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27.誰かが魔の国に入ってきたみたい
「な、なんだこれはっ!?」
ザーコは憤っていた。
魔の国に入って二日目、野宿をして目覚めた時、目の前に何やら紙のようなものがあった。それには、そこから魔王城に至る詳細な地図のようなものが描かれていた。
ザーコはバカにしやがってと思った。クルトが魔王に倒されたことで勇者の剣が元の場所に戻り、それを抜いたことで今度こそザーコが勇者になった。
けれどうまくいかないことばかりだ。クルトに送り返されたという王女たちは美人だったが、お高くとまって全然ザーコになびかないし、一昨日の戦闘では剣を振ったら国境の壁を崩してしまい、王女たちに冷たい目で見られた。
昨日はほとんど戦闘もなかったし、ザーコは鬱屈を溜めていた。
「ザーコ様、どうかなさいましたか? あら? これは……」
ザーコはその紙を怒りのあまり破り捨てようとしたが、その前に王女――マリーが紙を取った。王女はその地図を見ると、喜色を浮かべた。
「まぁ……私たちってば本当に遠回りをしていましたのね。ザーコ様、ナナ、ミエ、リリ、見てください。この通りに進めば半年もかからずに魔王城へ辿り着きそうですよ」
「マリー様、本当ですの!? 勇者様を倒したにっくき魔王を、今度こそこの手で倒すことができますのね!」
ナナと呼ばれたマリーの友人である黒魔法使いは、目に涙を浮かべて拳を握りしめた。
「……ですが、この地図は誰がもたらしたものなのでしょう? ザーコ様、心当たりはありませんか?」
マリーの護衛である女剣士のミエは、冷静にザーコに話しかけた。
「……知らん。起きたら目の前にそれがあったんだ」
「そうですか……魔王が面倒だからとっとと攻めてこいと言っているのでしょうか……」
ミエはそう言いながら考えるような顔をした。ザーコはいらいらした。そんなうさんくさい地図を信じるなんて、この女たちはなんて愚かなのだろうと思った。
「これが魔王城への地図だという証拠はあるのか?」
ザーコがいらいらしながら聞く。地図を見た、マリーの侍女であり拳闘士のリリは頷いた。
「恐れながら申し上げます。この地図は本物ですわ」
「何を根拠に……」
「ザーコ様、お言葉ですが私たちは一度魔王城に到達したことがございます。あの時手に入れた地図は本当に古いものだったらしく、魔王城の位置も変わっていましたし地形も変わっているところがございました。けれどこの地図にはその地形が変わったところも含めて詳細に描かれています。この地図の通りに向かえばマリー様のおっしゃる通り、半年も経たないうちに魔王城に辿り着くことができるでしょう」
リリはできるだけ冷静に説明した。リリはこのザーコという男が気に入らなかった。
リリたちを魔法で国に送り返した勇者は、がたいは大きかったけど本当に控えめで優しかった。いくらマリーが夜這いをかけても、「身体を大事にしてください」と言ってかえってこちらを気遣う様子を見せた。だからこそみな勇者に抱かれたかったのだが、勇者は、「嫁入り前の大事な身体ですよ」と言って、戦闘の際も率先して魔族や魔物に突っ込んでいった。
けれどこのザーコという男は情けない。魔族や魔物を前にしても弱そうな物ばかり攻撃している。顔はそれなりにいいし、魔力量は他の者たちに比べれば多いみたいだが、実を言えば王女よりも魔力量は少ない。何故勇者の剣がザーコを選んだのかリリには理解できなかった。
「ふん……じゃあこの地図の通りに向かえばいいってことか。しかし魔王におちょくられているんじゃないのか?」
「地図は本物ですわ。ザーコ様、この道に沿って進みましょう」
「……王女がそうおっしゃるなら従いますよ」
如何にも不貞腐れた様子のザーコに、ナナ、ミエ、リリは殺意を覚えた。
そして彼女たちは思う。
本当に勇者は魔王に殺されてしまったのかと。
もしかしたら、この地図をくれたのは囚われてはいるけど助けてほしいと思っている勇者なのではないか。
そんな妄想をしてしまう程、彼女たちは勇者を恋しいと未だ想っているのだった。
そんなやりとりがあったことを全く知らない勇者は、また魔王のイチモツをぐっぽりとその尻穴に受け入れてあんあん啼かされていた。
地図を持ってきたのは転移ができる魔族であったことを、新しい勇者一行は知らないまま、魔王城を目指して進むのだった。
* *
「あっ、あっ、も、だいじょ、ぶぅ、あっ、あっ、あっ」
尻穴を休ませられたことはいいのだけど、少しでも休ませてしまうと魔王が念入りにほぐすからたいへんだったりする。
「だめだ。クルトのおまんこはすぐに元の形に戻ってしまうからな。休ませた後はしっかり拡げないと私のイチモツが入らぬだろう?」
「やっ、そんなっ、らいじょぶ……あぁあんっ!」
絶対魔王は楽しんで僕の尻穴を拡げているのだと思う。少年の姿でほっそりとした指を四本僕の尻穴に抜き差ししながら、魔力を流して尻穴を拡張するのが魔王は好きみたいだ。
あんまり気持ちよくて魔王のイチモツを入れてもらう前に何度もイカされてしまう。直接魔力注ぐのはだめだってばぁ。
「クルト、かわいい私の嫁……そなたと離れて仕事をしていた私を癒しておくれ」
「あっ、旦那、さまぁっ……」
そんなこと言われたらとても拒むことなんてできなくて、僕は尻穴を指でぐちゅぐちゅといじられながら早々に陥落したのだった。
魔王、大好きぃっ。
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