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僕はどうしたい?
「その……さ、樹こんなこと聞くのは良くないかもだけど……僕のどこが好きなの?」
「へ?」
「あっ、言いたくなかったらいいんだよ?」
僕みたいな……魅力がない男がなんで好かれたのか……それが知りたい。もしかしたら、一緒にいるから樹の感覚が鈍っただけかもだし……
それだったら、申し訳ない。付き合ってから後悔させるのも、付き合わなかったとしても、どうしてあんな奴に告白したのだろうって後悔させるかもしれない。
今なら、告白を無かったことにできる。てか、そうなんだとしたらするつもりだ。
「いつも笑顔で優しくて、色んな人に好かれているところ、鈍感なところ、照れる仕草が可愛いところ、俺と仲良くしてくれるところ、頑張っているところ、日に日に好きにさせてくれるところ……それと……」
「え……ちょっと待って……」
やばい。まさかそんなに言われるとは思ってなかった……
「あとねー」
「待ってって!!笑」
「悠が聞きたいって言ったんでしょ?笑」
「言ったけど予想外!」
「ははっ笑」
樹がこんなに僕のことを好きだって言ってくれるとは……
「悠はゆっくりでいいからね?」
「ゆっくりでいいよ……か」
僕は教室に着くなり、その事をずっと考える。
「あ?どうした、?」
「げ……拓也……」
「あーまさか……樹に告られたとか??」
え?どんだけ感鋭いんだよこいつ……
「ちがう。」
「で、なんて返事するの?」
「だから、違うって……!」
「付き合うの?」
「ん……迷ってる。僕は樹のこと幸せにできる自信が無いから……って違うよ?違う違う。」
「ほー。てかさ、悠が幸せにするんじゃなくて、樹が悠を幸せにして二人で幸せになるんじゃないの?」
「え?」
「だってさ、ほら漫画とかでもタチが受けを幸せにするって言うじゃん?」
なんの漫画だよ……!?まさか……B○?
「そうなのか……」
「そうじゃないの?」
へぇ……そっか……
「まぁ、ここは樹に甘えといたら?」
「え?」
「まだ時間貰えばいいってこと。」
「うん……そのつもり。」
「でも、一ヶ月後には……な?返事しろよ?」
え……
「1ヶ月!?」
「ああ。当たり前だろ?」
まじかよ……1ヶ月で決められる自信ない……
「まぁ、頑張んな!」
「うん……」
ていうか……今思えば、もう拓也にドキドキしなくなったなぁ。
「うん……」
僕だって、、樹の好きなところいっぱいある。
優しいところ、今みたいに僕に時間をくれるところ、僕みたいな人と遊んでくれるところ、気遣ってくれるところ、楽しませてくれるところ、こんな僕を好きになってくれたところ。
だけど……
好きなんだけど……
今すぐ僕もって返事したいんだけど……
本当に僕でいいのかな?
昨日考えたことも頭に浮かんでくる。
僕が幸せにできるのかな……?
「よ!悠。」
「あ……樹……!!」
考え事してたらあっという間に昼休みの時間になってしまった。
「その感じだと、授業まともに聞いてなかっただろ?」
「はい……」
う……バレてる……
「やっぱそうか。じゃあ、今日授業ノートとプリント持ってきて?」
「え?」
「今日からだろ?塾。」
あっ……そうだった、!
「わかった。」
「うん!」
でも、いつも樹の家にお邪魔してるし……
「あのさ、、樹……」
「ん?」
「今日僕の家来ない?」
「え……?誘ってる?」
「ち……違うよ!あの、普通にいつも樹の家だし……それに、お母さんも会いたがってるから。」
「あー、わかった。じゃあ、放課後悠のクラス行く。」
「うん……」
ちがう……本当は……
樹の家だと樹しかいないし、変に意識してしまう。だけど、僕の家だとお母さんがいるから……
「悠。帰ろ。」
「うん……」
お母さんは仕事だから、20時までは帰ってこない。
それまで何を……違う違う!勉強!勉強するんだよ!うん……!
「ふっ……どうしたの?」
「いや……なんでもないよ?」
あー、やばい。こんなんどうでもいいことなのに……
この感情なんか、拓也の時とは違う。めちゃくちゃドキドキするし……
「あれ〜ルカじゃん……?」
「え?」
だれ……?
「うわぁ久しぶり〜。俺の相手してくんないから、どうしたのかと思ったら、まさか店辞めてたなんて。」
「……っ……行こ。悠。」
「ん?あーまさか……そいつとできてる?」
「……っ……行こ。」
「うん……」
「ふふふ。瀬媽夢か……やっと見つけた。」
今の……誰???
店の客?
「……樹……?」
「んっ……ああ。大丈夫だ。たまにいるんだよ。ああいうやつ。ごめんな。」
「うん……」
この時正直思ってしまった……。
なんで僕だけの樹じゃないんだろうって。
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