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トリガー⑥

 「やば、律じゃん」  「かっこいいよね、顔面偏差値高すぎ」  スマートフォンを取り出して律のポスターを写真に収める僕の後ろを、そんな会話をしながら二人組の女子高生が通り過ぎていく。  二人の話す内容に心の中で同意しながら、僕はまたシャッターを切った。  思い返せば、僕の人生の大半は律に染められていた。    何かに迷ったときは律の言葉が僕の背中を押してくれて、挫けそうなときはいつだって律の存在が心の支えになっていた。  律は僕のすべてだ。

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