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日影の若葉 七

 章一は今、望が男になるための生贄になったのだ。 「あ……ん、望ちゃん……」  声も女のようだ。女を抱いたこともないのに、望はそんなことを思ってしまう。  望は章一の学生服の(ボタン)をはずした。  かすかな汗の匂いと甘い体臭を感じる。欲望がつのっていく。  白い胸は少年ではなく未成熟な少女を思わせる。柔かく、胸の小さな二粒の突起がいじらしく屹立している。 「あんっ!」  薄桃色の先端に口づけした。 「やっ、く、くすぐったいよ、望ちゃん!」  章一が苦悶とも歓喜ともつかぬ声をあげる。  望はかまわず、右胸の先端をついばみ、舐めまわす。 「やっ、やだってば!」  悲鳴のような声を無視して、望は年下の少年の乳首を吸いつづける。  さすがに飽くと、今度は左胸に。 「うう……ん」  こそばゆいのか、章一が身をよじる。敏感なのだろう。 「はぁっ……」  切ない吐息をこぼす。望もいつしか息を切らしていた。  胸で遊ぶのも飽きると、望は制服のズボンを脱がしにかかった。 「やっ、ちょっと! 駄目だって……!」  章一は狼狽し、手足をばたつかせたが、もう遅い。  強引にズボンを下穿きごと引きずりおろす。 「やぁ……!」  望はあの夜、勇が仁にしていたことを思い出してみた。 「いや! 望ちゃん、嫌だってば!」 「うるさいな」  ぞんざいそうに言い、力ずくで四つん這いの姿勢を取らせる。 「藤村にはさせたんだろう?」 「し、してない! してない……」 「おまえ、あいつの稚児だろう?」 「うう……。し、してないんだ。そ、そういうことは、していないんだ」 「じゃ、なにをしたんだよ?」  四つん這いのまま、首を振り向かせ、哀れみを乞うように章一は言う。

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