他の2人は、
嬉しい気持ちを態度で示してはこなかった。
ホッ…
そして、また他愛ない話が続いていった。
しばらくして…
酔っ払ったハルトが、僕の隣に座ってきた。
彼は僕の顔をマジマジと見ながら言った。
「うーん…やっぱ黒系もやってみたいなー」
「黒系?」
「うん!」
「あ、僕も黒系のカオルさん、撮りたいですー」
ショウヤも入ってきた。
「黒い衣装もあるからさ、やってもいい?」
「…また、メイクとか、するってことですか?」
「うん」
「まー別に…構わない…ですけど」
「やったー」
ハルトは嬉しそうに、
再びコロコロを持ち出してきた。
他の3人は、気にせず話をしている風に見えたが、
たまにチラチラと、
こっちの様子を横目で見ているのは、
酔っ払いながらの頭でも、よくわかった。
ハルトは目をキラキラさせて、
再び僕の顔をいじり始めた。
ホントに楽しそうだった…
この人って、ホントにメイクが好きなんだなー
カシャッ
あ、この人もね、
ホントにカメラが好きなんだな…
再び彼らに身を任せつつ…
今後の展開に、若干の不安を…
僕は、覚えずにはいられなかった。
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