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ガチでずーっと英語ばっかの問題を見せられて頭痛がする。
そもそもこんな真剣に机にプリントを置いてイスに収まっているなんて……あり得ない。
「終わったか?」
パソコンを開いてキーボードを打っていた工藤が俺の手が止まっていることに気づいて声を掛けてくる。
「いや、ぜーんぜんっ!」
クルッとシャーペンを回して頭の後ろで手を組むと、ため息を吐いた工藤がパソコンを閉じて俺の前にやって来た。
屈んで覗き込んでくるそのまつ毛の長さはそこら辺の女の子たちが羨ましがるほど。
「……くーちゃんってさぁ」
「工藤先生と呼べ」
「彼女とか居るの?」
「聞いてんのか!?お前は!!」
プリントを見て大きな目を細めていた工藤は呆れたように曲げていた体を伸ばして机に手を付く。
「かわいい顔してるもんね。彼氏居るって聞いても納得だもんなー」
「勝手なこと言うな!せめて話聞けっ!!」
両肘を机に付いて見上げると、工藤はバンッと机を叩いた。
「んー?居るのは彼女?彼氏?」
「来月結婚するわっ!!」
「へぇ!それはめでたいじゃんっ!」
怒ったような工藤にパチパチと手を叩いてやると、工藤は髪を掻き乱してため息を吐く。
「……お前とはまともに話ができる気がしない」
「んー?英語よりは通じてるよ?」
「フザけんなっ!!」
目を吊り上げる工藤に「まぁまぁ!」と笑いながらその腰を叩いた。
窓の外は薄暗くなり始めていて凛華たちはどうしてるかなぁなんてのんびり思う。
「明日は全部解説するぞ」
「真面目なんだからぁっ!」
ツンっとその頬を指で突くと工藤に思いっきり怒鳴られた。
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