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第1話 始まり
ひまわりくんとすみれ
しとしと降り続く雨の中。
周りは憂鬱そうに傘をさして歩いている。
俺は刑務所から出所してきたばかり。
傘もささずに道端にうずくまってる。
そのとき
雨が止んだ。
と思った。
「なぁにしてんの?ひまわりくん?」
一人の男が傘をさしてくれているのだった。
その男はスウェットにパーカー、少し長めの茶色の髪をしていた。
「ひまわりって誰だよ」
「う~ん…太陽に当たらなくてしぼんでるひまわりみたいだったから?」
なんだよそれ。かっこつけかよ。
「で?なにしてんの?」
「なんでもないですよ。」
「ふ~ん。そうには見えないけどなぁ」
なんなんだこいつ。
俺にかまってるとお前も悪者の仲間みたいに思われるぞ。
そんなことを思いながら
俺は無言でその男から離れようとした。
「ねぇ、待ってよ。」
「もう!なんなんですか!」
「ビクッ」
あっ、驚かせてしまった。
「あっ。すみません。急に大声出して。」
「いや大丈夫だよ。ちょっと思い出しただけ。」
「そーですか。」
そのときは、このことが何を表しているのか
俺はさっぱりわからなかった。
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