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少年は竜神様に見初められる

 村の外れにある池は木々に囲まれていて物寂しい。澄んだ池の水には鮮やかな魚が泳ぎ、蓮の花が咲いていた。そんな池のほとりに男が一人、立っている。  馬の尻尾のように結った藍色の長い髪が風に靡く。瞼に引かれた赤い目弾きは強い印象を受け、切れ長の瞳は深紅のようで底が見えない。両方のこめかみからは竜の角が生えているその存在を茂みから覗く者が一人。  あどけない幼さの残る少年は男を見て呟いた。 「綺麗」  思ったことがそのまま言葉に出ていた。少年は思わず口を押さえるが、男の耳には聞こえていたらしい。湖のほとりに立っていた黒と赤の映える華人服を身に纏う男はゆっくりと振り返った。 「そこにいるのは誰だ」  木々の影に隠れていた少年はじっと息を潜める。気づかれたらいけない、そう直感的に感じた。  男はしばらく目を凝らしていたがやがてふいと別の方を向き、何処かへと歩いていってしまう。それを確認すると少年ははぁと息を吐き出した。  あの男は人間ではない、きっと竜神様に違いない。村の人間が言っていた、竜神様に見つかれば連れていかれてしまうと。 「でも、綺麗だったな」  とても綺麗な顔立ちをしていた。幻想的で人離れしたそれは子供には眩しいものだった。近くで見れたらきっともっと凄いのだろうなと思い浮かべる。 「やはりいたではないか」 「っ!?」  少年はばっと後ろを振り返るとそこには木々を掻き分け見下ろしているあの男がいた。男はその綺麗な顔でにぃっと笑む。  寒気がどっと押し寄せる。子供は逃げようと後ろに下がるが男に手を掴まれそのまま押し倒されてしまった。 「ふむ、男か……童顔ではあるが悪くはない」  短い灰髪に青い瞳、まだ幼さの残る顔立ち、薄い桃の唇を撫でながら少年の顔を観察するように男は目を動かす。  片手で少年の両手を抑えながら空いたもう一つの手で頬を、胸を、腹を、腰をゆっくりゆっくりと撫で滑らせる。  少年は怖くて怖くてしかたなかった。何をされるのか、想像ができないからだ。  食べられてしまうのかなんて考えながら目には涙が溜まっていく。嫌だ、死にたくないと口から漏れそうになるのをぐっと堪える。  少年の目に涙が溜まっているのを見た男はほうと小さく呟くと、顔を近づけると涙を拭うように舌で舐めとる。 「怖いか、そうか。だが、その表情は悪くない」  満足そうに笑うと男は少年に名を聞いた。名前など聞いてどうするのだろうかと子供は震える声で答える。 「リシュウ……」 「リシュウか、そうか。リシュと呼ぼう、私はヤーウェイ。お前の夫の名だ」 「……はい?」  リシュウはヤーウェイの言葉の意味が分からなかった。なんだ、夫とはと。  そんなリシュウにヤーウェイは言う、お前はなかなかに好みな人間だと。特別に私の妻にしてやろうとヤーウェイに頬を撫でられてリシュウは首を左右に振った。 「ぼ、ぼくはお家に帰りたい……お嫁には行きたくない」  リシュウの言葉にヤーウェイは眉間に皺を寄せて、明らかに不機嫌そうな態度をみせる。ぞくりと悪寒が走り、リシュウは身体を強張らせた。  ヤーウェイはリシュウの腰に手を当てると優しく撫でる。その撫で方が不可解でリシュウはぎゅっと目を閉じた。 「帰す気はない」  ヤーウェイはリシュウが着ていた衣服をゆっくり脱がしていく。肌が空気にふれリシュウは何をされるのかと不安に押しつぶされそうになった。 「な、何をするの?」 「お前を味わうんだよ」 「食べるの……」 「妻を食べるものがいるかい? 違うよ、あぁ、お前は知らないのか、まだ」  肌が曝け出されてリシュウの顔が僅かに引きつる。恥ずかしさよりも怖さの方が勝っているのだが抵抗しようにも両腕は塞がれている。片足を広げられてその間にヤーウェイの身体が挟まれ体重をかけられていた。  足をばたつかせるがヤーウェイには効かない。可笑しそうにリシュウを見ながらリシュウの下半身に手を伸ばした。 「やぁっ……」 「ここを触れられるのは初めてのようだね」  リシュウのまだ小ぶりな雄をゆっくりと上下に動かす、丁寧に優しく。リシュウの身体がぶるりと震えるのを感じてか、抵抗をやめた。その初々しさにヤーウェイはさらに笑みを浮かべる。 「大丈夫、今からもっと気持ちよくなるから」  ヤーウェイは身体に走る感覚がなんなのか分からず不安にしているリシュウに優しく口付けを落とす。  ヤーウェイは唇をなぞると食らいつくように口付ける。何度も、何度も重ねリシュウの息が続かず口を開いた瞬間に舌を押し込み絡めた。 「うんっぐ、あぁっ」  片手では下半身を愛撫されて口内も犯される。逃げようと舌を動かせば絡め取られて吸い上げられ、時折甘く噛まれる。ビリビリとした刺激にリシュウは何が起こっているのか理解できない。身体に熱が集まり、痺れる感覚と湧き上がる何かに頭が支配される。  ぞくりと背筋に走る。これ以上は駄目だ、駄目だと脳が言う。唇から解放されたリシュウは涙を流す、初めての感覚に身体が頭が追い毛なくて。 「大丈夫、大丈夫」  ヤーウェイは涙を舐めとりながら言うけれど、その手を休めることはしない。 「あぁっ、だめっ……」  迫り来る何かに足をばたつかせる。「出る」と口から出た言葉にヤーウェイはそっと耳元で囁いた、「出せばいい」と。  先程までゆっくり優しく愛撫していたてが性急に動く。先っぽをくりくりと弄られてのぼってくる何かにリシュウは声を漏らしながら身体を震わせた。  吐き出された白濁した液とその衝動にリシュウは身体を縮こまらせる。ヤーウェイはリシュウの目の前で手についた吐き出されたそれを舐めとって見せた。  はぁはぁと息を荒げるリシュウにヤーウェイは「まだこれからだよ」と笑う。 「まだ私が気持ちよくなっていないからね」  そうやって笑うヤーウェイをリシュウは恐ろしく感じた。  次は何をされるんだ。またあの感覚を味わうのか。恐怖や不安が入り混じる中、僅かに芽生える何があった。なんだ、これは。  ヤーウェイに「気持ちよかっただろう」と囁かれたリシュウは、あの感覚がそれなのかと理解すると頷いてしまう。ヤーウェイがまた綺麗に笑うものだから、次はきっともっと知らない何かを与えられるのだなと思うとぞくっとした。  ヤーウェイはリシュウの尻の割れ目に指をいれて秘部に触れる。突然のことにリシュウはびくりと肩を跳ねさせて身体を硬くさせた。それに「力を抜いて」と言われてしまうが、何をされるか分からないのでうまくできない。  秘部を指で暫く撫でられてからつぷりと挿入された。ゆっくりと奥へ奥へと侵入してくる感覚にリシュウは息を吐く。ぐにぐにと中をかき乱されては一本と増えていく。  違和感しかなくてリシュウはどうなるのだろうかと不安に思っていた時だ。ヤーウェイの指が三本入り、中で動いたのだがある一点を指が掠めた。瞬間、リシュウは「あうぁっ!」と声を上げる。 「ひぅっ、な、なに! あっ、あっ」 「ふむ、ココか」  反応したしこりの部分をヤーウェイは弄るとリシュウが「あ、やめっ」と喘ぐ。全身が痺れるような感覚にリシュウは困惑しながらも身体をよがらせる。 「ま、あっ、いやっ待って」 「お前は感じやすいようだね。愛らしい声だ」  リシュウの反応を気に入ってか、ヤーウェイは念入りに弄っていく。喘ぎ声を上げながらリシュウはやめてと口にするけれど、彼は指を止めることはなかった。  快楽を感じているからか、リシュウの雄がまた勃ち始めている。喘ぐだけで抵抗を失った身体にヤーウェイは拘束していた腕を解放した。だらりと垂れる腕に力はなく、与えられる快楽に痺れている様子に「良い子だねぇ」とヤーウェイは笑む。  丹念に解された秘部は指を四本咥えている。バラバラと動かしながらヤーウェイは「そろそろいいか」と指を抜いた。  やっと終わったのかとリシュウが息を吐けば、ヤーウェイは懐から何か取り出した。小瓶のようで蓋を開けて液体を手に出している。どろりととろけるそれを指に馴染ませるとリシュウの秘部に突っ込んだ。  念入りに液体を塗りたくるその指がしこりに当たるたびにリシュウは喘いでしまう。するりと指を抜かれたかと思うと腰を持ち上げられた。なんだろうかと見やるとヤーウェイが自身の服を解いている。  ぬっと出てきたものを見てリシュウはひっと声を上げる。それはリシュウのものよりも大きく太い雄だった。やたらと生々しくて凝視してしまったが少し考えてから嫌な予感がした。 「それ、どうし……」 「これからお前に挿れるんだよ」  ヤーウェイの言葉にリシュウは無理だと首を左右に振った。そんな大きなものは入らないと言うのだが、彼はやめない。リシュウの秘部に雄を当てがうとゆっくりと挿入し始めてしまった。 「あっ! ん、っあぁっん!」  ずんずんと押し進められていく雄の熱に身体を跳ねさせる。異物感があるというのに感じていて、リシュウはおかしくなりそうだった。  全部は入り切らなかったようだが、ヤーウェイは気にすることなく腰を動かした。肉壁を摩られて、しこりの気持ち良い部分にあたるたびにリシュウの目の前は白んだ。 「あっ、はぁん、あぅ! あ、やめっむりっ」 「無理と言う割には気持ちよさそうだが?」 「きもち、い、あっ、だめっ」  リシュウは気持ちの良い部分を摩られ、突かれるたびに甘い声をこぼす。頭が蕩けてしまうと顔に集まってくる熱に思う。快楽から逃れるように身体をよじるもヤーウェイによって元の姿勢に戻されてしまった。  支えが欲しくてリシュウはヤーウェイの首に腕を回す。しがみつくようにすれば、彼は抱き込むように抱えてくれた。  奥の奥に入る雄の感覚にリシュウは震える。あっと声を溢すとぐっと雄が引かれて一気に突き上げられた。 「ーーーーっあっ!」  目の前が真っ白になる。チカチカと火花が散って身体が跳ねた。それでもヤーウェイは腰を動かしているので、快楽の波が治らない。 「あ、あっ、うぅむ、りっ」 「あと少しだ、付き合ってくれ」  性急に動かされて出し入れされる雄の熱にリシュウは逆らえない。肉壁を擦られる感覚はもう快楽へと変わっており、何をされても快感となっている。  リシュウの雄からは先走りの液が溢れていた。それをヤーウェイが優しく摩ってやると大きく身体を跳ねさせる。 「まって、そこ、いじったらっ、あっ」 「大丈夫だ、出しなさい」  ぐりっと先を弄るとリシュウはすぐに吐精した。吐き出された瞬間、秘部がぎゅっとヤーウェイの雄を締め付けて、彼もリシュウの中で吐き出した。  奥の奥に注ぎ込むように暫く抱きしめられたリシュウはそっと寝かされる。ゆっくりと雄を抜かれてリシュウははぁっと息を吐いた。 「これでお前は私のものだよ」 「もの……」 「そうだよ。お前は私の妻さ」  にぃっと笑むヤーウェイにリシュウはもう彼から逃げられないことを悟った。

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