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日常生活-1

『兄貴を殺したお前だけ幸せになれるとか思うなよっ!』 思ってないさ。 俺には幸せになれる資格ないんだからさ。 『何かあれば連絡してきてね』 密かに淡い恋心を抱いていたあの人は俺にそう言った。 言えるわけない。 だってこれは俺の問題だから。 それから月日は流れ。 俺は大学生になった。 「好きです!」 何度目かわからないけど、俺は女の子に告白された。 俺は猪熊由貴(いのくま ゆき)。 都内の某私立大学に通う大学生だ。 でも、俺の返事は必ず決まっていた。 「ごめん。俺、女の子に興味ないんだ」 「そっかそうだよね」 告白してくれる女の子たちには悪いけど、俺はそう答える。 仕方ないじゃん。 だって。 俺は、世間じゃってヤツだから。 「はぁ」 毎回のことながら気分が滅入る。 俺を知る友人は仕方ないって言ってくれるけど。 「由貴ーまた告白かよ」 「純。あ、うん。まぁな」 こいつは假屋純平(かりや じゅんぺい)。 俺がゲイだと知る数少ない友人。 「落ち込むなよ!こればかりは仕方ないじゃん」 「わかってるけどさ……」 断った女の子たちが気の毒でならない。 どうしたって俺は女の子たちにそういう好意を抱けない。 それに俺は好きな人がいる。 気持ちを伝えるつもりはない。 そばにいるだけでいいから。

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