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いつもの日常①
カーテンから差し込まれる明るい朝の光。アイロンがかけられ、しわひとつない真っ白のワイシャツ。
香ばしいトーストとコーヒーの匂いが届く。
いつもの朝___清潔で迷いのない、日常の景色。目覚ましの音に誘われるよう目が覚める。
斎藤優希はベッドの中で大きく伸びをすると、枕もとの携帯に手を伸ばした。
天気は晴れの予報。いくつかの予定が画面に飛び出して、忙しい一日になることを教えている。
起き上がり首を回せば、コキ、と軽い音を立てた。
「起きなきゃ……」
ベッドから這い出て洗面台にむかうと、まだ眠そうな自分が鏡にうつっている。
綺麗と形容されることの多かった容姿もくたびれてきたなと思うことが増えた。
そりゃそうか、と鏡の中に自嘲する。
来月、30歳の誕生日を迎える。
ため息を一つつきながらひとりごちる。
この穏やかな暮らしって、なんなんだろう。
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