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「違……う……」
変に嘘も吐けなくてとりあえず素直に認めると、凛華はホッとしたような、でも、何かを考えるような顔をした。
「じゃあ、琉生の好きな人って誰?」
直球過ぎるこの質問にどう答えたらいいのか。
そもそも、その“好き”は簡単に口にはできないモノだ。
確かに宮部は気になる。
あんなにも見るだけでムカついていたのにいつの間にか気づくと目で追って、何度もあいつの顔ばかり思い出している。
でも、男……それは変わらない事実で、あいつが実は女だったー!なんて漫画展開もあり得ない。
あの抱き締めた時の骨張った感じも、着替えで何度か見た胸もどう考えたって男だったから。
あんなにも女の子好きだったのは何だったんだよ!とは思うけど、やっぱり女の子はかわいいと思うし惹かれるのも事実だった。
ただ、今……考えて頭に浮かぶのはやっぱり宮部だ。
「……うん、やっぱいいや!」
パッと凛華に手を離されて戸惑いながら凛華を見ることしかできない。
「自分でトドメ刺す必要ないもんね!」
笑うと凛華はグッと伸びをした。
普段はそこまでわからないけど、綺麗な曲線を描く胸につい目がいってしまう。
これは女にしかねぇよなぁ……なんて思うのに、目線の先に宮部に似た後ろ姿を見つけてそれを目で追ってしまった。
すぐに見失ってしまってあれが宮部かどうか気になって仕方ない。
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