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たからもの

未羽の握られた手からは飴が出てきた 「飴?って…溶けてんじゃん。べとべとになってるよ、未羽くん。もうコレ、ポイな?」 西が摘んで取りあげようとすると未羽は火をつけられたかのように泣き叫んで怒り 「だめーーっっ!やーーんっっ」 「え…ちょ、そんな怒る?」 「きらーいっっ」 「なんで?どうしたんだよ??」 未羽の叫びに気づいた麻弥が千歌の処置を続けながら口を開き 「それ、たぶんみぃちゃんの宝物。下手に取りあげると後が悲惨かもよ?」 「え…どういう?」 「佐久間先生からさっきもらったんじゃないかな?みぃちゃんの熱に飴が負けちゃったみたいだけど…。ちょっと大変だけど包みをむいてお口に放ってあげな?捨てちゃだめ」 「分かりました。未羽くんそうなのか?」 未羽は無言で唇を噛みながら頷き 「そっか。捨てようとしてごめんな?いま、むくから」 西は貼りついた包みを丁寧にはがして飴をつまみ 「ほら、未羽くん。あーん」 「あー…ん…」 「おいしい?」 「ん…」 未羽は涙を浮かべたままニコっと笑い東間の肩に頬をつけ、飴を舐めた

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