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第24話

「・・・和夏。・・・いい、か?」  果ててぐったりしてる俺を見下ろすと、ズボンを下ろし、テント張っている自らの性器を取り出すのだ。 瞬のものをみた瞬間、先ほどまでぼうっとしていた脳が急に冴え、ひゅっと喉が鳴った。  入れられるのは本当にやばいと、本能的に思ったのだろうか。 ーー瞬間。  気付いたら瞬を突き飛ばしていた。  だるかった体を無理矢理動かし、力いっぱいに拒絶した。  そして、布団の上に尻もちを付いた瞬を尻目に、走って自室に戻ったのだ。  部屋に入り、バタンとドアを閉めると、ドアを背にそのままずるずるとへたりこんだ。  もしも拒否をしていなかったらどうなっていたかと、未だドクドク脈打つ胸を抑えながら考えたが、ぶんぶんと頭を振りそれ以上は考えないようにした。  それよりも、明日からどうやって瞬と接すればいいかを潜ったベッドの中でずっと考えていたのだ。 ...。 .....。 .......。  頭を悩ませていると、気付けば外は明るくなっていた。  軽く身支度を整えた後に重い体を引きずるようにリビングに行くと、冷蔵庫で何かを探している宮と気まずそうにこちらを見る瞬がいたのだ。 「あ、和夏くんおはよー」 「おはよう」  冷蔵庫を開けた脇からひょこっと宮が顔を出すと、 「あれ、別にいいんだけどさ、冷蔵庫にあったお酒って誰か飲んだ?」 と、俺と瞬を交互に見るのだ。  すると、ソファに座っていた瞬はなぜか俺に目をぱちっと合わせてきたのだ。 「あー・・・、悪い。俺飲んだわ」 「はー?和夏くんならいいけど瞬くんは駄目ー。ちゃんと買ってきてよね」 「悪い悪い」  昨日のこともあり庇ってくれた、ということなのだろうか。  瞬に気まずいながらも申し訳なさそうにに目を合わせると、大丈夫、とでも言うかのようにこちらに目を合わせてくるのだ。 「てかさ、和夏くんクマ凄くない?昨日寝れなかったの?」 急に振られた為、俺と瞬2人で一瞬肩がびくっと震える。 「・・・あー、納期近い仕事やってたら朝になってた」 「まじで?今日は休んだら?」  ちらっと横目で瞬を見やると、再びぱちっと目が合った。  気まずくなりふいっと顔を逸らす。すると、 「・・・大丈夫か?和夏」 とこちらまで近付いて来たと思えば、そのまま顔に手を伸ばしてくるのだ。 ーーーぱしっ 昨日のことがまだ頭から抜けきっていない俺は、反射的にその手を払ってしまった。 「・・・あ、悪い」 「い、や、俺こそ。急に触ろうとして悪かった」 ーー沈黙。 重苦しい空気に耐えきれなくなった俺は、 「あー・・・、これから仕事の打ち合わせあるからもう出る。戸締りよろしく」 とだけ言い残すと、荷物だけを持ってその場を後にし、まるで逃げるかのように家から出たのだ。 「・・・え、なに2人喧嘩でもしたの?」 「・・いや、俺が一方的に怒らせただけだ」 「ふーん・・?」 ***  家に帰って来て早々に、自分で飲んだ分の酒を補充していた。  瞬があの後に片付けてくれたであろう、飲み終わった酒の缶が入っているごみ箱の中を確認し、打ち合わせの帰りにスーパーで買って来た。昨晩は意識が朦朧としていて、何を飲んだか全く覚えてなかったのだ。 「あれ、和夏くんお酒飲むんだ?俺に襲われてから懲りたと思った」  リビングの扉からひょこっと顔を出してきた宮に、肩がびくっと震えた。  帰って来ない内に補充しておこうと思い、いつもより早く帰って来たのだ。だが早く補充をすることしか頭になく、宮の靴が玄関にあることを見落としていたようだ。  せめて何の酒を買ったのかバレないように、スーパーの袋から急いで冷蔵庫に移した。 「・・別に、俺だって酒を飲みたくなる時くらいある。お前も今日は随分と早いんだな」 「なんか疲れたから帰って来たんだよね。今日はバイトもないからさ。ーーーん?」 すると、何かを思ったのか、俺の隣に来て冷蔵庫の中を覗くのだ。 ーーまずい。  開いたままの冷蔵庫を背に隠すが、宮と俺とでの身長の差では全くの無意味だった。  俺の肩に手を置き、ひょいっと頭の上から中を覗くのだ。 「ーーーね、和夏くん。何で和夏くんが瞬くんが飲んだお酒買ってきてんの?」 「っ、」  代わりに買ってきただの言えばいいものの、突然振られたことで、言葉に詰まってしまうのだ。  すると、冷蔵庫をパタンと閉められたと思えば、片手を捕まれそのまま背にある冷蔵庫に押し付けられるのだ。 「別にあの時正直に和夏くんが飲んだって言えば良かったのに、何で瞬くんが庇ったのかな?しかもあの時なんか瞬くんと目ぇ合わせてたよね?」 「そ、れは・・・」 「しかも今日君たちなんだかよそよそしいと思ってたんだよね。もしかして、ーーー瞬くんとヤったの?」 もう片方の手は腰に手を回され、唇が触れそうなほどぐっと顔を近付けてくる。 「っや・・・」 ぱっと顔を逸らすと、腰に回していた手で顎を掴み、宮の方を向かせられるのだ。 「ね、まさか和夏くんから誘ったの?酒の力でも借りたのかなあ。でも喧嘩してるってことは合意じゃなかった感じ?」  図星でびくっと体が震えた。誘ったわけではないが、そう捉えられても仕方のないことをしたのは事実だ。  だが、別に俺と宮は付き合ってるわけではないのになぜこんなにも問い詰められているのだろうか。  俺のことが好き、と何度か言われたのも半分冗談だと思っていた。 ーーけど、これはもしや・・、まじなやつか? 「じゃあさ、俺の相手もしてくんない?」  片手を背にある冷蔵庫に押し付けられ、身動きが取れない。  すると、テント張った自らのものをへそにぐりぐりと押し当ててくるのだ。  腹の裏側にまでドクドクと脈打つ宮の熱が伝わり、ぐりっと押される度にきゅうと腹の奥が疼いてしまう俺は、もう手遅れなのかもしれない。

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