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第50話
SOUND ONLYのモニターから声が響いた。
液体金属が《パワーズ》正面に吸い込まれるように集結する。
カカカカカァー!
火花が散る。突き刺した穂先をブレーキにする気か。穂先が床に爪を建て立てる。僅かにスピードを落としたとはいえ止まらない。機体を急停止するのは不可能だ。
ツッ
無線が切り替わった。
『嫌な予感がします。ライト様、あの《パワーズ》を仕留めましょう』
「俺もそう思う」
何だろう。この感覚は。
放っておけば落下する。なのに胸の辺りがザワザワする。
右腕に装着されたライフル銃を構えた。体勢を崩している相手に撃つのは不本意だが、ここは戦場だ。
ピピピピィー
照準を絞る。今だ。引き金を……
『いけないッ!』
目の前が真っ白に染まった。クレイの声がなければ、俺は。
『ライト様、ご無事で?』
「問題ないよ」
辛うじて弾をよけた。あの体勢から撃つなんて。
『撃ち損じはしましたが、あれはもう奈落に落ちるだけです。《パワーズ》では、ここまでが限界』
……ツッ
まただ。強制介入の通信が入る。
『勝手に人の限界決めないで頂きたい』
「お前、《パワーズ》のパイロットか」
『さ?なんの事だか』
「だって、それは《パワーズ》の……」
『《パワーズ》だと?』
キィン
《ノイシュヴァン》の機体が光る。
同時に高速で移動する流体金属も。
白銀の金属が集結する。高く高く積み上がる。
巨大な盾
否
これは高層の壁だ。
《ノイシュヴァン》が流体金属の固まった壁を蹴った。
『《パワーズ》を超えた最新型戦闘機』
《ノイシュヴァン》が反転した。推進力を乗せたランスが突っ込んでくる。高速の凶器は最早ミサイルだ。
『《パンサラッサ》!!』
ランスが大気をえぐる。
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