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第19話

『ーー知らない人に、名前を教えたら駄目だよ。絶対、だよ。』 「ァ…よし、は……っン! おみ、くじっのーーーハァ、ぁーーッ」 「ーー吉だね」 『ーー知らない人に、名前を教えたら駄目だよ。』 「ッーーのは、ァ……んぅ、のはーー」 「ーーうん、教えてーー」 『ーー名前を教えたら駄目。』 約束が理性を呼び戻し、男の声で欲望へと(いざな)われるーーしかし、(わず)かに帰ってきた理性も、そう長くは持たなかった。 「ーー大丈夫……ね?」 胸板を撫で上げらるたヒナは子猫のように鳴き、欲望が脳内を埋めつくすーー。 『ーー。』 「ーーッァあっ!!! の、カタカナ! ハァッカタ、カっの、にぃ! ンっーーも、やっ……っひ、ーーっはやく、さわっ……て」 「ーー片仮名? ……ノ?」 核心を避け焦らす様に軽く触れてくる手を追いかけ、背中がしなる。 狂った様に扱き続けた自身からは、期待感で蜜を溢れさせ両手をぐっしょり濡らし、潤んだ瞳で男に懇願する。 「そ、うっ! はぁっはぁ……っとカクカク、って、アァっーー」 「ーーーー(すなわ)ち? ……ん、いい子」 男は一度頷くと、悶える身体が待ち望んだものを与え、指が触れるやいなやヒナは待ち望んだ快感の波に溺れるーー。 眩暈がする程の恍惚感に、羞恥心など捨て去り強請(ねだ)るように男に(もてあそ)ばれている胸部を押し付けていた。 「ーーヒナくん、下の名前は?」 「っんぅ! ンあ、ァ、かた……カ、ナァっ」 「ーー片仮名でヒナくん?」 ヒナが首を横に振ると、二つの突起を弾く速度が上がる。(あやつ)り人形の如く、男の動きに合わせ自身を上下させている両手も激しさを増し、悦楽(えつらく)に頭は真っ白になっていた。 言葉にならない声を漏らし、ぱくぱくと金魚のように口を動かすヒナは吐精した事にも気付かず、ゆるゆると上下する手を離そうとはしないーー。 その手を男が取ると白濁で汚れた手の平に唇を落とした。 ヒナはその光景を朧げな瞳で捉えながら、薄れ行く意識の中口をひらいた。 「ーーヒナ……タ、ーーーー。」

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