1 / 50

第1話

 ……ス……タ……  リッ……タ……  ……ヴァ……ス……リッ……ター  声が聞こえる。  俺を呼んでるの? 「ヴァイスリッター!」 「わっ!」  飛び込んできたのはサラサラ流れる金糸の髪。  青い青い、空のような瞳。 「良かった。気がついてくれて。もう三日も目覚めなかったのですよ」  俺は……  事故に遭った?何も記憶がない。  目の前で心配そうに俺を覗き込んでいる青年は、誰? 「どうされましたか?ヴァイスリッター」  銀の糸で美しい刺繍の施された緋色の服は、まるで中世の……  そう。  騎士のようだ。 「あぁ、すみません。職務中ですが、ヴァイスリッターの事が心配で駆けつけてしまいました。私の任務につきましては、部下に引き継ぎましたのでご安心を」  はにかんで小さく笑った。 「誉れ高き空の騎士・副団長がこんな事ではいけませんね。ですが、あなたの事が心配で任務も手につかなかったのです。どうかお許しを」  彼は本当に、騎士? 「どうしましたか?ヴァイスリッター、私の顔に何かついていますか?」 「あの……俺」  まじまじと見つめる金髪の彼に、思いきって問いかける。 「人違いではないですか?俺、ヴァイスリッターという名前じゃないです」  生まれも育ちも日本。  どこをどう見たって日本人。  外国人に間違われた事は、人生で一度もない。 「ヴァイスリッター?」 「ですから、そんな名前じゃ……」 「何を仰っているのです?ヴァイスリッターは、シュヴァルツリッターと並ぶ騎士の称号。最高位の騎士の証ではありませんか」  えっ? 「俺が騎士?」 「あなたは誉れ高き空の騎士・騎士団長様ですよ」 「エエェェエエエーッ」  俺が! 「騎士ィィィーッ★!?」

ともだちにシェアしよう!