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3.薄月の夜に狂う※

「――ック」 「我慢すると、終わるものも終わらなくなるぞ?」 「今日はいつも以上に、無駄口が多いな」 「相変わらず、可愛げも何もないな。もう慣れたものだけど」 何度か撫であげ、握り込む。この単純作業でもリューはそれなりに感じてくれる。未だに触られ慣れていないし、自分では決して自分のものを触らない。意識がハッキリしている時は尚更だ。 「これならいけそうだ」 僕は宣言して、バスローブのヒモを緩めて前を開けた。下に何も着ていないのは正解だったのかもしれない。眉間に皺を寄せているリューに跨がり、己の身体を沈めていく。 「んんっ!ぁ、ん――」 慣らしもせずに挿入れたことに驚いたのか、リューの眉が跳ね、目線が少し下に落ちた。 正直リューのを触っていた時にもう、待ちきれなかった。 (こんなに興奮するのは、月のせいか、リューのせいか――) どちらにしても、身体を沈めてしまえばこちらのものだ。ナカはリューで埋め尽くされていく。リューは声を噛み殺すので、煽るように腰を打ち付けた。 打ち付ければ、打ち付けるほどに堪らなくなって、バスローブを下へ落とした。 リューは僕が落ちないように支えてくれているが、そこまで積極的には動いてこない。 「……はぁっ、ぁ、リュー?」 「外で身体を晒して……誰かに狙われでもしたら、どうするつもりだ?」 「ぁっ!ぁ……そんな、心配しなくても。リューが……いるだろう?」 「……お前、俺を、何だと思っている。盾代わりにでも、するつもりか」 リューの口角が上がった気がすると、リューが急の僕の身体を掴んで腰を打ち付けた。 「あぁぁっっ!」 「お前こそ、暗闇で白い肌を晒して……月に狂いでもしたか?」 フ、と。息だけだが、リューが笑った気がした。僕も笑い返すと、仕返しのつもりなのか今度はリューから唇を塞いでくる。 リューから見れば、白い肢体が踊るように見えるのだろうか? 快楽のままに貪って、何度も、何度も、肌を重ねた。 「んぁっ、ぁ、あぁぁ……凄く、イイ、から……ぁ、ああ、イキそう、だ!」 リューの額に流れた汗も舌で舐め取り、リューの上で跳ねた。最奥に擦り付けると、ビクビクと身体が反応し始めた。 「ン、ぁ、あぁぁぁっ!!」 「――ッ」 リューがナカで弾けるのと同時に、僕も弾けて白濁をリューの服へとかけて汚していく。 黒が白に侵食されていくのは、見ていて罪悪感と共に征服感が押し寄せた。 (たまには開放的なのも悪くないな) 僕が満足げな吐息と共にリューから身体を少し離したところで、リューが自分の身体を見て、なんとも言えない表情をしたのが分かり、思わず声を出して笑ってしまった。 「悪かったよ。僕が綺麗にすると約束するから」 「お前に付き合わされると、碌なことにならない。覚悟はできているんだろうな?」 「何、覚悟って――」 有無を言わさず僕の身体を退けて、思い切りテーブルに押し付ける。僕はリューに尻を突き出すような形になっているのだが……。 (何か、こういうことあったような気が……) 反抗する前にリューに両腕がまとめ上げられているので、うつ伏せ状態で待機するしかできない。 「……あの、リューさん。もしかして――」 「お前には仕置きが必要なようだから、望み通り狂わせてやる」 ――死ぬなよ、アリィ? リューに囁かれたかと思うと、乱暴に耳に噛みつかれた。僕が痛がる暇もなく、またリューがナカに挿入ってくる。テーブルに身体は当たってヒンヤリしているし、掴まれている手首は痛いし、山ほど訴えたいことはあるのだが。 (リューがここまでノッてくるのが予想外。まぁ……こういうのも悪くはないか) 力強い律動を受けながら、僕は合わせて甘い声をあげる。 薄月の夜に響く夜想曲(ノクターン)のように――

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