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第25話

 カシャリ  壇上から手向けられた銃口が揺れた。  照準を捕らえる。  背後の扉は施錠されている。  だったらいっそ、前方へ走って撹乱するか。  ダメだ。  俺達は連携が取れていない。先に刑務官さん達兵士を狙い撃つかも知れない。  本命は俺だが、彼らは口封じされる。  本来なら、七賢者は直属を使いたくなかっただろう。ならばこれは、大きな証拠だ。  証拠は掴めたよ。  見ているんだろう。この部屋の様子をモニターで。 「クレイ!」  ゴゴゴゴゴォォォー!!  地響きが大理石の床を揺らした。  ガガガガガァァァー!!  不協和音が法廷を強震する。 「なんだ、地震かッ」 「早くヴァイスリッターを」 「いや、先ずは我々の身の安全の確保が先だ」 「クソッ、照準を合わせられんッ」  直属近衛兵が口々に騒ぎ立てる。  突然の振動に襲われた法廷は、蜘蛛の子を散らしたかの混乱だ。先程までの統制が、ものの見事に崩れていく。  分かってるよ。  これは天変地異じゃない。  これは、今このタイミングで計算づくで起こされた強震だ。 「刑務官さん。約束、守って下さいね」 「あなたは、一体……」 「ヴァイスリッターですよ」  ガガグガァガゴン!!  背後の壁が割れた。 「早く!そこから逃げて!」 「無茶苦茶です。なんて整合性のない脱出方法なんですか。……ですが」  ありがとう。  そう、唇だけが動いた。  きっと彼はこの言葉を知らない。  使った事がない。  使う事ができなかったから。  だから……  これは、初めての『ありがとう』  さぁ、反撃開始だ!

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