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「……えっと、む、村瀬くん……大丈夫?」
ハンカチを差し出されてそれで顔を思いっきり擦る。
情けなくて、ダサくて、どうしようもなくて……「頼れ」なんて言いつつ決まらない自分にイラついた。
宮部の存在を否定されるのは嫌で、一人でそんな孤独を紛らわせているこいつを何とかしてやりたいと思う。
でも、宮部が“好き”……だと思うのに男なのは気になって、もしかしたら、宮部に同情しているだけ?なんて思ってみたりもするが、
「やっぱりりんごジュースなんだね」
小さく笑う宮部を見るだけでキュッと心臓を鷲掴みされた気がした。
何度か見たあいつの綺麗な目を見たくて邪魔な分厚いメガネを外したくなる。
宮部には自分でも驚くほど、ほんのちょっとしたことでも感情が抑えられない。
“好き”だと思う自分と“男だから落ち着け”とブレーキをかけようとする自分が居るのは事実。
それでも宮部を一人にしておきたくない。
どうにか俺を頼って欲しかった。
「……俺って何?」
「え?……」
思考がぐちゃぐちゃになって声に出すと、宮部がびっくりしたように口をぽかんと開ける。
急に訳のわからないことを言ったという自覚はあるがうまく言葉が繋げない。
恋人、親友……いや、友達?
「……クラスメイト、じゃない?」
さすがに恋人はないと思っていたが、宮部の言葉に少なくともショックを受けた。
そうだ……俺は友達にさえなれていない。
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