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第2話

-親同士が親友で、家が近所の幼馴染みである髙嶺彰と俺、那都希樹生は生まれた時からいつも一緒だった。 生まれた病院も一緒、小学校も一緒、中学校も一緒。 高校も当然のように同じ学校を目指し、2人、受験に合格した。 俺と彰、何をするのも一緒だったから中学校の頃には女子の間で俺と彰は“怪しい関係”だと噂された。 彰を意識し始めたのは、その頃だ。 生まれた時からいつも一緒にいる事が当たり前で、それまでもそうしていたようにどこに行くのも何をするのも一緒の俺達を女子達が見て、勝手に邪推し噂されて、その事で反対に彰を意識するようになってしまったのだ。 意識し始めると、2人の関係はギクシャクしたものになってしまって…。 …というか、俺が勝手にギクシャクしてしまっただけだけど。 でも、それもすぐ彰にバレてしまった。 さすが彰。 俺の様子がおかしいと気付いた彰に問い詰められ、嘘が下手な正直者の俺は、つい、狼狽えてしまい…本当の気持ちを彰に告白してしまった。 (これで彰との仲も終わる…) がっくりと落ち込んだ俺だが…何と!! 彰が俺の気持ちを受け入れてくれたのだ。 吃驚すると同時に嬉しくて、思わず彰にキスをしてしまった。 感激のキス。 軽いキスだったが。 キスする一瞬、気持ち悪く感じるかなとも思ったが、全然そんな事はなく、反対に幸せな…ていうか、天にも昇るような気持ちとはこういう事をいうのかと思える程に…ふわふわと空中を飛んでいるんじゃないかという位、地に足がつかず…幸福な気持ちになった。 それからは時々、(誰もいないのを確認した上で)彰とキスをした。 俺は、皆に言いふらしたい位浮かれていたが。 そんな俺でも、さすがに皆に2人の関係がバレるとまずいという事くらいは分かっていた。 皆に隠れての秘密の恋。 …というのは、大袈裟だが。 皆に内緒のこの恋に、ドキドキした。 彰とキスしている場面を誰かに見られたら…。 そう考えただけで、凄く興奮した。 キスだけでこんなになるのなら、その先へ進んだらどんなに………。 ………いや、勿論、キスしたら次のステージに…と思うのは健全な男子なら当然だと思うが…あまりがっついていると思われて彰に引かれても…と思うとキス以上に進む事は躊躇われた。 それに、多分キス以上に進むとなると俺と彰じゃ当然、俺がリードしないといけないだろうし…初めてだからって失敗はできないよな…と意気込んだ俺はその手の本を買い漁って勉強したりもした。 2人で相談したわけじゃないけど…する…となると、多分、体格的にも見た目からも、俺の方が彰を抱く事になるんだろうし…となると、彰も覚悟が必要だろう。 そんな事を考えながらも、キスとか触りっこくらいはしても………先へはなかなか進めず。 その手の本を見て勉強だけはバッチリしておいたし、やる気は満々だけど、機会がなくて。 いつ、そういう機会がきてもいいように心の準備はしていたし、機会を伺ってもいたし、なんなら機会を作る努力もしたけど。 でも、俺の努力も虚しく…というか、俺だけの努力じゃいかんともしがたく…という事に遅まきながら気付いたのは高校に入学してから。 寮で彰と同室になった時だった。

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