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第3話

僕の涙ながらの辿々しい説明に、遠藤さんは暫し、うーん、と唸った後、こう言った。 「聞いた限りではただ男性と歩いていた、てだけですよね?」 「ふぁい...」 「手を繋いでいた訳でも肩を組んでいた訳でもない。とすると、ご友人、という可能性はあるんじゃないでしょうか...彼氏さんにはお尋ねになりましたか?」 電話越しだというのに正座している僕は首を激しく横に振った。 「き、聞いてません...」 「それはまたどうして...」 「だ、だって...こ、怖いじゃないですか...っ、本当だったら、それにこんな僕、こんな僕なんかと...」 再び涙が込み上げて来る。 「イキリうさぎさん。先日も申し上げましたでしょう?ご自分を卑下するのは止めた方がいいと...」 「で、でも僕...遠藤さんにもお話しした通り、中高時代...」 「ああ、瓶底メガネ、とかいう」 口元に指を当てたまま、今度はぶんぶん縦に頭を振った。 「瓶底メガネとかおどおどしてるから気持ち悪いとか...っ」 「でも、努力されて今はコンタクトにした、と言われていましたよね?努力したご自分を愛してあげてください」 「で、でも、亮、か、彼氏、キスすらしてくれないんです...!もう交際から2ヶ月になるのに...っ」 「それは彼氏さんに大切にされている証、なのではないでしょうか?」 「そ、そうなんでしょうか...」 ぶわーっ、と滝のように涙が溢れ、別の問題が頭を過ぎった。 「と、友達にも、ぼ、僕...イキッてしまい、嘘ばかりついて...っ、 本当は全然、モテててなんか無かったのに、超モテモテだったとか...こんな僕、いずれ、唯一の友人にも嫌われちゃう、友達...っ、いなくなる、どうしたらー!」 語尾は雄叫びになってしまったが、涙が止まらない...。 「ああ、そんなに泣かないでください。ティッシュは近くにありますか?まずは涙を拭いて、深呼吸しましょう。 吸ってー、はい、吐いてー」 遠藤さんに言われる通り、涙を拭い、深呼吸に勤しんだ。

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